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イケメン騎士団長様は平凡な私に恋をする
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「ロレーヌ、君は新しく入ってきたメイドでしょう?騎士団の独身寮になぜ配属されたんだ?」
「さぁ、私にもわかりません。でも、多分、私は不細工だからじゃないでしょうか?」
「‥‥」
私はきらめく金髪のイケメン騎士団長様になぜか詰問されていた。
騎士団の独身寮に配属されるのは、確かに年配の女性ばかりで30代の私は珍しかった。
「なんてことだ!僕と同じ32歳じゃないか!」
騎士団長様は私の履歴書を眺めながら、ぶつぶつと悪態のようなものをつくと私を睨み付けた。
「君はそうだなぁー。厨房を手伝え!厨房から出てはいけない!」
「は、はい」
☆
厨房でジャガイモの皮むきを手伝っていると、同僚のエスタさんがやって来た。
「厨房ばかりにいないで、独身寮に来て、シーツを回収するのを手伝ってよ!」
「あ、はい。でも、騎士団長様に‥‥」
「騎士団長様?なに、雲の上の人のことを言っているの?」
「厨房から出てはいけないと、言われました」
「はぁーー?そんなこと言うはずないでしょう?私達、メイドに声をかけてくれるはずもないのに‥‥」
☆
「こら、なんで、ここにいる!厨房に戻れ!」
騎士団の独身寮のシーツを替えていると団長様に怒られた。
なんで、そんなに嫌われるのかな。
私のどこがいけないんだろう。
厨房にばかりいるわけにもいかないので、いろいろ他の仕事をするけれど、その度に叱られたの。
どうしよう?
ここで働かないと妹を食べさせられない‥‥
☆
私はきっと、こんなふうに前髪を長くおろして陰気だから嫌われるのかも‥‥
鏡を見ながら自分で前髪を目がはっきりみえるように切りそろえた。
いつもはしないお化粧もお粉と薄いピンクの口紅だけ塗ってみた。
騎士団長様はむすっとしたままで、たまに舌打ちまでされたの。
どうすれば好かれるんだろう?
クビにだけはなりたくない‥‥
☆
「君は、男を漁りに来ているのか?口紅までつけだして‥‥」
騎士団長様に呼び出されて私はまた叱られているの。
「漁りに?まさか‥‥私はあなたに好かれたくて‥‥どうか嫌わないでください」
「え?君は僕が好きなのか?」
騎士団長様は精悍な顔を赤らめていた。
「好きというか、えっと、なんていうか‥‥あなたに嫌われたら生きていけないとは思っています」
そう、この方に嫌われたら絶対この仕事を辞めさせられるわ。
両親も亡くなって、妹しかいない我が家の死活問題だった。
「そうか?それほどまでに僕を思ってくれるんだね?嬉しいよ」
「?」
なんか、違う気がするけど、まぁ、いいのかな?
☆
それからは、騎士団長様は私に甘々になった。
お昼は一緒に食べるし、夕方は家まで送ってくださる。
妹の誕生日にも、プレゼントをくださって、お優しい。
「あなたに嫌われたら生きていけない」
半年たった私は、文字通りのそんな気持ちになっていたの。
でも、これって夢よ?
メイドに騎士団長様じゃぁ、釣り合うわけがないもん。
私は仕事をやめて引っ越しをした。
自分の気持ちに気がついた今は、もうそばにはいられないから‥‥
☆
「ロレーヌ!こんなところにいたのか?探したぞ」
薬草を天日干ししていると、切なくなるようなバリトンボイスがした。
「僕が嫌いになったのかい?」
ここで、私は「はい」って言わなきゃいけないはずなのに言いたくなかった。
「仕事を辞めて薬草なんか干して魔法使いにでもなるのかい?だったら、一番最初に僕に魔法をかけて?身分のことなら問題ない。僕の母上もメイドだった。代々、僕の父上は身分など気にしない」
それなら、私はなにも我慢しない‥‥
「騎士団長様、私を妻にしてください。あなたに嫌われたら生きていけないんです」
「知ってるよ。もちろんだ!」
完
閑話
「やれやれ、やっとあの堅物が結婚してくれるのか。全く、あいつのタイプを見つけるのに苦労したよ」
「あぁ、庇護欲そそる薄幸の美女だろう?」
「そう、自分が美人だって自覚がない美女な。なかなかいなくてやっと見つけて」
「うん、うん。独身寮のメイドに雇ったんだよな?」
この国の王子三人が仕組んだ甘い罠だということに堅物騎士団長は生涯、気がつかなかった。
おかげで、ロレーヌは幸せになれたので、めでたし、めでたし、なのでした。
「さぁ、私にもわかりません。でも、多分、私は不細工だからじゃないでしょうか?」
「‥‥」
私はきらめく金髪のイケメン騎士団長様になぜか詰問されていた。
騎士団の独身寮に配属されるのは、確かに年配の女性ばかりで30代の私は珍しかった。
「なんてことだ!僕と同じ32歳じゃないか!」
騎士団長様は私の履歴書を眺めながら、ぶつぶつと悪態のようなものをつくと私を睨み付けた。
「君はそうだなぁー。厨房を手伝え!厨房から出てはいけない!」
「は、はい」
☆
厨房でジャガイモの皮むきを手伝っていると、同僚のエスタさんがやって来た。
「厨房ばかりにいないで、独身寮に来て、シーツを回収するのを手伝ってよ!」
「あ、はい。でも、騎士団長様に‥‥」
「騎士団長様?なに、雲の上の人のことを言っているの?」
「厨房から出てはいけないと、言われました」
「はぁーー?そんなこと言うはずないでしょう?私達、メイドに声をかけてくれるはずもないのに‥‥」
☆
「こら、なんで、ここにいる!厨房に戻れ!」
騎士団の独身寮のシーツを替えていると団長様に怒られた。
なんで、そんなに嫌われるのかな。
私のどこがいけないんだろう。
厨房にばかりいるわけにもいかないので、いろいろ他の仕事をするけれど、その度に叱られたの。
どうしよう?
ここで働かないと妹を食べさせられない‥‥
☆
私はきっと、こんなふうに前髪を長くおろして陰気だから嫌われるのかも‥‥
鏡を見ながら自分で前髪を目がはっきりみえるように切りそろえた。
いつもはしないお化粧もお粉と薄いピンクの口紅だけ塗ってみた。
騎士団長様はむすっとしたままで、たまに舌打ちまでされたの。
どうすれば好かれるんだろう?
クビにだけはなりたくない‥‥
☆
「君は、男を漁りに来ているのか?口紅までつけだして‥‥」
騎士団長様に呼び出されて私はまた叱られているの。
「漁りに?まさか‥‥私はあなたに好かれたくて‥‥どうか嫌わないでください」
「え?君は僕が好きなのか?」
騎士団長様は精悍な顔を赤らめていた。
「好きというか、えっと、なんていうか‥‥あなたに嫌われたら生きていけないとは思っています」
そう、この方に嫌われたら絶対この仕事を辞めさせられるわ。
両親も亡くなって、妹しかいない我が家の死活問題だった。
「そうか?それほどまでに僕を思ってくれるんだね?嬉しいよ」
「?」
なんか、違う気がするけど、まぁ、いいのかな?
☆
それからは、騎士団長様は私に甘々になった。
お昼は一緒に食べるし、夕方は家まで送ってくださる。
妹の誕生日にも、プレゼントをくださって、お優しい。
「あなたに嫌われたら生きていけない」
半年たった私は、文字通りのそんな気持ちになっていたの。
でも、これって夢よ?
メイドに騎士団長様じゃぁ、釣り合うわけがないもん。
私は仕事をやめて引っ越しをした。
自分の気持ちに気がついた今は、もうそばにはいられないから‥‥
☆
「ロレーヌ!こんなところにいたのか?探したぞ」
薬草を天日干ししていると、切なくなるようなバリトンボイスがした。
「僕が嫌いになったのかい?」
ここで、私は「はい」って言わなきゃいけないはずなのに言いたくなかった。
「仕事を辞めて薬草なんか干して魔法使いにでもなるのかい?だったら、一番最初に僕に魔法をかけて?身分のことなら問題ない。僕の母上もメイドだった。代々、僕の父上は身分など気にしない」
それなら、私はなにも我慢しない‥‥
「騎士団長様、私を妻にしてください。あなたに嫌われたら生きていけないんです」
「知ってるよ。もちろんだ!」
完
閑話
「やれやれ、やっとあの堅物が結婚してくれるのか。全く、あいつのタイプを見つけるのに苦労したよ」
「あぁ、庇護欲そそる薄幸の美女だろう?」
「そう、自分が美人だって自覚がない美女な。なかなかいなくてやっと見つけて」
「うん、うん。独身寮のメイドに雇ったんだよな?」
この国の王子三人が仕組んだ甘い罠だということに堅物騎士団長は生涯、気がつかなかった。
おかげで、ロレーヌは幸せになれたので、めでたし、めでたし、なのでした。
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