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4 愚かな王太子とダイアナはお似合い
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「お姉様、聞いてちょうだい! 来週、王家主催の舞踏会が開かれるのよ。その時に私が王太子殿下の婚約者だと発表されるのよ!」
「あら、素敵ね」
ずいぶん急に決まるものだと私は感心したと同時に、王太子殿下の無能さが露呈されているようにも思った。だってダイアナにまだ会ってないと思うのだけれど、今世紀最強の魔女なんて決めつけておバカさんだと思う。
「ダイアナは王太子殿下にお会いしたことは?」
「その舞踏会が初めてよ」
「あら、まぁ・・・・・・」
私が驚きの声をあげるとお母様が私をたしなめた。
「こんなことはよくあることですよ。いきなり会ったこともない人と結婚させられるのは貴族の常識ですよ」
ーーうわぁ。それはひと昔の話だと思うけれど・・・・・・
「でね、お姉様! ほら、このドレスを見てちょうだい。なんとダイヤが散りばめられていますのよ。王太子殿下からのプレゼントですわ」
妹は淡いピンクのドレスの裾や胸のあたりに、びっしりと縫い付けられたダイヤを自慢した。
「あらまぁ、もったいない。こんなことにお金を使うなんて。今年は農作物が不作で農民達はずいぶん苦しんで餓死した者もいるというのに、ドレスに宝石を散りばめるなんて無駄なことを・・・・・・」
「あら、お姉様って面白いですぅ。農民なんて死んだところでどうってことないでしょう? 平民なんて貴族の私達が贅沢する為にいるのです」
――あれが、王太子妃になるのじゃぁアイザアス国もおしまいね・・・・・・
そうそう、妹の髪は5倍で伸びたけれど、それは流石に私も普通に伸びるように戻してあげた。だって、鼻毛まで伸びちゃって毎朝ボウボウの鼻毛を出されて、話しかけられるのに私の腹筋がもたなかったから。
ダイアナはあれから何度も私にしつこく『輝く女になる』と連呼するので、私は何度もアルトゥーロさんを思い出し、その度にダイアナは伸びかけた髪を失った。
えっと、これは断じて意地悪ではない。だって、輝く女になりたいって言うけれどダイアナは中身を少しも磨かないのだもの。勉強もせず思いやりもなく、底意地の悪い女性が輝くなんて頭でなんとかするしかないと思うの。
ということで、あの子が少しがんばって努力するなら夜中にもピカピカ自然発光させてあげようかな、って今思ってる。ささやかなご褒美だわ。
ꕤ୭*
今日も私は森で、オースティン第2王子殿下とおしゃべりをしていた。彼がときおり風魔法でいろいろなものを吹き飛ばすから、私がそのあと元に戻してあげる。
例えば木を根っこごと吹き飛ばしたので、私が「元にもどればいいのに」とつぶやいて木を元通りにするみたいなことよ。
「そうだ、王太子妃にコーディ伯爵家の令嬢が選ばれたんだよ。婚約発表を兼ねた舞踏会に君も来るだろう?」
「あら、行きませんわ。だって、私魔力ゼロですし誰もエスコートしてくださいませんわ」
「魔力ゼロ? あの魔法局員って無能だからなぁ。君の無属性の固有魔法に気がつかなかったんだね? だったら、私がエスコートするよ。君は・・・・・・あのコーディ伯爵家の長女だろう?」
「よくわかっていらっしゃいますね?」
「まぁね。それぐらい気がつかないマヌケじゃ、王宮で生きていけないよ。じゃぁ、ドレスを贈るよ」
「それには及びませんわ。ドレスぐらい、自分でこの通り、調達できます。ブルーのドレスになぁれ」
あとの言葉は自分に向かってつぶやくと、若草色の簡素なドレスがたちまち豪華な舞踏会用のブルーのドレスに変わった。
「うわぁ、ちょっと待って。新種の魔法使いって無敵すぎるよ。ドレスぐらいプレゼントさせてよ。色はブルーがいいんだね」
「ええ。気をつけていただきたいのは、けっして宝石なんか散りばめられたものを贈らないでくださいね。農民が苦しんでいるのに財政の無駄遣いです。そんなことに使うために農民から税金をとってはいけませんわ。そんなおバカさんは、鼻の上に大きなおできでもできればいいのですわ」
「あっははは。私はそんなことはしないよ。豪華すぎず質素すぎず、君にふさわしいドレスを贈るよ。でも、今日は王宮に戻るのが楽しみだよ。兄上の顔を早く見たい。じゃぁな」
「はい、またね! 私も帰りましょう。このまま自分のお部屋に戻してちょうだい」
自分に向かってつぶやくと、もうそこは自分のお部屋だった。
あぁーー無属性の固有魔法ってば、最高だわぁ。
その数日後、第2王子殿下から私に届いたドレスは確かに豪華すぎず質素すぎず、バランスのとれた品の良いドレスだった。
「あら、第2王子殿下って無能なお姉様が好みなのかしらぁーー。それにしても、そのドレスの冴えないこと。宝石のひとつもついていないなんて! あっははは。やっぱり、王太子殿下のほうが権力があるものねぇーー。第2王子殿下は王太子殿下と王妃陛下にすっごく嫌われているそうよぉ。病に伏している国王陛下が亡くなったら、きっと殺されるわ。あっははは」
「お黙りなさい! しばらくそのくだらないことばかり言う口を閉じていなさいな。 第2王子殿下を殺させはしないわ」
ダイアナが日付が変わるまで声がでなくなったことを私は気がつかないでいた。
真夜中の12時
「ぷはぁーー。あ、あ、あ、こちらダイアナです。声がでてる! 声が戻ったわ。お母様ぁーーーー。聞いてぇーー。私ね、声が出なかったのぉーー」
真夜中に騒ぐそのうるさい声を聞いて気がついた。
ーーあら、まぁ、道理で静かなディナーだと思った。おかげで、とても夕食が美味しかったわ。あの子は、ひと言多すぎるからたまにはいいわよね。
「あら、素敵ね」
ずいぶん急に決まるものだと私は感心したと同時に、王太子殿下の無能さが露呈されているようにも思った。だってダイアナにまだ会ってないと思うのだけれど、今世紀最強の魔女なんて決めつけておバカさんだと思う。
「ダイアナは王太子殿下にお会いしたことは?」
「その舞踏会が初めてよ」
「あら、まぁ・・・・・・」
私が驚きの声をあげるとお母様が私をたしなめた。
「こんなことはよくあることですよ。いきなり会ったこともない人と結婚させられるのは貴族の常識ですよ」
ーーうわぁ。それはひと昔の話だと思うけれど・・・・・・
「でね、お姉様! ほら、このドレスを見てちょうだい。なんとダイヤが散りばめられていますのよ。王太子殿下からのプレゼントですわ」
妹は淡いピンクのドレスの裾や胸のあたりに、びっしりと縫い付けられたダイヤを自慢した。
「あらまぁ、もったいない。こんなことにお金を使うなんて。今年は農作物が不作で農民達はずいぶん苦しんで餓死した者もいるというのに、ドレスに宝石を散りばめるなんて無駄なことを・・・・・・」
「あら、お姉様って面白いですぅ。農民なんて死んだところでどうってことないでしょう? 平民なんて貴族の私達が贅沢する為にいるのです」
――あれが、王太子妃になるのじゃぁアイザアス国もおしまいね・・・・・・
そうそう、妹の髪は5倍で伸びたけれど、それは流石に私も普通に伸びるように戻してあげた。だって、鼻毛まで伸びちゃって毎朝ボウボウの鼻毛を出されて、話しかけられるのに私の腹筋がもたなかったから。
ダイアナはあれから何度も私にしつこく『輝く女になる』と連呼するので、私は何度もアルトゥーロさんを思い出し、その度にダイアナは伸びかけた髪を失った。
えっと、これは断じて意地悪ではない。だって、輝く女になりたいって言うけれどダイアナは中身を少しも磨かないのだもの。勉強もせず思いやりもなく、底意地の悪い女性が輝くなんて頭でなんとかするしかないと思うの。
ということで、あの子が少しがんばって努力するなら夜中にもピカピカ自然発光させてあげようかな、って今思ってる。ささやかなご褒美だわ。
ꕤ୭*
今日も私は森で、オースティン第2王子殿下とおしゃべりをしていた。彼がときおり風魔法でいろいろなものを吹き飛ばすから、私がそのあと元に戻してあげる。
例えば木を根っこごと吹き飛ばしたので、私が「元にもどればいいのに」とつぶやいて木を元通りにするみたいなことよ。
「そうだ、王太子妃にコーディ伯爵家の令嬢が選ばれたんだよ。婚約発表を兼ねた舞踏会に君も来るだろう?」
「あら、行きませんわ。だって、私魔力ゼロですし誰もエスコートしてくださいませんわ」
「魔力ゼロ? あの魔法局員って無能だからなぁ。君の無属性の固有魔法に気がつかなかったんだね? だったら、私がエスコートするよ。君は・・・・・・あのコーディ伯爵家の長女だろう?」
「よくわかっていらっしゃいますね?」
「まぁね。それぐらい気がつかないマヌケじゃ、王宮で生きていけないよ。じゃぁ、ドレスを贈るよ」
「それには及びませんわ。ドレスぐらい、自分でこの通り、調達できます。ブルーのドレスになぁれ」
あとの言葉は自分に向かってつぶやくと、若草色の簡素なドレスがたちまち豪華な舞踏会用のブルーのドレスに変わった。
「うわぁ、ちょっと待って。新種の魔法使いって無敵すぎるよ。ドレスぐらいプレゼントさせてよ。色はブルーがいいんだね」
「ええ。気をつけていただきたいのは、けっして宝石なんか散りばめられたものを贈らないでくださいね。農民が苦しんでいるのに財政の無駄遣いです。そんなことに使うために農民から税金をとってはいけませんわ。そんなおバカさんは、鼻の上に大きなおできでもできればいいのですわ」
「あっははは。私はそんなことはしないよ。豪華すぎず質素すぎず、君にふさわしいドレスを贈るよ。でも、今日は王宮に戻るのが楽しみだよ。兄上の顔を早く見たい。じゃぁな」
「はい、またね! 私も帰りましょう。このまま自分のお部屋に戻してちょうだい」
自分に向かってつぶやくと、もうそこは自分のお部屋だった。
あぁーー無属性の固有魔法ってば、最高だわぁ。
その数日後、第2王子殿下から私に届いたドレスは確かに豪華すぎず質素すぎず、バランスのとれた品の良いドレスだった。
「あら、第2王子殿下って無能なお姉様が好みなのかしらぁーー。それにしても、そのドレスの冴えないこと。宝石のひとつもついていないなんて! あっははは。やっぱり、王太子殿下のほうが権力があるものねぇーー。第2王子殿下は王太子殿下と王妃陛下にすっごく嫌われているそうよぉ。病に伏している国王陛下が亡くなったら、きっと殺されるわ。あっははは」
「お黙りなさい! しばらくそのくだらないことばかり言う口を閉じていなさいな。 第2王子殿下を殺させはしないわ」
ダイアナが日付が変わるまで声がでなくなったことを私は気がつかないでいた。
真夜中の12時
「ぷはぁーー。あ、あ、あ、こちらダイアナです。声がでてる! 声が戻ったわ。お母様ぁーーーー。聞いてぇーー。私ね、声が出なかったのぉーー」
真夜中に騒ぐそのうるさい声を聞いて気がついた。
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