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3 勘違い従兄弟と従姉妹
ꕤ୭*マーガレット視点
私が本当は伯爵令嬢のはずだった、とお母様は私にいつもおっしゃった。
「ではなぜ私ではなく、リリアーナが伯爵令嬢なのですか?」
「それは私の姉、ライラがランス伯爵を誘惑したからよ!」
そんな会話を幼い頃から聞かされていた私だ。なので自然と私は、ランス伯爵夫人とリリアーナを憎むようになっていった。
――おかしいわよね? なんでそんな酷い女が伯爵夫人になって、お母様が準男爵夫人なの? 限りなく平民に近い身分で、なんの贅沢もできやしない。領地なんてないようなものだとお母様はおっしゃった。
「私は実力はあるのに、準男爵なんて低位な貴族とも呼べない身分だ。産まれながらに伯爵以上の奴らはずるい!」
お父様はお酒を飲むといつも世の中の不公平を愚痴った。
――あぁ、この世って身分とお金が全てなんだ! リリアーナは、なにもかも持っている。身分もお金も! あれは全て私のものなのに。あの綺麗なランス伯爵譲りの容姿でさえ、私から奪ったものだとお母様はおっしゃった。
「私がランス伯爵夫人になり、本当ならあのような美しい容姿は私が産んだマーガレットのものだったはずなのよ」
お母様がおっしゃることは全て正しい。
だから、あのランス伯爵夫妻が亡くなって私がここに住むのは正しいし、私の産んだ子がランス伯爵家を継ぐのは当然だわ!
「やっと、正しい道筋に戻せるのよ」
お母様は耳元でささやいた。
ーーそうね、本当にその通りだわ!
ꕤ୭*ラモント視点
「ライラお姉様は私の婚約者のランス伯爵を奪ったのよ! だからラモントが本当ならここの跡取り息子だったのよ!」
「嘘でしょう? だって俺はリック男爵の息子でしょう?」
「違うわよ。私がランス伯爵夫人になっていたら、私が産んだあなたはランス伯爵家の嫡男なわけでしょう?」
幼い頃からずっと言われてきたこの言葉は、何度も何度も頭にすり込まれていった。自分が正統なランス伯爵家の跡取り息子。だったら、自分の地位を奪いに行こう。
「お前の母親は頭がおかしい! 私は誰とも婚約していなかったし、ライラには一目ぼれで求婚したんだ。なぜ、ライラの妹達はこんなに都合のいい頭をしているのかな。どこをどう考えればそうなるんだ?」
ある日、ランス伯爵家に一人で乗り込みに行き『僕が正統なランス伯爵家の跡継ぎです』と言うと伯爵に大笑いされた。
「申し訳ありません。妹達は昔から我が儘で自分の都合のいい妄想を浮かべるのが得意だったものですから・・・・・・困ったものですわ」
お母様の姉上のライラ伯爵夫人は、透き通るような肌の綺麗なほっそりした女性だった。こんなに綺麗な女性は信用してはいけない。
ーーやっぱり、お母様からランス伯爵を奪ったのはこの女だ! 僕こそがここの跡継ぎ息子なのに!
だから、ランス伯爵家に住んでここの跡継ぎを産ませるのは俺の役目だ。だからこそ、リリアーナを襲ってやったのに感謝の言葉もないなんて! 全くランス伯爵夫妻はどんな育て方をしたんだ!
巨大シラミはそんな憤りのなか襲ってきた敵だった。これには半年もの間苦しんだ。しかも鉄格子フェンスができて本邸に金をせびりにもいけない。
仕方がないからあのフェンスをよじ登って本邸に行こうとしたら、監視していた私兵にカゴを渡された。
「ご苦労様でぇす! はい、今日の分の食材ですよ。侍女や料理人はあちらには行けませんので、どうぞご自分達で料理してください!」
「あ、ついでにこっちは洗剤と替えのシーツです。洗濯も自分達でどうぞ!」
「え? えぇーー?」
私はその大きなカゴを背中に担いで、フェンスをよじ登って戻る羽目になった。バランスが保てなくて何度も落ちそうになる。
途中で本邸の執務室の窓からリリアーナがこちらを見つめているのがわかった。まさにその時さ、鉄格子のフェンスの一部が槍の形になり俺の尻をつついて、ズボンがひっかかりポロリとパンツごと脱げてしまった。
「ちっ、そんな汚いもの俺らに見せないでください! 全くそんな趣味もないのに」
私兵には蔑まされ、遠くで侍女達が大笑いしているのが聞こえた。
ーーなんだよぉ~~!!俺はこのランス伯爵家の跡継ぎだったはずなのに~~!
私が本当は伯爵令嬢のはずだった、とお母様は私にいつもおっしゃった。
「ではなぜ私ではなく、リリアーナが伯爵令嬢なのですか?」
「それは私の姉、ライラがランス伯爵を誘惑したからよ!」
そんな会話を幼い頃から聞かされていた私だ。なので自然と私は、ランス伯爵夫人とリリアーナを憎むようになっていった。
――おかしいわよね? なんでそんな酷い女が伯爵夫人になって、お母様が準男爵夫人なの? 限りなく平民に近い身分で、なんの贅沢もできやしない。領地なんてないようなものだとお母様はおっしゃった。
「私は実力はあるのに、準男爵なんて低位な貴族とも呼べない身分だ。産まれながらに伯爵以上の奴らはずるい!」
お父様はお酒を飲むといつも世の中の不公平を愚痴った。
――あぁ、この世って身分とお金が全てなんだ! リリアーナは、なにもかも持っている。身分もお金も! あれは全て私のものなのに。あの綺麗なランス伯爵譲りの容姿でさえ、私から奪ったものだとお母様はおっしゃった。
「私がランス伯爵夫人になり、本当ならあのような美しい容姿は私が産んだマーガレットのものだったはずなのよ」
お母様がおっしゃることは全て正しい。
だから、あのランス伯爵夫妻が亡くなって私がここに住むのは正しいし、私の産んだ子がランス伯爵家を継ぐのは当然だわ!
「やっと、正しい道筋に戻せるのよ」
お母様は耳元でささやいた。
ーーそうね、本当にその通りだわ!
ꕤ୭*ラモント視点
「ライラお姉様は私の婚約者のランス伯爵を奪ったのよ! だからラモントが本当ならここの跡取り息子だったのよ!」
「嘘でしょう? だって俺はリック男爵の息子でしょう?」
「違うわよ。私がランス伯爵夫人になっていたら、私が産んだあなたはランス伯爵家の嫡男なわけでしょう?」
幼い頃からずっと言われてきたこの言葉は、何度も何度も頭にすり込まれていった。自分が正統なランス伯爵家の跡取り息子。だったら、自分の地位を奪いに行こう。
「お前の母親は頭がおかしい! 私は誰とも婚約していなかったし、ライラには一目ぼれで求婚したんだ。なぜ、ライラの妹達はこんなに都合のいい頭をしているのかな。どこをどう考えればそうなるんだ?」
ある日、ランス伯爵家に一人で乗り込みに行き『僕が正統なランス伯爵家の跡継ぎです』と言うと伯爵に大笑いされた。
「申し訳ありません。妹達は昔から我が儘で自分の都合のいい妄想を浮かべるのが得意だったものですから・・・・・・困ったものですわ」
お母様の姉上のライラ伯爵夫人は、透き通るような肌の綺麗なほっそりした女性だった。こんなに綺麗な女性は信用してはいけない。
ーーやっぱり、お母様からランス伯爵を奪ったのはこの女だ! 僕こそがここの跡継ぎ息子なのに!
だから、ランス伯爵家に住んでここの跡継ぎを産ませるのは俺の役目だ。だからこそ、リリアーナを襲ってやったのに感謝の言葉もないなんて! 全くランス伯爵夫妻はどんな育て方をしたんだ!
巨大シラミはそんな憤りのなか襲ってきた敵だった。これには半年もの間苦しんだ。しかも鉄格子フェンスができて本邸に金をせびりにもいけない。
仕方がないからあのフェンスをよじ登って本邸に行こうとしたら、監視していた私兵にカゴを渡された。
「ご苦労様でぇす! はい、今日の分の食材ですよ。侍女や料理人はあちらには行けませんので、どうぞご自分達で料理してください!」
「あ、ついでにこっちは洗剤と替えのシーツです。洗濯も自分達でどうぞ!」
「え? えぇーー?」
私はその大きなカゴを背中に担いで、フェンスをよじ登って戻る羽目になった。バランスが保てなくて何度も落ちそうになる。
途中で本邸の執務室の窓からリリアーナがこちらを見つめているのがわかった。まさにその時さ、鉄格子のフェンスの一部が槍の形になり俺の尻をつついて、ズボンがひっかかりポロリとパンツごと脱げてしまった。
「ちっ、そんな汚いもの俺らに見せないでください! 全くそんな趣味もないのに」
私兵には蔑まされ、遠くで侍女達が大笑いしているのが聞こえた。
ーーなんだよぉ~~!!俺はこのランス伯爵家の跡継ぎだったはずなのに~~!
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