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8 やってきた国王陛下とオスカー公爵 コメディ風味の再会
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ーーなんでいきなり国王陛下が?(アンナ視点)ーー
「ただいま、戻ったわ!」
サンジェルマン侯爵邸から翌日の夕方に戻ったアイビーは、侯爵家の護衛騎士10名と侍女5人を伴って帰ってきた。
「そ、その人達はなんですか?」
「あぁ、私の新しい侍女と護衛騎士よ? ちょっとロバちゃんから借りたわ」
――ロバちゃん? まるでかつてのイレーヌ・エンジェル王女殿下が話しているようだ。あの方はすでに死んでいるのよ? そんなことはありえない。
「アイビー様。我が儘も大概になさいませ! こちらにも侍女はいますし護衛騎士もおりますから。子供のあなたが、こんな真似をして許されると思っているのですか? お部屋に入って反省なさい! 今夜の夕食は抜きです」
毅然としたいつもの口調で言ってやる。
――そうよ! 私はここでは支配者なんだから!
「お前、まだ自分の立場がわかってないようねぇ。この者を鞭で10回叩きなさい! 罪状は不敬罪よ! 侍女の心得210条にきっちりあてはまるわ。主の私になぜお前が命令する? 夕食は抜き? お前は私の母親でもないのに? 侍女の分際でそれを決める権限があると思っているの?」
サンジェルマン侯爵家の騎士が私を捕らえて、用意周到に持ってきたと思われる鞭で1回2回と叩かれた。
背中に食い込む鞭は、普通の鞭より固いと思う。多分そこに付いている白い結晶は塩。鞭を高濃度の塩水につけてしばらく凍らすと、とても効果のある痛みと傷をつけることができる凶器に変貌する。
――痛い! 痛い! 打ち付けられるとすぐに皮膚が裂ける感覚とそこに塩の結晶がたたきこまれる。飛び上がるほどの激痛がはしる。同じ箇所をまた一回、もう一回と叩かれて。
ーーじんじんとする痛みはえぐられるようだ。歯を食いしばって苦痛の汗をたらしはじめる私。
誰もそれを助けようとしない。それどころか、他の侍女達は皆その場を走るように去り荷物をまとめて逃げようとしていたのだ。
騎士達も戦うどころかやはり荷物をまとめて調度品を堂々と持ち逃げしようとする者も出る始末。
「え? 可哀想? ばかなことを言わないで。・・・・・・まぁ、わかったわよ。仕方ないわね。3回でやめなさい」
アイビーがつぶやき、4回目の鞭が振り下ろされることはなかった。
「ふっ。つまらない者をむち打たせてしまったわ。鞭が可哀想」
アイビーの言葉に驚愕する私だ。この言い回しは、紛れもなくイレーヌ・エンジェル王女殿下!
床に突っ伏して痛がる私を見ていたミランダは怒りで顔を紅潮させていた。この女だけは逃げるつもりがないらしい。
「私はあんたの義理の母親よ! 命令する権利があるわ。私こそがオスカー公爵夫人なのだから! お前こそ鞭で打たれればいい! そこの騎士、アイビーに鞭打ち30回しなさい! 今すぐよ!」
その言葉の直後、どやどやと多くの王家の紋章をつけた騎士達が侵入。その先頭には特別上等な衣服をまとったイレーヌ・エンジェル王女殿下に似た顔の男性が。
「ほぉーー? お前がオスカー公爵夫人? そんなこと私は聞いていないぞ? しかもアイビーに鞭打てと今、命令したか?」
「え? は、はい。私は後妻でここの当主の夫人です。どなたか存じませんが他家のことに口出し無用です! だいたい、いきなりなんですか! 住居侵入罪でしょう?」
――うわ。さすが下女だわ。この方の顔を忘れたの? よく見なさいよ! 下女だから会ったことがないのか。これはエンジェル国王陛下じゃないよ! 王家の騎士もわからないの? なんてポンコツ女なのよ?
「ほぉ? 私を住居侵入罪で訴える? 面白いな・・・・・・私の姪の母親のふりをして鞭を30回も打ち付けようとし、公爵夫人の名を騙った不届き者。罪状はまだまだあるのだろうな? いいか、よく聞くがいい。お前の先ほどからの発言だけで3回は死罪になる」
「あら、エドにぃにぃ! お待ちしておりました! お久しぶり」
「ん? え? まさか、やはり・・・・・・イヌなのか? なぜだ? おぉ、アイビーはイヌの子供の頃にそっくりだな! しかし、なぜアイビーがイヌに? イヌがアイビー? アイビーがイヌ? よくわからん・・・・・・」
「詳しい話しはあとよ。それよりにぃにぃ、こっちに来て抱っこして!」
にこにこと嬉しそうに手を伸ばした国王陛下の頬を思いっきりビンタしたアイビー。
「ぶはっ! イヌ、いきなりなにをする? お前、兄の頬をいきなり叩く妹があるか? くっ、うっ、うっ、間違いない! お前は妹のイヌだな。この叩き方は昔から変わっていない。お前はなんで死んだんだよぉーー。最愛の妹だったのに」
国王陛下はアイビーの前でうれし泣きをして、アイビーに頭を撫でられていたのだった。
――これ、なんのコントなの? っていうか、この隙に逃げた方が良さそうね。
私が忍び足でその場を立ち去ろうとすると、またどやどやとたくさんの足音が響く。
「イヌ? イヌ! どこにいる? まさか、生きていたのか? イヌーーーー」
叫びながら騎士達を引き連れてサロンに入ってきた男はエリック・オスカー公爵。
――顔はいいし、高身長。どこか抜けているところがたまらなく愛らしい。だけど、奥様の遺体は火葬されたじゃない? 生きているはずがないのに。家具の隙間にまで向かって『イヌ』って呼びかけている。ゴキブリでも探しているの?
「私はここですわ! エリック! お久しぶり。こちらにいらっしゃい!」
戸惑いながら近づいたオスカー公爵に、今度はグーでその頬を殴りつけたアイビー。
「こっ、こんのぉーー、トンマさんめ! 私の娘をなぜ放っておいたのよ! 絶対に許さないわよ!あんたにはひまし油を毎日3リットル飲ませてやるわ!」
「ふっ。イヌだ。間違いなくイヌだ。どうして死んだんだよぉーー」
泣き崩れる美丈夫二人に、私はこの計画がすっかりダメになったことを悟った。
ーーやばい! 逃げなければ・・・・・・
「あらぁーー。旦那様、お久しぶりです。あなたの娘はこっちですよ? ねぇ、アンナ侍女長が言ったのよね! 私の娘だけが公爵の娘だって」
ウィローを指して得意気に言うミランダ。
ミランダの声は狂気の響きを帯び、顔をみればその目つきは狂女そのもの。この女は思い込んでしまったんだ。自分がオスカー公爵の後妻だと。信じているのか? 下女だった分際で?
ーーだめだ。このなかでまともなのは私だけだわ! 逃げなきゃ・・・・・・逃げなきゃぁ・・・・・・床にはいつくばって、外へと移動しようとすると・・・・・・そこにはサンジェルマン侯爵が立っていた。
「ねぇ、逃がさないよ? 私のイヌ姉様の娘をいたぶっていたのだろう? お前は万死に値する罪人なんだよ?」
「嫌よ。助けて! 助けてえぇーー」
「ふっ。助けて? 私の娘は何度、そう叫んだと思う? いいこと? 倍返しぐらいじゃすまさないわよ? ・・・・・・えっ、わかったわよ。・・・・・・もちろん、アイビーの気持ちを優先するわ」
ーーどういうことなんだろう。・・・・・・あの様子だとアイビーのなかに、アイビーと王女殿下が同居しているように見える。 ならば・・・・・・
「アイビー様! お慈悲を! 私はけっして貴女を虐めてなどいませんわ。すべて躾の為です!」
「ただいま、戻ったわ!」
サンジェルマン侯爵邸から翌日の夕方に戻ったアイビーは、侯爵家の護衛騎士10名と侍女5人を伴って帰ってきた。
「そ、その人達はなんですか?」
「あぁ、私の新しい侍女と護衛騎士よ? ちょっとロバちゃんから借りたわ」
――ロバちゃん? まるでかつてのイレーヌ・エンジェル王女殿下が話しているようだ。あの方はすでに死んでいるのよ? そんなことはありえない。
「アイビー様。我が儘も大概になさいませ! こちらにも侍女はいますし護衛騎士もおりますから。子供のあなたが、こんな真似をして許されると思っているのですか? お部屋に入って反省なさい! 今夜の夕食は抜きです」
毅然としたいつもの口調で言ってやる。
――そうよ! 私はここでは支配者なんだから!
「お前、まだ自分の立場がわかってないようねぇ。この者を鞭で10回叩きなさい! 罪状は不敬罪よ! 侍女の心得210条にきっちりあてはまるわ。主の私になぜお前が命令する? 夕食は抜き? お前は私の母親でもないのに? 侍女の分際でそれを決める権限があると思っているの?」
サンジェルマン侯爵家の騎士が私を捕らえて、用意周到に持ってきたと思われる鞭で1回2回と叩かれた。
背中に食い込む鞭は、普通の鞭より固いと思う。多分そこに付いている白い結晶は塩。鞭を高濃度の塩水につけてしばらく凍らすと、とても効果のある痛みと傷をつけることができる凶器に変貌する。
――痛い! 痛い! 打ち付けられるとすぐに皮膚が裂ける感覚とそこに塩の結晶がたたきこまれる。飛び上がるほどの激痛がはしる。同じ箇所をまた一回、もう一回と叩かれて。
ーーじんじんとする痛みはえぐられるようだ。歯を食いしばって苦痛の汗をたらしはじめる私。
誰もそれを助けようとしない。それどころか、他の侍女達は皆その場を走るように去り荷物をまとめて逃げようとしていたのだ。
騎士達も戦うどころかやはり荷物をまとめて調度品を堂々と持ち逃げしようとする者も出る始末。
「え? 可哀想? ばかなことを言わないで。・・・・・・まぁ、わかったわよ。仕方ないわね。3回でやめなさい」
アイビーがつぶやき、4回目の鞭が振り下ろされることはなかった。
「ふっ。つまらない者をむち打たせてしまったわ。鞭が可哀想」
アイビーの言葉に驚愕する私だ。この言い回しは、紛れもなくイレーヌ・エンジェル王女殿下!
床に突っ伏して痛がる私を見ていたミランダは怒りで顔を紅潮させていた。この女だけは逃げるつもりがないらしい。
「私はあんたの義理の母親よ! 命令する権利があるわ。私こそがオスカー公爵夫人なのだから! お前こそ鞭で打たれればいい! そこの騎士、アイビーに鞭打ち30回しなさい! 今すぐよ!」
その言葉の直後、どやどやと多くの王家の紋章をつけた騎士達が侵入。その先頭には特別上等な衣服をまとったイレーヌ・エンジェル王女殿下に似た顔の男性が。
「ほぉーー? お前がオスカー公爵夫人? そんなこと私は聞いていないぞ? しかもアイビーに鞭打てと今、命令したか?」
「え? は、はい。私は後妻でここの当主の夫人です。どなたか存じませんが他家のことに口出し無用です! だいたい、いきなりなんですか! 住居侵入罪でしょう?」
――うわ。さすが下女だわ。この方の顔を忘れたの? よく見なさいよ! 下女だから会ったことがないのか。これはエンジェル国王陛下じゃないよ! 王家の騎士もわからないの? なんてポンコツ女なのよ?
「ほぉ? 私を住居侵入罪で訴える? 面白いな・・・・・・私の姪の母親のふりをして鞭を30回も打ち付けようとし、公爵夫人の名を騙った不届き者。罪状はまだまだあるのだろうな? いいか、よく聞くがいい。お前の先ほどからの発言だけで3回は死罪になる」
「あら、エドにぃにぃ! お待ちしておりました! お久しぶり」
「ん? え? まさか、やはり・・・・・・イヌなのか? なぜだ? おぉ、アイビーはイヌの子供の頃にそっくりだな! しかし、なぜアイビーがイヌに? イヌがアイビー? アイビーがイヌ? よくわからん・・・・・・」
「詳しい話しはあとよ。それよりにぃにぃ、こっちに来て抱っこして!」
にこにこと嬉しそうに手を伸ばした国王陛下の頬を思いっきりビンタしたアイビー。
「ぶはっ! イヌ、いきなりなにをする? お前、兄の頬をいきなり叩く妹があるか? くっ、うっ、うっ、間違いない! お前は妹のイヌだな。この叩き方は昔から変わっていない。お前はなんで死んだんだよぉーー。最愛の妹だったのに」
国王陛下はアイビーの前でうれし泣きをして、アイビーに頭を撫でられていたのだった。
――これ、なんのコントなの? っていうか、この隙に逃げた方が良さそうね。
私が忍び足でその場を立ち去ろうとすると、またどやどやとたくさんの足音が響く。
「イヌ? イヌ! どこにいる? まさか、生きていたのか? イヌーーーー」
叫びながら騎士達を引き連れてサロンに入ってきた男はエリック・オスカー公爵。
――顔はいいし、高身長。どこか抜けているところがたまらなく愛らしい。だけど、奥様の遺体は火葬されたじゃない? 生きているはずがないのに。家具の隙間にまで向かって『イヌ』って呼びかけている。ゴキブリでも探しているの?
「私はここですわ! エリック! お久しぶり。こちらにいらっしゃい!」
戸惑いながら近づいたオスカー公爵に、今度はグーでその頬を殴りつけたアイビー。
「こっ、こんのぉーー、トンマさんめ! 私の娘をなぜ放っておいたのよ! 絶対に許さないわよ!あんたにはひまし油を毎日3リットル飲ませてやるわ!」
「ふっ。イヌだ。間違いなくイヌだ。どうして死んだんだよぉーー」
泣き崩れる美丈夫二人に、私はこの計画がすっかりダメになったことを悟った。
ーーやばい! 逃げなければ・・・・・・
「あらぁーー。旦那様、お久しぶりです。あなたの娘はこっちですよ? ねぇ、アンナ侍女長が言ったのよね! 私の娘だけが公爵の娘だって」
ウィローを指して得意気に言うミランダ。
ミランダの声は狂気の響きを帯び、顔をみればその目つきは狂女そのもの。この女は思い込んでしまったんだ。自分がオスカー公爵の後妻だと。信じているのか? 下女だった分際で?
ーーだめだ。このなかでまともなのは私だけだわ! 逃げなきゃ・・・・・・逃げなきゃぁ・・・・・・床にはいつくばって、外へと移動しようとすると・・・・・・そこにはサンジェルマン侯爵が立っていた。
「ねぇ、逃がさないよ? 私のイヌ姉様の娘をいたぶっていたのだろう? お前は万死に値する罪人なんだよ?」
「嫌よ。助けて! 助けてえぇーー」
「ふっ。助けて? 私の娘は何度、そう叫んだと思う? いいこと? 倍返しぐらいじゃすまさないわよ? ・・・・・・えっ、わかったわよ。・・・・・・もちろん、アイビーの気持ちを優先するわ」
ーーどういうことなんだろう。・・・・・・あの様子だとアイビーのなかに、アイビーと王女殿下が同居しているように見える。 ならば・・・・・・
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