1 / 7
1 無駄働きでしたよね?
しおりを挟む
「アネット様こそが強大なお力をもつご神託どおりの聖女様でございます!」
聖女鑑定の測定器具の針がギュインと跳ね上がり、ボンッとそれが破裂した。悔しそうに口を噛みしめたのは侯爵令嬢のハニワ・コフン様。
ーーそりゃ、そーよね。あちらは王家の血も引くサラブレッドの美少女、こちらは薄汚れた孤児の平民娘。美少女というには痩せすぎていたし、手入れもしていない髪はパサついていた。
神官の誰もが一瞬戸惑ったが、測定器具の数値は今更誤魔化せない。微妙な雰囲気のなかで聖女様になってしまい神殿にとじこめられること半年。
聖女様って聞こえはいいけどタダで病気や怪我を治し、魔獣退治にもその力を貸すハードでブラックな仕事。ただじゃないか・・・・・・癒やしてもらう者は神殿に寄付をするけれど、私の懐には1フラン(1フラン=1円)も入らないだけ。
ある日、カール王太子殿下が魔獣に襲われ大怪我をして運びこまれた。手足はちぎれ、虫の息の彼を救ったのは私だ。
「まさに奇跡だ。貴女は私の命の恩人! 妻に迎えよう」
そう言いながら王太子は気絶した。せっかく助かっていきなり気絶した王太子殿下に戸惑いながらも、この迷惑な申し出にため息がでた。
王太子殿下の婚約者になった私は前にもまして働かされた。
「将来の王太子妃、ゆくゆくは王妃になられるのです! 人民の為に徹夜で治療にあたるように」
睡眠時間はたった3時間! 食事は質素で服装も質素。
「これは民の気持ちを知る為です」
いちいち聞かされるもっともらしい理由にただうなづいた。他の貴族の聖女達はもっと好待遇なことも知らずに。
国1番の強大な力を持つ聖女様の私はこのような劣悪な環境におかれてもアグスティン国に心からの忠誠を誓っていた。(ウブだったわよね? 裏切られることも知らずに)
どんな強敵にも立ち向かい倒した魔獣は数知れず、あらゆる病気も癒やした私。
けれど、その力はあまりに大きすぎてやがて人々の畏怖は恐怖と嫌悪に変わっていった。
「あそこまで強い聖女なんて今までいたか? おかしいよ。魔竜まで手なづけてしまうなんて、もしかして魔女なんじゃぁ?」
「たしかに、死にかけた王太子まで生き返らせるなんて聖女にできるか? 実は悪魔が聖女の姿を借りて出てきたのでは?」
今まで散々私に助けてもらったアグスティン国の人々は私を迫害し始めた。
「本当の聖女はこのハニワだ! あいつは悪魔の化身!追放する!」
命令したのは命を助けたカール王太子殿下。
――こんなことなら救うんじゃなかった! あの恩知らずめ!
逃亡しながら森の中を彷徨い歩いているうちに、崖から足を滑らせ落ちていくー落ちていく。
ーー死ぬのね。悔しいよ。もしやり直せるなら、もう必死になんか働いてやるもんか!
聖女鑑定の測定器具の針がギュインと跳ね上がり、ボンッとそれが破裂した。悔しそうに口を噛みしめたのは侯爵令嬢のハニワ・コフン様。
ーーそりゃ、そーよね。あちらは王家の血も引くサラブレッドの美少女、こちらは薄汚れた孤児の平民娘。美少女というには痩せすぎていたし、手入れもしていない髪はパサついていた。
神官の誰もが一瞬戸惑ったが、測定器具の数値は今更誤魔化せない。微妙な雰囲気のなかで聖女様になってしまい神殿にとじこめられること半年。
聖女様って聞こえはいいけどタダで病気や怪我を治し、魔獣退治にもその力を貸すハードでブラックな仕事。ただじゃないか・・・・・・癒やしてもらう者は神殿に寄付をするけれど、私の懐には1フラン(1フラン=1円)も入らないだけ。
ある日、カール王太子殿下が魔獣に襲われ大怪我をして運びこまれた。手足はちぎれ、虫の息の彼を救ったのは私だ。
「まさに奇跡だ。貴女は私の命の恩人! 妻に迎えよう」
そう言いながら王太子は気絶した。せっかく助かっていきなり気絶した王太子殿下に戸惑いながらも、この迷惑な申し出にため息がでた。
王太子殿下の婚約者になった私は前にもまして働かされた。
「将来の王太子妃、ゆくゆくは王妃になられるのです! 人民の為に徹夜で治療にあたるように」
睡眠時間はたった3時間! 食事は質素で服装も質素。
「これは民の気持ちを知る為です」
いちいち聞かされるもっともらしい理由にただうなづいた。他の貴族の聖女達はもっと好待遇なことも知らずに。
国1番の強大な力を持つ聖女様の私はこのような劣悪な環境におかれてもアグスティン国に心からの忠誠を誓っていた。(ウブだったわよね? 裏切られることも知らずに)
どんな強敵にも立ち向かい倒した魔獣は数知れず、あらゆる病気も癒やした私。
けれど、その力はあまりに大きすぎてやがて人々の畏怖は恐怖と嫌悪に変わっていった。
「あそこまで強い聖女なんて今までいたか? おかしいよ。魔竜まで手なづけてしまうなんて、もしかして魔女なんじゃぁ?」
「たしかに、死にかけた王太子まで生き返らせるなんて聖女にできるか? 実は悪魔が聖女の姿を借りて出てきたのでは?」
今まで散々私に助けてもらったアグスティン国の人々は私を迫害し始めた。
「本当の聖女はこのハニワだ! あいつは悪魔の化身!追放する!」
命令したのは命を助けたカール王太子殿下。
――こんなことなら救うんじゃなかった! あの恩知らずめ!
逃亡しながら森の中を彷徨い歩いているうちに、崖から足を滑らせ落ちていくー落ちていく。
ーー死ぬのね。悔しいよ。もしやり直せるなら、もう必死になんか働いてやるもんか!
160
あなたにおすすめの小説
聖女解任ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私はマリア、職業は大聖女。ダグラス王国の聖女のトップだ。そんな私にある日災難(婚約者)が災難(難癖を付け)を呼び、聖女を解任された。やった〜っ!悩み事が全て無くなったから、2度と聖女の職には戻らないわよっ!?
元聖女がやっと手に入れた自由を満喫するお話しです。
婚約破棄ですか?あなたは誰に向かって口をきいているのですか!?
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私、マリアンヌ・バークレーは王宮の誕生日パーティーでいきなり婚約破棄を言い渡された。は!?婚約破棄ですか?あなたは誰ですの?誰にモノを言っているのですか?頭大丈夫ですか?
私、今から婚約破棄されるらしいですよ!卒業式で噂の的です
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私、アンジュ・シャーロック伯爵令嬢には婚約者がいます。女好きでだらしがない男です。婚約破棄したいと父に言っても許してもらえません。そんなある日の卒業式、学園に向かうとヒソヒソと人の顔を見て笑う人が大勢います。えっ、私婚約破棄されるのっ!?やったぁ!!待ってました!!
婚約破棄から幸せになる物語です。
全てを奪われてしまいそうなので、ざまぁします!!
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
義母に全てを奪われたジュディ。何とかメイドの仕事を見つけるも義母がお金の無心にやって来ます。
私、もう我慢の限界なんですっ!!
国外追放ですか?畏まりました(はい、喜んでっ!)
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私は、セイラ・アズナブル。聖女候補として全寮制の聖女学園に通っています。1番成績が優秀なので、第1王子の婚約者です。けれど、突然婚約を破棄され学園を追い出され国外追放になりました。やった〜っ!!これで好きな事が出来るわ〜っ!!
隣国で夢だったオムライス屋はじめますっ!!そしたら何故か騎士達が常連になって!?精霊も現れ!?
何故かとっても幸せな日々になっちゃいます。
聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。
よくある聖女追放ものです。
聖女は魔女の濡れ衣を被せられ、魔女裁判に掛けられる。が、しかし──
naturalsoft
ファンタジー
聖女シオンはヒーリング聖王国に遥か昔から仕えて、聖女を輩出しているセイント伯爵家の当代の聖女である。
昔から政治には関与せず、国の結界を張り、周辺地域へ祈りの巡礼を日々行っていた。
そんな中、聖女を擁護するはずの教会から魔女裁判を宣告されたのだった。
そこには教会が腐敗し、邪魔になった聖女を退けて、教会の用意した従順な女を聖女にさせようと画策したのがきっかけだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる