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後編 聖女は死にました ※残酷のR15
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残酷のR15です
私は聖女。本来は魔物から人を守る役目を持つ。けれど、私は聖女から卒業することを決めた。まずはこの地下牢から脱出しないとね。
私は魔物を封じ込める為の力を初めて人間に使う。手をかざして呪文を唱える。
「邪悪なものよ。その手足に聖なる架せを! 我が命に従え!」
地下牢の番人の自由と牢屋の鍵を奪い脱出する。向かうは魔物の住む森である。
私は森の前に立ち魔物を閉じ込めていた封印を解き放ち、自らがその森に足を踏み入れた。私が制御していた魔物達の力はとても弱くなっていた。だから私は牢屋の番人から奪った鋭いナイフで自らの胸を突き刺す。血が噴き出し、私の命がそれと共にゆっくりと流れ落ちていく。この体は魔物達の力の源になるのだ。
「私の肉を喰らい、始祖の力を取り戻せ! 魔王よ、蘇りたまえ! この聖女が生け贄になり魔物に力を与える……ふっ……あっははは……私は愚かなオスカー国王達の為には死なない。魔物に力を与える為にこそ死ぬことを選ぶわ」
微笑みながらそう言うと静かに目を閉じた。
もうすぐ死ぬのね。痛みはもう感じない。お父様とお母様が手を広げて待っている光の中に溶けていく感覚。光に見えるのはもしかして闇かもしれない。そして、手を広げてほほえんでいるのはお父様とお母様ではなく悪魔なのかもしれない。
それでも私は人柱になってくだらない王家の犠牲にならずに死ねて本望だ。願わくば、あの王家と強欲な貴族達、お馬鹿さんな民衆達も全てを滅ばしてこの国を血の海で満たせばいい!
お願い、滅ぼしてよ! この世界を!
魔物達は聖女に群がりその体を喰らいつくす。そうしてある者は巨大化しある者は形をより複雑に変化させた。魔物が聖女を喰らうことにより飛躍的に強くなった証。もう誰もこの魔物達を止めることはできない。
王宮ではオスカー国王陛下がローゼッタといちゃつきながら甘い時間を楽しんでいたが、魔物が住む森の封印が解けたことや魔物凶暴化の部下からの報告に驚愕するのだった。
「まさか……ありえない! そうだ。聖女だ。地下牢に閉じ込めていた聖女を連れて来い」
「それがいません! 脱獄したようです。手紙が一通だけ残されていました」
私、聖女でありトラディショナル公爵家の一人娘ヴィクトリアは魔物達の為に人柱の役目を謹んでお受けいたします。この身は生け贄となり魔王の復活すら可能にさせるでしょう。
「まさか……聖女の血肉を喰らった魔物なんて誰にも滅ぼせないじゃないか……もう、お終いだよ……しかも魔王まで蘇る?」
オスカー国王陛下は恐ろしさに震えながらも、王宮の隠し部屋に側近達と怯えて暮らしはじめた。ローゼッタは恐怖で気が狂い目の焦点が定まらない。
その二日後には王宮の周りを魔物達が取り囲み、続々と侵入してくる気配に息を潜めていた。隠し部屋など見つかるのは時間の問題。魔物がヒタヒタと近づいてくる音は狩りを楽しむ勝者のもの。勢いよく開けられた秘密の扉の前では無数の蠢く異形の生き物がよだれを垂らして立っていた。
「ヴィクトリア! 助けてくれ!」
裏切った女の名を口走り逃げ惑うオスカー国王陛下の手足は食いちぎられ、頭を鷲づかみにされてぐしゃりとトマトのように潰された。それを見つめるローゼッタは狂気の世界から一瞬現実に戻ったようだ。
「こっちに来ないで。死にたくない。お願い、助け……」
言い終わらないうちに頭をもがれて、手足だけがしばらくの間死んだことも理解できずにばたばたと動く。
すべてが血の海と化したなかでヴィクトリアが生前愛した白い百合だけが綺麗に咲き誇っていた。
完
私は聖女。本来は魔物から人を守る役目を持つ。けれど、私は聖女から卒業することを決めた。まずはこの地下牢から脱出しないとね。
私は魔物を封じ込める為の力を初めて人間に使う。手をかざして呪文を唱える。
「邪悪なものよ。その手足に聖なる架せを! 我が命に従え!」
地下牢の番人の自由と牢屋の鍵を奪い脱出する。向かうは魔物の住む森である。
私は森の前に立ち魔物を閉じ込めていた封印を解き放ち、自らがその森に足を踏み入れた。私が制御していた魔物達の力はとても弱くなっていた。だから私は牢屋の番人から奪った鋭いナイフで自らの胸を突き刺す。血が噴き出し、私の命がそれと共にゆっくりと流れ落ちていく。この体は魔物達の力の源になるのだ。
「私の肉を喰らい、始祖の力を取り戻せ! 魔王よ、蘇りたまえ! この聖女が生け贄になり魔物に力を与える……ふっ……あっははは……私は愚かなオスカー国王達の為には死なない。魔物に力を与える為にこそ死ぬことを選ぶわ」
微笑みながらそう言うと静かに目を閉じた。
もうすぐ死ぬのね。痛みはもう感じない。お父様とお母様が手を広げて待っている光の中に溶けていく感覚。光に見えるのはもしかして闇かもしれない。そして、手を広げてほほえんでいるのはお父様とお母様ではなく悪魔なのかもしれない。
それでも私は人柱になってくだらない王家の犠牲にならずに死ねて本望だ。願わくば、あの王家と強欲な貴族達、お馬鹿さんな民衆達も全てを滅ばしてこの国を血の海で満たせばいい!
お願い、滅ぼしてよ! この世界を!
魔物達は聖女に群がりその体を喰らいつくす。そうしてある者は巨大化しある者は形をより複雑に変化させた。魔物が聖女を喰らうことにより飛躍的に強くなった証。もう誰もこの魔物達を止めることはできない。
王宮ではオスカー国王陛下がローゼッタといちゃつきながら甘い時間を楽しんでいたが、魔物が住む森の封印が解けたことや魔物凶暴化の部下からの報告に驚愕するのだった。
「まさか……ありえない! そうだ。聖女だ。地下牢に閉じ込めていた聖女を連れて来い」
「それがいません! 脱獄したようです。手紙が一通だけ残されていました」
私、聖女でありトラディショナル公爵家の一人娘ヴィクトリアは魔物達の為に人柱の役目を謹んでお受けいたします。この身は生け贄となり魔王の復活すら可能にさせるでしょう。
「まさか……聖女の血肉を喰らった魔物なんて誰にも滅ぼせないじゃないか……もう、お終いだよ……しかも魔王まで蘇る?」
オスカー国王陛下は恐ろしさに震えながらも、王宮の隠し部屋に側近達と怯えて暮らしはじめた。ローゼッタは恐怖で気が狂い目の焦点が定まらない。
その二日後には王宮の周りを魔物達が取り囲み、続々と侵入してくる気配に息を潜めていた。隠し部屋など見つかるのは時間の問題。魔物がヒタヒタと近づいてくる音は狩りを楽しむ勝者のもの。勢いよく開けられた秘密の扉の前では無数の蠢く異形の生き物がよだれを垂らして立っていた。
「ヴィクトリア! 助けてくれ!」
裏切った女の名を口走り逃げ惑うオスカー国王陛下の手足は食いちぎられ、頭を鷲づかみにされてぐしゃりとトマトのように潰された。それを見つめるローゼッタは狂気の世界から一瞬現実に戻ったようだ。
「こっちに来ないで。死にたくない。お願い、助け……」
言い終わらないうちに頭をもがれて、手足だけがしばらくの間死んだことも理解できずにばたばたと動く。
すべてが血の海と化したなかでヴィクトリアが生前愛した白い百合だけが綺麗に咲き誇っていた。
完
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