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欲しがりな女(改)

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「 ねぇ、お願い!啓太君のことは私に譲ってよ。そうだ、私の拓也と交換しよう?あの子って、付き合ってって自分から言ってきたくせに忙しくてなかなか、会えないし。奥手でキスもまだなのよ?でも、ルックスは最高だからいいでしょ?」


拓也は、真理子とつきあいはじめたばかりの、背が高くすらりとした王子様的容姿をもつ、キャンパスでもひときわ目立つ男だ。



「 え?でも‥‥」


「 いいじゃないの?美人の桜子なら拓也も嫌って言わないわ!だって、あいつ、よく桜子のこと盗み見してるのよ?ふふっ。彼女の親友に興味をもつ最低男なんてくれてやるわ」


「‥‥」


真理子は桜子に、ニヤリと笑いながらダイエットコーラのくびれた部分についた水滴を細い指でゆっくり撫でた。







「 桜子、なんで昨日、先に帰ったんだよ?」


「 ちょっと、用事があって、ごめんね」


「 おい、ちょっと待てよ」
大学の校舎の階段を急いで駆け降りていく桜子を啓太が追おうとしたとき、真理子が後ろから声をかけてきた。


「 啓太君、桜子のことで相談があるの」







「 そんな‥‥俺は信じない」

「 他に好きな男の子ができたけれど、啓太君に言いづらくて困っているって相談されたのよ?」

「 それなら、そうと俺に言うはずだし‥‥」

「 ふっ。桜子はねぇ、優等生だし優しすぎるの。他人にひどいことが言えないのよ。それより私と付き合わない?」






真理子と桜子は幼なじみで、子供の頃から桜子のものを欲しがった。

「ねぇ、桜子ちゃん、この消しゴムちょーだい?」

「え?でも‥‥」

「お願い!だって、この消しゴムすごくかわいいのだもの!これと交換して?」

自分の持っている消しゴムを押しつけてきて桜子の消しゴムを奪い取った。


アクセサリーや帽子、バッグ、数えあげたらきりが無い。


桜子は、厳格な両親に育てられ、まず人の幸せを願うように行動しなさいと教えられたせいか、頼まれると嫌といえない。


だが、さすがに、高校生の時に初めてできた彼氏を奪われたときにはショックのあまり、しばらく学校に行けなくなった。


次の彼もその次の彼も、真理子にとられ続けて、そのたびに、泣いた。


「 ふふっ。桜子が奥手だからいけないのよー。私は男を喜ばせてあげるのが上手だからぁーー」


高校生男子の性への興味津々な時期に、巨乳の真理子に軍配があがるのは当然だったのかもしれない。





クールな美人の桜子が悲しそうにしているのは真理子にとっては快感だった。

桜子の評価は実は男子陣のなかでは驚くほど高い。

近寄りがたい容姿だし、口数も少ないから男が声をかけらずらいだけで、真面目で有望と思われる男ほど実は、桜子に熱い視線を向けている。

そこも真理子は悔しいのだ。





啓太を見たとき、真理子は、ほしくてたまらなくなった。

真面目そうな黒縁メガネをかけ一見地味に見えるが、顔立ちはけっこう整っているし、遠慮がちに見えるのも好ましい。

きっと、女性にあまり免疫がないに違いない。

顔や表情は草食系男子なのに、ラグビー部で鍛えた筋肉がきっちりついた肉体は惚れ惚れするぐらい男らしい。

なにより、桜子の彼だから価値がある。

「ふふっ。悪女でごめんねぇー」真理子はつぶやく。





「拓也、大好き」

「あぁ、僕も愛しているよ。桜子」

二人で抱き合って長いキスをしたあとにっこり笑い合う。

「桜子に会えない一ヶ月は長かったよ。真理子さんの彼のふりするなんて最悪だったなぁ」

「しょうがないわ。いつも、真理子って私のものを欲しがるのですもの! だから、今回は、はじめから取り替えっこしといたのでしょ? うふふ、真理子を好きな啓太君も、真理子もこれで幸せよねぇ」

「そうだね。みんな、幸せだ。」
拓也は心の中で、真理子さん以外はね、と付け加えていた。





「俺さ、生意気な女を更生させるのが得意なんだぜ?」
男だけの飲み会のときに必ず自慢げに言うクズ男、それが啓太だった。

外見が真面目で優しく見えるから女は警戒心を解く。
マッチョなのに、どこか草食系男子に見えるから始末が悪い。

切れるとすぐに女に暴力を振るうのも男達のあいだでは有名だった。

「真理子とつきあいてぇー!あの巨乳に埋もれてぇーー!!‥‥」
啓太が酔っ払って、卑猥なことを叫ぶ飲み会に参加できたことを拓也は神に感謝した。

「いい方法があるよ?」
拓也は啓太に笑いかけた。





「桜子、真理子さんを好きな男がいてさ、付き合いたいらしい。キューピッドになってあげようよ?僕が真理子さんに交際を申し込む。桜子は啓太の彼女のふりをして?真理子さんは、桜子のものを欲しがって交換したがる癖があるのだろ?だったら、用意しといてあげよう。
みんなが幸せになれるだろ?」


「えぇ、素敵な考えね!わかったわ。」
ふわりと、微笑む桜子は汚れを知らない天使だ。


だが、俺は許さないよ。
桜子に悲しい思いをさせ続けた真理子はそろそろ罰を受けるべきだ。
拓也はそう思いながら、綺麗に微笑む桜子にキスをした。


「君は俺がずっと守るよ」
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みんなの感想(2件)

あさぎ
2023.04.28 あさぎ

やるなぁ!😏
これくらいしなければ
更生できない
というか
これくらいの男じゃなけりゃ
ますます被害は大きくなる

よかったね
桜子さん👍

青空一夏@「可愛くない私に~」書籍発売中
2023.04.28 青空一夏@「可愛くない私に~」書籍発売中

感想ありがとうございまぁす(#^.^#)

暴力男と悪女をくっつけるってお話でしたね
いいよね、お似合いだと思うの😁

今まで悲しい目にあってきたから桜子は、やっと幸せになれると思いまぁす(*^。^*)

解除
2020.09.30 ユーザー名の登録がありません

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青空一夏@「可愛くない私に~」書籍発売中
2020.09.30 青空一夏@「可愛くない私に~」書籍発売中

maro様
感想、ありがとうございまぁす😊
啓太君、続編楽しみにてますよー😆

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