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1 魔力はゼロでした
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私はクリスティアーナ・コーディ伯爵令嬢。婚約者のオリオンは、カーソン候爵家の嫡男だ。この国は魔女の末裔が建国したと言われるアイザアス国。
女性は17歳の誕生日に、魔法の力が目覚める。特に我がコーディ伯爵家は代々強い力を持つ魔女が生まれてきたので、私は誰からも期待されていた。
そう、妹よりもずっと期待され当然のように膨大な魔力に目覚めると思われていたのだ。それは私の容姿によるものも大きい。コーディ伯爵家では銀髪にアメジストの瞳の女性が、膨大な魔力を持ちうまれてくることが多かったからだ。なので、当然私もそれなりの魔力に目覚めると誰も信じて疑わなかった。
アイザアス国では貴族の女性の17歳の誕生日には、魔法局員が検査をしに屋敷に訪れる。
「では、まず妹様の方からこの水晶に手をかざしてください」
その言葉に手をかざしたダイアナに反応した水晶がぼぉっと赤く輝いた。
「これは火の魔力をお持ちですな。これを焼き払ってみてください」
魔法局員は魔法でひとかたまりの森を、我が家の庭園の上空に浮かばせた。
「ファイアー」
ダイアナが言うと、その木の塊がたちまち激しく燃え上がった。
「火の魔力としては70レベルでしょうかねぇ。おめでとうございます」
ダイアナは70レベルと言われて、得意顔だった。平均レベルは50で、大抵はそれより低いから70と言えばまずまずの高得点だったから。
「では、次はクリスティアーナ様、どうぞこの水晶にお手をかざしてください」
私が手をかざすとすさまじい光が・・・・・・と思いきや、ウンともスンともこの水晶はいわないのだった。なんの反応もないことに魔法局員も「あり得ない・・・・・・」と、クビを傾げていた。
「ぷっ。あっはははは! お姉さまったら、なんの魔力もないなんて! なんというざまなのかしらぁ。あれだけ期待されてコーディ伯爵家の銀髪の大魔女の後継者と思われていたお姉様なのに、とんだインチキの偽物だったってわけね? ばっかみたい!」
いつもは私に従順なおとなしいダイアナがお腹を抱えて笑うのだった。
「魔力がゼロなんて恥さらしねぇ! これでは、社交界でいい笑い者になってしまうわ」
「全くだ! その銀髪にアメジストの瞳は、我がコーディ伯爵家では絶大な力をもつ魔女になると言われていたのに。見かけ倒しとは! いまいましい!」
それを見ていた優しかった両親も、ダイアナに同意して私を責め立てた。
ーーあぁ、私は魔力がなければ、こんなにも価値のない人間として扱われるんだ・・・・・
夜になると入浴の用意を侍女達がするが、それは大変な仕事だった。浴室に猫足のバスタブはあるけれど、厨房で沸かしたお湯を、くんできた井戸水と混ぜあわせて温度を調節するのだ。
今までは1番に、私の浴室のバスタブに湯がはられたが今は最後だ。お湯の量が少なくてほとんどお水になっている。
「魔力がゼロのクリスティアーナ様なんて、入浴できるだけましですわ」
「本来なら、この世界で1番の大魔女様の侍女だったはずなのに、こんな恥さらしのお嬢様の侍女なんて、やってられませんわ」
今まで誠心誠意仕えてくれたと思っていた専属侍女達は、すっかり冷たい目で私を見るのだった。
翌朝の身支度の手伝いも酷いものだった。
「い、痛い! そんなに乱暴にとかしたら、髪の毛が抜けてしまうわ」
「あら、お嫌でしたらご自分でなさってください」
あからさまに職務放棄をする侍女達に、私は情けない思いでいっぱいだった。
私の婚約者のオリオン様はその翌日にいらしてくださり、熱心に私に魔法の属性を聞いてきた。
「あ、あのね。属性はないわ。私は・・・・・・その・・・・・・魔力がなかったの」
「え? えぇーー! そ、そうなんだね・・・・・・ちょっと、すまない。私は急用を思い出した。残念だが、今日はこれで・・・・・・」
目を逸らせて顔を青ざめさせたオリオン様は、足早に帰って行き・・・・・・その二日後、婚約者は妹のダイアナに変っていた。
「ふふふっ。ごめんさいねぇーー。お姉様ぁーー。だって、オリオン様が役立たずの婚約者は次期カーソン候爵夫人にふさわしくないって言うのですものぉ」
私は両親に説明を求めたが、答えはとても冷たいものだった。
「説明? 魔力がゼロのお前がカーソン侯爵家に嫁げるわけがないでしょう? それどころか、男爵家ですらもらってくれないでしょうねぇ。困ったものだわ」
女性は17歳の誕生日に、魔法の力が目覚める。特に我がコーディ伯爵家は代々強い力を持つ魔女が生まれてきたので、私は誰からも期待されていた。
そう、妹よりもずっと期待され当然のように膨大な魔力に目覚めると思われていたのだ。それは私の容姿によるものも大きい。コーディ伯爵家では銀髪にアメジストの瞳の女性が、膨大な魔力を持ちうまれてくることが多かったからだ。なので、当然私もそれなりの魔力に目覚めると誰も信じて疑わなかった。
アイザアス国では貴族の女性の17歳の誕生日には、魔法局員が検査をしに屋敷に訪れる。
「では、まず妹様の方からこの水晶に手をかざしてください」
その言葉に手をかざしたダイアナに反応した水晶がぼぉっと赤く輝いた。
「これは火の魔力をお持ちですな。これを焼き払ってみてください」
魔法局員は魔法でひとかたまりの森を、我が家の庭園の上空に浮かばせた。
「ファイアー」
ダイアナが言うと、その木の塊がたちまち激しく燃え上がった。
「火の魔力としては70レベルでしょうかねぇ。おめでとうございます」
ダイアナは70レベルと言われて、得意顔だった。平均レベルは50で、大抵はそれより低いから70と言えばまずまずの高得点だったから。
「では、次はクリスティアーナ様、どうぞこの水晶にお手をかざしてください」
私が手をかざすとすさまじい光が・・・・・・と思いきや、ウンともスンともこの水晶はいわないのだった。なんの反応もないことに魔法局員も「あり得ない・・・・・・」と、クビを傾げていた。
「ぷっ。あっはははは! お姉さまったら、なんの魔力もないなんて! なんというざまなのかしらぁ。あれだけ期待されてコーディ伯爵家の銀髪の大魔女の後継者と思われていたお姉様なのに、とんだインチキの偽物だったってわけね? ばっかみたい!」
いつもは私に従順なおとなしいダイアナがお腹を抱えて笑うのだった。
「魔力がゼロなんて恥さらしねぇ! これでは、社交界でいい笑い者になってしまうわ」
「全くだ! その銀髪にアメジストの瞳は、我がコーディ伯爵家では絶大な力をもつ魔女になると言われていたのに。見かけ倒しとは! いまいましい!」
それを見ていた優しかった両親も、ダイアナに同意して私を責め立てた。
ーーあぁ、私は魔力がなければ、こんなにも価値のない人間として扱われるんだ・・・・・
夜になると入浴の用意を侍女達がするが、それは大変な仕事だった。浴室に猫足のバスタブはあるけれど、厨房で沸かしたお湯を、くんできた井戸水と混ぜあわせて温度を調節するのだ。
今までは1番に、私の浴室のバスタブに湯がはられたが今は最後だ。お湯の量が少なくてほとんどお水になっている。
「魔力がゼロのクリスティアーナ様なんて、入浴できるだけましですわ」
「本来なら、この世界で1番の大魔女様の侍女だったはずなのに、こんな恥さらしのお嬢様の侍女なんて、やってられませんわ」
今まで誠心誠意仕えてくれたと思っていた専属侍女達は、すっかり冷たい目で私を見るのだった。
翌朝の身支度の手伝いも酷いものだった。
「い、痛い! そんなに乱暴にとかしたら、髪の毛が抜けてしまうわ」
「あら、お嫌でしたらご自分でなさってください」
あからさまに職務放棄をする侍女達に、私は情けない思いでいっぱいだった。
私の婚約者のオリオン様はその翌日にいらしてくださり、熱心に私に魔法の属性を聞いてきた。
「あ、あのね。属性はないわ。私は・・・・・・その・・・・・・魔力がなかったの」
「え? えぇーー! そ、そうなんだね・・・・・・ちょっと、すまない。私は急用を思い出した。残念だが、今日はこれで・・・・・・」
目を逸らせて顔を青ざめさせたオリオン様は、足早に帰って行き・・・・・・その二日後、婚約者は妹のダイアナに変っていた。
「ふふふっ。ごめんさいねぇーー。お姉様ぁーー。だって、オリオン様が役立たずの婚約者は次期カーソン候爵夫人にふさわしくないって言うのですものぉ」
私は両親に説明を求めたが、答えはとても冷たいものだった。
「説明? 魔力がゼロのお前がカーソン侯爵家に嫁げるわけがないでしょう? それどころか、男爵家ですらもらってくれないでしょうねぇ。困ったものだわ」
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