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7 王太子から婚約破棄されました
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上位魔法どころか簡単な下位魔法すら使えなくなると、あれほど優しかった王妃殿下が一変しました。
「膨大な魔法の力はどこにいったのですか? カトリーヌは優秀な魔法使いだからベリスフォードの婚約者になれたのですよ。それが今では簡単な魔法も使えなくなるとは情けないとは思わないのですか?」
「全くだよ。カトリーヌは努力が足りないと思う」
ベリスフォード王太子殿下も同じように私を責めるのでした。改善を求められても自分ではどうすることもできません。私はこれ以上痩せないように、無理をして食事をとるように努力します。
ですが、身体が受け付けないのです。食べても吐いてしまうので、体重を増やすこともできませんでした。もちろん、魔力がよみがえることもなく、私は絶望に打ちひしがれたのです。
ニコルやハーマンも私が魔力を失いだした途端に、かつてのように意地悪をし始めます。伯父様夫妻も同様でした。
☆彡 ★彡
本日はベリスフォード王太子殿下の誕生日でした。すっかり元気になられたベリスフォード王太子殿下はお祝いのパーティの主役として、颯爽とした姿を披露していました。
彼はこの半年ほどで均整のとれた身体つきになり、身長も伸びて別人のように変わっていました。赤い髪は綺麗にセットされ、ルビーのような瞳はキラキラと輝き、右手の中指には炎のような色合いの宝石がついた指輪をしていました。
ベリスフォード王太子殿下は貴族たちにも堂々と挨拶をし、自信たっぷりに背筋を伸ばし、まさに次期国王に相応しいくらいのオーラを放っていました。そんな見違えるように立派になった彼が、突然多くの貴族の前で宣言します。
「カトリーヌ! お前とは婚約破棄する。魔力がなくなった者など私に到底相応しくない。やはり、半分しか尊い血を引き継がなかった卑しい女だから、魔力も安定しないのだろう。今ではお前の魔力はゼロだそうだな? こんな者と半年でも婚約者でいたなどおぞましいよ。モクレール侯爵、了承してくれるか?」
「はい、モクレール侯爵家としては謹んで婚約破棄を受け入れます。やはり、サーシャの娘など王太子妃になれるわけがないと思っていました。なにしろ、貴族の義務を放棄した愚かな妹の血を引いていますし、半分は庭師の血を引いています」
伯父様が嬉々として私への婚約破棄を受け入れたのは、ベリスフォード王太子殿下の傍らにニコルがべったりと寄り添っていたからでしょう。二人はいつの間にか、とても親しくなっていたようでした。
「婚約相手をニコルに替えたら良いかもしれませんね。こうなったのも、全てはカトリーヌが悪いのです。魔力が枯渇した者を王太子妃にするわけにはいきません。だいたい、魔力がない者など貴族とは言えないし、なにより人の上に立つ資格はありませんからね」
魔力がなければ貴族ではなく、なんの価値もないとおっしゃった王妃殿下は、今までにないくらいに楽しそうな表情をしていらっしゃいました。同時にベリスフォード王太子殿下には膨大な魔力があることを自慢なさって、かつての私のように業火の召喚もできるとおっしゃったのです。私はモクレール侯爵家を追い出され、教会に身を寄せました。
魔道士になるという輝かしい夢を見ていた私は身の程知らずだったのでしょうか?
王太子の婚約者になったことは間違いだったのでしょうか?
なぜ、魔力がなくなったのかもわからず、寝込むことが多くなった私の余命は、わずか1年と宣告されてしまったのでした。それからしばらくして、王家の騎士が私を捕らえに訪れました。
「ベリスフォード王太子殿下に、妖精の森に行くようそそのかした罪人として、お前を地下牢にいれる!」
そのように言われましたが、私にはなんのことかさっぱりわからないのでした。
「膨大な魔法の力はどこにいったのですか? カトリーヌは優秀な魔法使いだからベリスフォードの婚約者になれたのですよ。それが今では簡単な魔法も使えなくなるとは情けないとは思わないのですか?」
「全くだよ。カトリーヌは努力が足りないと思う」
ベリスフォード王太子殿下も同じように私を責めるのでした。改善を求められても自分ではどうすることもできません。私はこれ以上痩せないように、無理をして食事をとるように努力します。
ですが、身体が受け付けないのです。食べても吐いてしまうので、体重を増やすこともできませんでした。もちろん、魔力がよみがえることもなく、私は絶望に打ちひしがれたのです。
ニコルやハーマンも私が魔力を失いだした途端に、かつてのように意地悪をし始めます。伯父様夫妻も同様でした。
☆彡 ★彡
本日はベリスフォード王太子殿下の誕生日でした。すっかり元気になられたベリスフォード王太子殿下はお祝いのパーティの主役として、颯爽とした姿を披露していました。
彼はこの半年ほどで均整のとれた身体つきになり、身長も伸びて別人のように変わっていました。赤い髪は綺麗にセットされ、ルビーのような瞳はキラキラと輝き、右手の中指には炎のような色合いの宝石がついた指輪をしていました。
ベリスフォード王太子殿下は貴族たちにも堂々と挨拶をし、自信たっぷりに背筋を伸ばし、まさに次期国王に相応しいくらいのオーラを放っていました。そんな見違えるように立派になった彼が、突然多くの貴族の前で宣言します。
「カトリーヌ! お前とは婚約破棄する。魔力がなくなった者など私に到底相応しくない。やはり、半分しか尊い血を引き継がなかった卑しい女だから、魔力も安定しないのだろう。今ではお前の魔力はゼロだそうだな? こんな者と半年でも婚約者でいたなどおぞましいよ。モクレール侯爵、了承してくれるか?」
「はい、モクレール侯爵家としては謹んで婚約破棄を受け入れます。やはり、サーシャの娘など王太子妃になれるわけがないと思っていました。なにしろ、貴族の義務を放棄した愚かな妹の血を引いていますし、半分は庭師の血を引いています」
伯父様が嬉々として私への婚約破棄を受け入れたのは、ベリスフォード王太子殿下の傍らにニコルがべったりと寄り添っていたからでしょう。二人はいつの間にか、とても親しくなっていたようでした。
「婚約相手をニコルに替えたら良いかもしれませんね。こうなったのも、全てはカトリーヌが悪いのです。魔力が枯渇した者を王太子妃にするわけにはいきません。だいたい、魔力がない者など貴族とは言えないし、なにより人の上に立つ資格はありませんからね」
魔力がなければ貴族ではなく、なんの価値もないとおっしゃった王妃殿下は、今までにないくらいに楽しそうな表情をしていらっしゃいました。同時にベリスフォード王太子殿下には膨大な魔力があることを自慢なさって、かつての私のように業火の召喚もできるとおっしゃったのです。私はモクレール侯爵家を追い出され、教会に身を寄せました。
魔道士になるという輝かしい夢を見ていた私は身の程知らずだったのでしょうか?
王太子の婚約者になったことは間違いだったのでしょうか?
なぜ、魔力がなくなったのかもわからず、寝込むことが多くなった私の余命は、わずか1年と宣告されてしまったのでした。それからしばらくして、王家の騎士が私を捕らえに訪れました。
「ベリスフォード王太子殿下に、妖精の森に行くようそそのかした罪人として、お前を地下牢にいれる!」
そのように言われましたが、私にはなんのことかさっぱりわからないのでした。
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