14 / 20
9 あたしだけが悪いの?(ピンクナ視点)
しおりを挟む
ピンクナ視点
私はスワンがそんなに身分の高い方だとは知らなかった。てっきり自分の方が身分が高いと思っていたし容姿も良いと思い込んでいた。
それなのにスワンはドラモンド帝国皇帝の姪でカートレット大公の一人娘だと言う。しかもあたしより数段美しい。これじゃぁ全然勝ち目は無い。チャーリー王子殿下は諦めてこの皇帝の息子ジョシュア様に取り入った方が全然得だと気付いた。
チャーリー王子殿下は今からスワンに返して、このジョシュア皇子様を私がもらえばちょうどいい。でもジョシュア様は冷たかった。
「この私に気安く触るのはやめてくれくれないか? 君はチャーリー王子殿下が好きなはずだ。そのような浮ついた女が私は1番嫌いなんだよ」
ジョシュア様の真っ赤な瞳が怒りの為になお一層赤く燃え上がった。怒られてはいてもその瞳の美しさにあたしはぼーっとしてしまう。
「アホヤネ侯爵令嬢、君は私の娘の婚約者を奪ったわけだからそれなりの覚悟ができいるのだろう?」
カートレット大公があたしに詰問してくる。
「覚悟ですか? だってチャーリー王子殿下が私を好きになっただけの話ですから、それは私の責任ではありません。私はただ可愛いだけなんですから」
「わかった、わかった。君では話にならないことがよくわかったよ。さて父親のアホヤネ侯爵はどう思っているんだね? これは由々しき問題だと思うが」
「もちろんでございます。この娘は当家には何の関わり合いもありません。親子の縁を切りアホヤネ侯爵家から追放いたします。またスワン様におかけした迷惑料として当家からそれ相応の金額をお支払いいたしますのでどうかご勘弁のほどをお願いいたします」
お父様はあろうことか、私を家から追い出し親子の縁を切るとまで言っている。そんなことになったら私はどうやって生きていけばいいのかわからない。
「父親からお金をもらう事は私としては納得がいかない。その娘はもう大人だ。本人に責任を取らせるべきだろう。ピンクナと言ったな?自ら働くことなくして自分の責任は取れない。一度苦労してみなさい」
スワンの父親は偉そうにそう言ってきたのだった。
•*¨*•.¸¸☆
アホヤネ侯爵家に戻るとお父様は私をさらに殴った。
「ほんとに大変なことをしてくれたなぁ! このバカが」
「そうだぞ! こんな妹を持って俺は不幸だ。このアホヤネ侯爵家に何かあったら全てお前の責任だからな」
優しかったお兄様は目を釣り上げて私をにらんだ。
「ほんとに出来損ないなのね。なぜもっとうまくやれなかったのよ!そのような娘はアホヤネ侯爵家の娘ではありませんよ」
お母様は私の足を銀製の定規で叩いた。
あたしは幼い頃から両親やお兄様に言われていたことがある。
「アホヤネ侯爵家は家柄もよく王太子妃を何名も輩出してきた名門だ。しかしこのところはそういった栄誉を賜ることがはめっきり少なくなった。今こそお前がその幸運を掴み取るのだ」
そんなふうに日々聞かされて育ったあたしがスワンを陥れて王太子妃になろうとしたのはあたしだけの責任なの?
私はスワンがそんなに身分の高い方だとは知らなかった。てっきり自分の方が身分が高いと思っていたし容姿も良いと思い込んでいた。
それなのにスワンはドラモンド帝国皇帝の姪でカートレット大公の一人娘だと言う。しかもあたしより数段美しい。これじゃぁ全然勝ち目は無い。チャーリー王子殿下は諦めてこの皇帝の息子ジョシュア様に取り入った方が全然得だと気付いた。
チャーリー王子殿下は今からスワンに返して、このジョシュア皇子様を私がもらえばちょうどいい。でもジョシュア様は冷たかった。
「この私に気安く触るのはやめてくれくれないか? 君はチャーリー王子殿下が好きなはずだ。そのような浮ついた女が私は1番嫌いなんだよ」
ジョシュア様の真っ赤な瞳が怒りの為になお一層赤く燃え上がった。怒られてはいてもその瞳の美しさにあたしはぼーっとしてしまう。
「アホヤネ侯爵令嬢、君は私の娘の婚約者を奪ったわけだからそれなりの覚悟ができいるのだろう?」
カートレット大公があたしに詰問してくる。
「覚悟ですか? だってチャーリー王子殿下が私を好きになっただけの話ですから、それは私の責任ではありません。私はただ可愛いだけなんですから」
「わかった、わかった。君では話にならないことがよくわかったよ。さて父親のアホヤネ侯爵はどう思っているんだね? これは由々しき問題だと思うが」
「もちろんでございます。この娘は当家には何の関わり合いもありません。親子の縁を切りアホヤネ侯爵家から追放いたします。またスワン様におかけした迷惑料として当家からそれ相応の金額をお支払いいたしますのでどうかご勘弁のほどをお願いいたします」
お父様はあろうことか、私を家から追い出し親子の縁を切るとまで言っている。そんなことになったら私はどうやって生きていけばいいのかわからない。
「父親からお金をもらう事は私としては納得がいかない。その娘はもう大人だ。本人に責任を取らせるべきだろう。ピンクナと言ったな?自ら働くことなくして自分の責任は取れない。一度苦労してみなさい」
スワンの父親は偉そうにそう言ってきたのだった。
•*¨*•.¸¸☆
アホヤネ侯爵家に戻るとお父様は私をさらに殴った。
「ほんとに大変なことをしてくれたなぁ! このバカが」
「そうだぞ! こんな妹を持って俺は不幸だ。このアホヤネ侯爵家に何かあったら全てお前の責任だからな」
優しかったお兄様は目を釣り上げて私をにらんだ。
「ほんとに出来損ないなのね。なぜもっとうまくやれなかったのよ!そのような娘はアホヤネ侯爵家の娘ではありませんよ」
お母様は私の足を銀製の定規で叩いた。
あたしは幼い頃から両親やお兄様に言われていたことがある。
「アホヤネ侯爵家は家柄もよく王太子妃を何名も輩出してきた名門だ。しかしこのところはそういった栄誉を賜ることがはめっきり少なくなった。今こそお前がその幸運を掴み取るのだ」
そんなふうに日々聞かされて育ったあたしがスワンを陥れて王太子妃になろうとしたのはあたしだけの責任なの?
140
あなたにおすすめの小説
婚約破棄は嘘だった、ですか…?
基本二度寝
恋愛
「君とは婚約破棄をする!」
婚約者ははっきり宣言しました。
「…かしこまりました」
爵位の高い相手から望まれた婚約で、此方には拒否することはできませんでした。
そして、婚約の破棄も拒否はできませんでした。
※エイプリルフール過ぎてあげるヤツ
※少しだけ続けました
あなたに未練などありません
風見ゆうみ
恋愛
「本当は前から知っていたんだ。君がキャロをいじめていた事」
初恋であり、ずっと思いを寄せていた婚約者からありえない事を言われ、侯爵令嬢であるわたし、アニエス・ロロアルの頭の中は真っ白になった。
わたしの婚約者はクォント国の第2王子ヘイスト殿下、幼馴染で親友のキャロラインは他の友人達と結託して嘘をつき、私から婚約者を奪おうと考えたようだった。
数日後の王家主催のパーティーでヘイスト殿下に婚約破棄されると知った父は激怒し、元々、わたしを憎んでいた事もあり、婚約破棄後はわたしとの縁を切り、わたしを家から追い出すと告げ、それを承認する書面にサインまでさせられてしまう。
そして、予告通り出席したパーティーで婚約破棄を告げられ絶望していたわたしに、その場で求婚してきたのは、ヘイスト殿下の兄であり病弱だという事で有名なジェレミー王太子殿下だった…。
※史実とは関係なく、設定もゆるい、ご都合主義です。
※中世ヨーロッパ風で貴族制度はありますが、法律、武器、食べ物などは現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観となっています。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。
婚約破棄に全力感謝
あーもんど
恋愛
主人公の公爵家長女のルーナ・マルティネスはあるパーティーで婚約者の王太子殿下に婚約破棄と国外追放を言い渡されてしまう。でも、ルーナ自身は全く気にしてない様子....いや、むしろ大喜び!
婚約破棄?国外追放?喜んでお受けします。だって、もうこれで国のために“力”を使わなくて済むもの。
実はルーナは世界最強の魔導師で!?
ルーナが居なくなったことにより、国は滅びの一途を辿る!
「滅び行く国を遠目から眺めるのは大変面白いですね」
※色々な人達の目線から話は進んでいきます。
※HOT&恋愛&人気ランキング一位ありがとうございます(2019 9/18)
婚約破棄は先手を取ってあげますわ
浜柔
恋愛
パーティ会場に愛人を連れて来るなんて、婚約者のわたくしは婚約破棄するしかありませんわ。
※6話で完結として、その後はエクストラストーリーとなります。
更新は飛び飛びになります。
(完結)婚約破棄から始まる真実の愛
青空一夏
恋愛
私は、幼い頃からの婚約者の公爵様から、『つまらない女性なのは罪だ。妹のアリッサ王女と婚約する』と言われた。私は、そんなにつまらない人間なのだろうか?お父様もお母様も、砂糖菓子のようなかわいい雰囲気のアリッサだけをかわいがる。
女王であったお婆さまのお気に入りだった私は、一年前にお婆さまが亡くなってから虐げられる日々をおくっていた。婚約者を奪われ、妹の代わりに隣国の老王に嫁がされる私はどうなってしまうの?
美しく聡明な王女が、両親や妹に酷い仕打ちを受けながらも、結局は一番幸せになっているという内容になる(予定です)
なにひとつ、まちがっていない。
いぬい たすく
恋愛
若くして王となるレジナルドは従妹でもある公爵令嬢エレノーラとの婚約を解消した。
それにかわる恋人との結婚に胸を躍らせる彼には見えなかった。
――なにもかもを間違えた。
そう後悔する自分の将来の姿が。
Q この世界の、この国の技術レベルってどのくらい?政治体制はどんな感じなの?
A 作者もそこまで考えていません。
どうぞ頭のネジを二三本緩めてからお読みください。
婚約破棄で見限られたもの
志位斗 茂家波
恋愛
‥‥‥ミアス・フォン・レーラ侯爵令嬢は、パスタリアン王国の王子から婚約破棄を言い渡され、ありもしない冤罪を言われ、彼女は国外へ追放されてしまう。
すでにその国を見限っていた彼女は、これ幸いとばかりに別の国でやりたかったことを始めるのだが‥‥‥
よくある婚約破棄ざまぁもの?思い付きと勢いだけでなぜか出来上がってしまった。
婚約破棄してくださって結構です
二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。
※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる