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2 魔力はゼロなはずなのに・・・・・・
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専属侍女達は私をすっかり舐めてかかって、率先してダイアナに気に入られようとしていた。
「ダイアナ様のお目にとまれば、きっといいことがありますわ」
「そうね。こんな役立たずのクリスティアーナ様より、何倍もダイアナ様に尽くした方が安泰だわ」
そんな言葉をわざと私に聞こえるように言う侍女達。食事どきでも、給仕をしてくれるはずの侍女は皆ダイアナのほうにいってしまう。
熱いスープを私のドレスに跳ねるように乱暴にテーブルに置く侍女。肉は焼けすぎて固く焦げていたし、魚は生焼けだった。サラダだけはまともに食べられそうだと思ったのに、ドレッシングではなく思いっきりレモン汁がそのままかかっていただけだった。
ダイアナがチラチラと私を見て、にやついているのが見えた。侍女達もクスクスと忍び笑いをしている。そういうことね。
ーーこの生焼けのお魚とダイアナのお魚が代わってしまえばいいのに・・・・・・
私が心のなかで思った瞬間に、どういうわけか私のお皿のお魚からこんがりと焼けた香ばしい香りが漂ってきたのだった。試しに、お魚用ナイフで切ってみると中までしっかりと焼かれていた。
ーーおかしいわ。さっきまで生焼けだったのに・・・・・・
「きゃっ! この魚焼けてないわよ! どういうこと? なかが生じゃない」
さきほどまで、にやついていたダイアナがナイフとフォークをテーブルに投げつけ、カンカンに怒っていた。
ーーあらあら、可哀想に。お魚がちゃんと焼けていれば良かったのにねぇ。でも、ナイフとフォークは投げつけてはいけませんよ。
「あ、あれ? お魚が・・・・・・ん? 焼けていたみたい・・・・・・おかしいわねぇ・・・・・・さっきまで生だったような気がしたのにぃーー」
ダイアナが投げつけたはずのナイフとフォークは、もとの位置に戻っていたけれど、侍女達は少しも気がつかなかった。
庭園をお散歩していると侍女達が私に向かって、掃除をし終わったバケツの汚水をかけてきた。
「すいませぇーーん。クリスティアーナ様は魔力がゼロなので存在感がなさすぎて、そこを通っていらっしゃったのも見えませんでしたぁーー」
私の専属侍女がダイアナにアピールする為に率先して私に意地悪をするのが嘆かわしい。そんなことをしても、ダイアナは嫁ぎ先には自分の専属侍女しか連れていかないと思うのに・・・・・・ダイアナはニヤニヤしながらそれを見ている。
「掃除をし終わった水をこのようなところにぶちまけていいはずがないでしょう?」
私の言葉が言い終わると同時に、ダイアナの侍女がさらに私に汚水をぶちまけようとしているのが見えた。
ーーやれやれ、自分がその汚水をかぶって反省なさいな
「きゃぁーー。な、なんでバケツが勝手にひっくり返るのよ? うわぁーーん! くさぁーーい! って、なぁにこの水! こんなくさいはずないのにぃーー」
「うわっ! なに、へましてるのよ! 私にまでかかったじゃないの! この酷いにおいはなによ?」
ダイアナもきゃぁきゃぁと騒いで、あたふたと去っていった。
「うーーん。なにかさっきから変ねぇーー。私の魔力はゼロじゃなかった? なんで、思ったことが現実になるのかしら?」
思わずそうつぶやいて、両手をまじまじと見る私なのだった。
「なんだ! 騒がしいなぁ! ん? クリスティアーナか! 庭園を優雅に散歩している暇があったら、せいぜいその美貌を磨きなさい! 魔力がゼロの女など、まともな結婚などできないだろうからな。年寄り貴族の後妻か金持ちの遊び人の妾にでもなるしかないさ。早速、相手を探さなくては・・・・・・まったく厄介者だ」
お父様が執務室の窓からそう怒鳴りちらしてきたけれど、私はお父様の口の横のソースが気になっていた。
ーー全くいい歳をして、食後に鏡も見ないで口の端のソースも拭わないなど、コーディ伯爵として恥ずかしいですわ。
私が心のなかでそう思った瞬間、一枚のナプキンがまるで生き物のようにお父様の口の端をゴシゴシと擦りつづけたのだった。
「痛い。痛い。なんだ、これは! おい、誰か、なんとかしろ!」
ーー口の端は真っ赤になっていたけれど、ソースはとれたみたい。もういいわね。
「あ? あれ、ナプキンが消えた? なんだ、これ? ・・・・・・さっぱり、わからん・・・・・・」
ーーあら、まぁ、私、どうやら魔力ゼロではないようですね・・・・・・
「ダイアナ様のお目にとまれば、きっといいことがありますわ」
「そうね。こんな役立たずのクリスティアーナ様より、何倍もダイアナ様に尽くした方が安泰だわ」
そんな言葉をわざと私に聞こえるように言う侍女達。食事どきでも、給仕をしてくれるはずの侍女は皆ダイアナのほうにいってしまう。
熱いスープを私のドレスに跳ねるように乱暴にテーブルに置く侍女。肉は焼けすぎて固く焦げていたし、魚は生焼けだった。サラダだけはまともに食べられそうだと思ったのに、ドレッシングではなく思いっきりレモン汁がそのままかかっていただけだった。
ダイアナがチラチラと私を見て、にやついているのが見えた。侍女達もクスクスと忍び笑いをしている。そういうことね。
ーーこの生焼けのお魚とダイアナのお魚が代わってしまえばいいのに・・・・・・
私が心のなかで思った瞬間に、どういうわけか私のお皿のお魚からこんがりと焼けた香ばしい香りが漂ってきたのだった。試しに、お魚用ナイフで切ってみると中までしっかりと焼かれていた。
ーーおかしいわ。さっきまで生焼けだったのに・・・・・・
「きゃっ! この魚焼けてないわよ! どういうこと? なかが生じゃない」
さきほどまで、にやついていたダイアナがナイフとフォークをテーブルに投げつけ、カンカンに怒っていた。
ーーあらあら、可哀想に。お魚がちゃんと焼けていれば良かったのにねぇ。でも、ナイフとフォークは投げつけてはいけませんよ。
「あ、あれ? お魚が・・・・・・ん? 焼けていたみたい・・・・・・おかしいわねぇ・・・・・・さっきまで生だったような気がしたのにぃーー」
ダイアナが投げつけたはずのナイフとフォークは、もとの位置に戻っていたけれど、侍女達は少しも気がつかなかった。
庭園をお散歩していると侍女達が私に向かって、掃除をし終わったバケツの汚水をかけてきた。
「すいませぇーーん。クリスティアーナ様は魔力がゼロなので存在感がなさすぎて、そこを通っていらっしゃったのも見えませんでしたぁーー」
私の専属侍女がダイアナにアピールする為に率先して私に意地悪をするのが嘆かわしい。そんなことをしても、ダイアナは嫁ぎ先には自分の専属侍女しか連れていかないと思うのに・・・・・・ダイアナはニヤニヤしながらそれを見ている。
「掃除をし終わった水をこのようなところにぶちまけていいはずがないでしょう?」
私の言葉が言い終わると同時に、ダイアナの侍女がさらに私に汚水をぶちまけようとしているのが見えた。
ーーやれやれ、自分がその汚水をかぶって反省なさいな
「きゃぁーー。な、なんでバケツが勝手にひっくり返るのよ? うわぁーーん! くさぁーーい! って、なぁにこの水! こんなくさいはずないのにぃーー」
「うわっ! なに、へましてるのよ! 私にまでかかったじゃないの! この酷いにおいはなによ?」
ダイアナもきゃぁきゃぁと騒いで、あたふたと去っていった。
「うーーん。なにかさっきから変ねぇーー。私の魔力はゼロじゃなかった? なんで、思ったことが現実になるのかしら?」
思わずそうつぶやいて、両手をまじまじと見る私なのだった。
「なんだ! 騒がしいなぁ! ん? クリスティアーナか! 庭園を優雅に散歩している暇があったら、せいぜいその美貌を磨きなさい! 魔力がゼロの女など、まともな結婚などできないだろうからな。年寄り貴族の後妻か金持ちの遊び人の妾にでもなるしかないさ。早速、相手を探さなくては・・・・・・まったく厄介者だ」
お父様が執務室の窓からそう怒鳴りちらしてきたけれど、私はお父様の口の横のソースが気になっていた。
ーー全くいい歳をして、食後に鏡も見ないで口の端のソースも拭わないなど、コーディ伯爵として恥ずかしいですわ。
私が心のなかでそう思った瞬間、一枚のナプキンがまるで生き物のようにお父様の口の端をゴシゴシと擦りつづけたのだった。
「痛い。痛い。なんだ、これは! おい、誰か、なんとかしろ!」
ーー口の端は真っ赤になっていたけれど、ソースはとれたみたい。もういいわね。
「あ? あれ、ナプキンが消えた? なんだ、これ? ・・・・・・さっぱり、わからん・・・・・・」
ーーあら、まぁ、私、どうやら魔力ゼロではないようですね・・・・・・
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