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アイラは多分、もともと敵?
しおりを挟む普通科と魔法科、騎士科は授業や教室は基本的には分かれている。
でも、共通の科目があって、大きな教室に移動して合同で授業をうけることも少なくない。
アイラはいつもサイラスを右にセオドル王子を左に、前にはダカールで後ろにはカーシンという貴公子達に囲まれた席の真ん中に座っている。
「やれやれ、まるで女王バチだわね」
同じ魔法科のソフィアがつぶやくと、私の隣にいるナタリーが強くうなずいている。
アイラがサイラスに体を近づけ耳元でなにか囁いているのが見える。
サイラスの腕に触るアイラ、アイラに優しい目を向けるサイラス。
そして必ず、合同授業のあとにされる噂は、私がアイラのノートを破いたとか、テキストを隠したとか。
☆
お昼になって、魔法科のみんなと学食に移動した。
ソフィアとナタリーが私の隣に座り、マイケルはナタリーの前に座ってランチを食べる。
「ジュースをとってくるね」
私はおかわりのジュースを持ってこようと席をたち、少し離れた場所にあるジュースのピッチャーが並んでいるテーブルに向かう。そして、アイラがぶつかってきた。
「いやだぁーーージュースがこぼれちゃった。ドレスもびちゃびちゃよーーひどいわ!わざとぶつかるなんて!!」
アイラはピンクの大きな目に涙をいっぱい溜めている。
「え?あなたがぶつかってきたのでしょう?」
「えぇーーーひどいーーーーー」
アイラは泣きながらセオドル王子たちのところに走って行く。
4大貴公子たちは私を睨み付け悪口をいっているみたい。
そして、セオドル王子が私の方に歩いてくる。かなり怒っているようだ。
「ジュースはオレンジでいい?」
後ろからオレンジジュースが入っているコップを二つ持ったディラン様が来てふわりと微笑んだ。
「はい。ありがとうございます」
「早く食べよう。さぁ、おいで」
手をつないでくれて、席に戻ると、ナタリーはほっとしたような顔をしていた。
「あぁーーー本気で殴りたい!!」
ナタリーがブツブツと言っているのをマイケルが青ざめてなだめていた。
ディラン様はすごく黒い笑顔を浮かべて私の前に座っている。
セオドル王子はいったん引き返したようだが、今度はダカーリと一緒にやって来た。
「今、わざとアイラにぶつかったな!アイラに謝れ!」
セオドル王子がダカーリと一緒に私に忌々しそうな目を向ける。
「ふっ。ダカーリ・チキン!英雄とうたわれる騎士団長の息子が運悪くぶつかってジュースをこぼした女の子同士の些細ないざこざに首を突っ込むのかい? それと、セオドル王子、君の婚約者はポージだ。庇う相手が違うだろう?」
赤い目の中にはっきりとメラメラと揺れる炎が見える。炎の上級魔法使いのディラン様は怒るとこうなるみたい。
私はその綺麗な目にみとれていた。
彫刻のような綺麗な顔立ちだがたまに見せる表情は少し悪魔的?でも、いつもは朗らかで余裕がある顔をしている。
ディラン様といると安心できる。
炎の上級魔法使いの筆頭公爵嫡男の怒りを感じて、ダカーリはすぐに回れ右をして席に戻っていく。
「こ、今回だけは見逃してやる!以後、気をつけるように」
セオドル王子はもごもごと言って去って行った。
でも、アイラはなんであんなに変わったのだろう?
変わったのではないのかもしれない。
もともとは今みたいな子で前のアイラが嘘なのかしら?
アイラは私がもとから本当は嫌いだったのかしら?
いろいろ考えたけどもう疲れてしまった。
人の心のなかは誰にもわからないが、行動と目を見れば、どう思われているかは想像がつく。
☆
卒業パーティの前日、最後の学園の授業の日に、セオドル王子が放課後、魔法科の教室にやってきた。
「明日の卒業パーティはエスコートできない。すまないね。」
セオドル王子が、ブロンドの長い髪を王子様らしくなびかせて、颯爽とはいってきた。
「はい、かしこまりました」
「ふーーん。それなら、俺がエスコートしてもかまわないよねぇー?」
背後からディラン様が、黒い笑顔で微笑んでいた。
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