(完結)私は産まれてはいけなかったの?(お母様が助けるわ !)

青空一夏

文字の大きさ
1 / 16

1 お母様助けて!

しおりを挟む
ꕤ୭*アイビー視点


 私のお母様は私を産んだ為に亡くなった。元々病弱だったお母様の身体は出産の負担に耐えきれなかったのだろう。

ーー妖精のように美しかったお母様イレーヌ・エンジェル王女殿下は私が殺したの?

 そんなお母様を愛するあまりお父様は私を忌み嫌うようになったという。お父様は王都の屋敷に行きっぱなしとなり、領地の屋敷にはお帰りにならなくなった。

 お母様が亡くなったのは私のせいなのだと、侍女達も口を揃えて私に言うのだった。国王陛下でいらっしゃるお母様のお兄様も、妹の死の悲しみを思い出すから私の姿を見たくないのだそうだ。

「アイビー様! あなたはお生まれになってはいけない方だったのです! 外になど出てはいけません! 楽しげに笑うのも禁止です! 貴女は悪魔の子なんですよ! 汚らわしい」

 侍女長のアンナは、私の姿を見るだけで意地悪な言葉を投げつけた。

 やがて父様の再婚相手だというミランダが腹違いの妹のウィローを連れてやって来て、
「あんたが王女殿下を殺した人殺しなのね? すぐに使用人の部屋に移りなさいよ。あんたのせいで国王陛下はとても悲しまれて1年も寝込んだのよ? あんなにおしとやかで美しい聡明な妹を亡くされたから国王陛下は今でもお元気がないのよ・・・・・・」
 と、私を責めた。




 ミランダと私の腹違いの妹が来てから私の食事は野菜だけになったし、なにかあればすぐにぶたれた。家庭教師の先生も私の専属侍女もいつの間にかいなくなった。



「お母様! 助けてよ! お母様! アイビーはもう生きていたくないよぉ」






ꕤ୭*故イレーヌ・エンジェル王女殿下視点

「ん? おかしいわねぇ~~。ずいぶん前から私に助けを求める声がするわよ? ちょっと神様! 下界の様子を見せてちょうだい」

「いかん、いかん! お前さんはもう死んで天使になっとるんじゃぞ! 下界の記憶がなんで消えなかったのじゃろう?」

「産んだ子供のことは覚えているわ。あの子は元気なのかしら? アイビーのことを少し教えてちょうだい! ん、これね、私の娘の一生が記されている記録書は。・・・・・・はぁーー? なによ、これ? 明日には自殺して死ぬことになっているわよ?」
 ”アイビーの一生” という薄すぎる本を放り投げた私は、神様に毒づいた。

「ああ、そ、それは悲劇のヒロインじゃからなぁ・・・・・・ち、父親にも放っておかれ、使用人達に虐められ自殺する・・・・・・」
 神様が目を逸らしながら、言いにくいことをどもりながら口にした。

「なぁーーんですって? 冗談じゃないわよ! あんのバカ夫め、娘に10年も会いに来なかっただと? 見ていなさいよ! 私が今から行ってあのバカにお説教を・・・・・・」

「これ、これ。いかんよ! 戻ってきなさぁーーい」
「娘の一大事よ! 戻るもんですか! 」




 着地したのはオスカー公爵家の領地にある屋敷だ。メイド部屋で泣きじゃくっているアイビーをそっと抱きしめ、髪を撫でた。
 手にはすでに毒薬を持っていて飲んでしまったみたい! 毒がまわる前になんとかしなきゃ!
 
――ままよ。こうなったら娘の身体に飛び込むわ! 天使の私が娘のなかに入れば、少なくともアイビーは助かるはず! 母の愛は強しよ! 例え、私が消滅しようともアイビーは助けるわよ!
 
しおりを挟む
感想 210

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?

つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。 平民の我が家でいいのですか? 疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。 義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。 学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。 必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。 勉強嫌いの義妹。 この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。 両親に駄々をこねているようです。 私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。 しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。 なろう、カクヨム、にも公開中。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判

七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。 「では開廷いたします」 家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

処理中です...