(完結)私は産まれてはいけなかったの?(お母様が助けるわ !)

青空一夏

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番外編

11 反省しても許されなかったアンナ ※残酷注意 R18

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※良い子のお子様は閲覧不可! 拷問刑、大丈夫な方のみ読んでください。











ーー私が今いるお屋敷はどこなの? 厳格な女主人がいて、私はそこの下女として仕事をしている。

「おい、お前! こんな仕事もまともにできないのかい? 生きている価値あんのか?」
 下女のリーダーからやることなすことけなされた。

「お前が割ったこのコップいくらだと思う? たった100フランの安物だけどな、こうやって水も飲めればきちんと自分の役目を果たしている。なのにお前ときたら、なにもできないクズだ!」

「お前の命なんて、100フラン以下だ!」

「地ベタを這いずりまわるゴキブリ以下」

「ゴミ以下だよ。生ゴミだって土に埋めときゃ、そのうち養分を吸い取った大地が良い作物を育てるだろう? ちゃんと役に立ってる。お前はゴミ以下の役たたず!」

ーー私はちゃんと仕事をしている。洗濯だって掃除だって下女として充分働いているじゃない?

 半年の間、ずっと呪文のように言われたこの言葉に私は自分の価値がゴミ以下と思い込む。ゴミは死ぬしかない。精神的にずたずたにされたところで、今度は王族殺しの罰が本格的に始まった。





「おい! ゴミ以下のお前が神に近い王女殿下を毒殺した。痛みと命でその罪を償え」

――痛みと命?




「やはり、あなたの罪はその脳が初めから腐っているということかなと思いましてね」
 無表情の死刑執行人が手に持っているのはクラフトピックのようなもの。

 逆さ吊りにされた私は頭に小さな穴を開けられた。そして下には人間の汚物のプールがある。そこに何度も何度も頭を沈められた。窒息寸前で引きあげられて放置される。そして、また沈む。

――臭いし、気持ち悪いし、死にたいのにまだ死ねない。

 汚物にまみれたぐらいじゃ死ねないってなぜなんだろう? 絶妙に死なないように手加減してなされるこの拷問は恐ろしいもので、3日置きに行われた。そのうち、この執行日が怖くて身体がぶるぶる震えるようになった。

「私が悪うございました。天女のごとき王女殿下を糞ゴミ以下の私が殺め、アイビー様を死に追いやろうとした私の罪は万死に値します」
 国王陛下の前で懺悔したが、陛下は冷たく笑っただけだ。

「なぁ、反省すれば許してくれるとでも? これは普通の犯罪ではない。私の愛する妹と姪に危害を加えたのだぞ? 言葉通り万死に値する」






 今日はぎざぎざに削られた板の上に座らされて、石を載せられている私。一枚、二枚と増やされる石に膝から下は血まみれになっていく。

ーー痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い!

――このまま死ねたらどんなにいいか! 神様、お願いです。このまま死なせて! 

 死なないように必ず途中でやめる拷問。かならず間には三日間の癒やしが与えられた。聖女様は7割の怪我を治して去っていく。回復したところで新たな刑が行われた。

もう時間の感覚もない。だが、やっと終わりが来ることを知った。



「お前、フライは好きか?」
「はい? えぇ、まぁ好きですが」
「そうか、なら、喜べ! 最後のディナーは肉を揚げたものだ。そしてお前自身も明日は油で揚げられる」
「・・・・・・生きたまま油で・・・・・・それがどれほどの痛みかはわかりませんが、もう聖女様は治せませんね?」
「あぁ、最後の刑だ」
「ならば、私は喜んで受けます」




 熱せられた油に投げ込まれる直前、
「王女殿下、貴女は憧れでした。貴女が羨ましかった。きっと私はあの公爵が欲しかったんじゃない。貴女にようになりたかっただけなのかも」
とつぶやいた私だ。

「バカな女だ。人間は生まれながらに与えられているものが違うんだ。どんなに羨んでも他人にはなれないし、自分として与えられたもののなかで精一杯生きていくしかないのさ」
 国王陛下は苦笑しながら手を振り上げた。

 それを合図に私は煮えたぎった油に放り込まれた。

――ぎゃぁああああああああああ・・・・・・痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、

 足をバタバタと無意識に動かし続ける私には、永遠とも思える苦痛の時間だった。

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