(完)そこの妊婦は誰ですか?

青空一夏

文字の大きさ
3 / 13

3 真実の愛を捧げる妻を見つけた夫(夫視点)

しおりを挟む
 私とアナスタシアは恋愛結婚だとアナスタシアはずっと思っていたようだが、実はこれは仕組んだことだった。イーサ伯爵家は、父上が無謀な投資話に飛びつきすっかり散財していた。

「父上は愚か過ぎますよ! なんで投資したお金が数ヶ月で5倍になるなんて、荒唐無稽な話を信じたのですか?」

「いや、もとからイーサ伯爵家の領地で生産された陶器は人気がない。このままでは先細りして破綻すると思ったのだ。今こそ、一気にご先祖様の為にも盛り返してやろうと思ったのだ」

「バカは、むやみに動いたら火傷するんですよ」
 私は父上には聞こえないようにつぶやいた。

ーー仕方がない。起死回生には才能豊かな嫁をもらって稼いでもらおう。そういえば子爵家の次女のアナスタシアは、隣国に留学してデザイン学校を出た才女だったなぁ。容姿は中の下だからあまり食指は動かないが、背に腹はかえられない。

 私はアナスタシアに夜会のたびに話しかけ、偶然を装って外出先でばったり会ったように見せかけた。まるで運命の出会いのように演出したのさ。

 恋に免疫のないアナスタシアは、あっけないぐらい好きになってくれた。やっぱり冴えない女って簡単になびいてくれるから楽だよね?

 私が見込んだ通り彼女の才能はピカイチだった。たちまち彼女がデザインするティーカップ&ソーサーは大ヒットした。彼女の作品は、1客20万ルピアはくだらない芸術品として認められた。

 貴族達はステイタスの為にそんなばか高いティーカップ&ソーサーを10客も20客も買い占める。高位貴族達のお茶会やパーティーには必需品とされたイーサ伯爵家のティーカップはもう安泰だよ。

 そろそろを迎えたいと思っていた矢先、すっごい美女と出会えたのさ。金髪美女のエルサはなんとあの世界的に有名な『神秘のベールに包まれた謎の服飾デザイナーエルサ』だという。

 私は一目で恋に落ちたし、彼女の資産や才能を喉から手が出るほど欲しかった。美女で大金持ち、おまけにつきあってすぐに妊娠したと言われた。

 
「素晴らしい! 私のお飾り妻は、妊娠もできない冴えない女なのに君はすぐに妊娠できたんだね?」

「もちろんよ。この愛が真実である証拠ね? 結婚しましょうよ。奥さんと離婚して! あ、ところで私の経営する支店の従業員が先日お金を持ち逃げしてね。利息をつけて返すから30万ルピア貸してくれない?」

 ちょっと戸惑ったが貸してやると、一週後には35万ルピアにして返してくれた。少しだけ疑って悪かったと思う。それから60万ルピアを貸した時の理由はなんだったけかな? とにかく、貸すと65万ルピアを返してくれた。

「5万ルピアも一週間ぐらいで利子をつけてくれるなんて申し訳ないよ」

「あら、いいのよ。私達いずれ結婚するのですもの。私のお金はアランのものよ」

ーーなんていい女なんだ! 今度は1,000万ルピア貸してって言われたけれど、1,500万ルピアにして返してくれるらしい。優しい女だよね?

 だから私にアナスタシアは必要なくなった。両親に紹介して話しをしたら、すぐに嫁として認めてくれた。母上には高価なドレスを半額で譲ってくれたし、父上にも安くあのエルサブランドの服を売ってくれた。

 私はなんてラッキーな男なんだろう!

▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃┄▸◂┄▹◃


※1ルピア=1円 
しおりを挟む
感想 97

あなたにおすすめの小説

〖完結〗旦那様はどうしようもないですね。

藍川みいな
恋愛
愛人を作り、メイドにまで手を出す旦那様。 我慢の限界を迎えた時、旦那様から離婚だ! 出て行け! と言われました。 この邸はお父様のものですが? 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 全3話で完結になります。

【完結】お父様に愛されなかった私を叔父様が連れ出してくれました。~お母様からお父様への最後のラブレター~

山葵
恋愛
「エリミヤ。私の所に来るかい?」 母の弟であるバンス子爵の言葉に私は泣きながら頷いた。 愛人宅に住み屋敷に帰らない父。 生前母は、そんな父と結婚出来て幸せだったと言った。 私には母の言葉が理解出来なかった。

「美しい女性(ヒト)、貴女は一体、誰なのですか?」・・・って、オメエの嫁だよ

猫枕
恋愛
家の事情で12才でウェスペル家に嫁いだイリス。 当時20才だった旦那ラドヤードは子供のイリスをまったく相手にせず、田舎の領地に閉じ込めてしまった。 それから4年、イリスの実家ルーチェンス家はウェスペル家への借金を返済し、負い目のなくなったイリスは婚姻の無効を訴える準備を着々と整えていた。 そんなある日、領地に視察にやってきた形だけの夫ラドヤードとばったり出くわしてしまう。 美しく成長した妻を目にしたラドヤードは一目でイリスに恋をする。 「美しいひとよ、貴女は一体誰なのですか?」 『・・・・オメエの嫁だよ』 執着されたらかなわんと、逃げるイリスの運命は?

奪われたものは、全て要らないものでした

編端みどり
恋愛
あげなさい、お姉様でしょ。その合言葉で、わたくしのものは妹に奪われます。ドレスやアクセサリーだけでなく、夫も妹に奪われました。 だけど、妹が奪ったものはわたくしにとっては全て要らないものなんです。 モラハラ夫と離婚して、行き倒れかけたフローライトは、遠くの国で幸せを掴みます。

【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪

山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。 「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」 そうですか…。 私は離婚届にサインをする。 私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。 使用人が出掛けるのを確認してから 「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」

〖完結〗親友の幸せを願っていたのに、親友は私が大嫌いだったようです。

藍川みいな
恋愛
「私、レイド様が好きなの! 協力してくれない?」 親友のモニカが、好きだと言ったレイド様は、私もずっと好きだった人でした。 好きな人をモニカに譲る事にしたのですが、モニカは私を親友だとは思っていませんでした。それどころか、大嫌いだそうです。 カゲで散々悪口を言っていたのを聞いてしまった私は、反撃する事に…… 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 全7話で完結になります。

生命(きみ)を手放す

基本二度寝
恋愛
多くの貴族の前で婚約破棄を宣言した。 平凡な容姿の伯爵令嬢。 妃教育もままならない程に不健康で病弱な令嬢。 なぜこれが王太子の婚約者なのか。 伯爵令嬢は、王太子の宣言に呆然としていた。 ※現代の血清とお話の中の血清とは別物でござる。 にんにん。

処理中です...