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4 アナスタシアの正体(侍女視点とウリエル視点)
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ꕤ୭*(侍女のララ視点)
「王都のキュルス侯爵邸に向かってちょうだい」
アナスタシア様は王都に入ってから、すぐに御者に向かって言った。キュルス侯爵家に、いったいなんのご用なのだろう?
「奥様、まずは訪問のお伺いをたてませんと・・・・・・相手は爵位が上の方々ですよ」
「あぁ、大丈夫よ。本邸ではなく離れに用があるからね」
離れに用事? ますます謎が深まる。・・・・・・私は奥様の不思議を実は二つほど知っている。不思議というより秘密・・・・・・それは奥様が実は金髪ってこと。だってたまにブラウンの髪の根元が艶々と黄金色に光っていたから。
この国で金髪は美女の条件のひとつでもあるから、金髪に染める女性はいても逆はいないはずなのに、奥様はまちがいなくその逆をしているようだった。
それと瞳の色、真夜中に一瞬見た瞳はブルーともグリーンとも言えない、交じり合った神秘的な色合いだった。いつもはありふれたブラウンなのに・・・・・・
プロポーションも抜群なのを、私達侍女は入浴をお手伝いするので知っていた。それを隠すようにいつもサイズの合わないボワンとしたドレスを着ているのも妙だった。
美しさをわざと隠す奥様の秘密って・・・・・・?
考え込んでいるうちにキュルス侯爵家に着き、奥様は私に先に屋敷に戻るように言った。
「先に帰っていてちょうだいな。私のことは心配無用よ」
心なしか今までの弱々しい口調も、自信に満ちた別人の話し方に変わっている。どういうことなんだろう? ワクワクする期待感しかない。イーサ伯爵家にアナスタシア様が嫁いで以来お仕えしてきた私は、優しく威張らないこの方が大好きだった。
「奥様! 私はいつだって奥様の味方です!」
そう言った私に、にっこりと微笑む奥様は顔つきまでキリッとして見えたのだった。
ꕤ୭*ウリエル・キュルス(キュルス侯爵家の三男)視点
「ウリエル、入るわよぉーー」
けだるそうなその声に振り向くと素に戻ったアナスタシアが、背筋を伸ばしてモデル歩きをしてやって来た。
「ヤッホー、どうした? しかし、そのボワンとしたドレスはいい加減やめたほうがよくないかな? エルサブランドのイメージモデルが着る服じゃないよね?」
「だって、私がエルサブランドのシェルビーって知られたくなかったのですもの。でも、もう隠す必要もないかも」
「どうしてだい? 自分の美しさや富とは関係なく愛しつづけてくれるあのアランって奴を試さなくていいの?」
「結果は、今日でました。クソだったわ! 子供のできない私は要らないそうよ」
顔を歪め吐き捨てるように言いながら思案顔をしているアナスタシア・イーサ伯爵夫人は、私とエルサブランドを立ち上げた共同経営者兼イメージモデルだ。
隣国のデザイン学校で彼女は陶芸科、私は服飾科で友情を築いてきたのだった。
「ねぇ、ウリエル! 私達の名前を最近語って悪さをする詐欺集団が後を絶たないわよね? そろそろ神秘のベールを脱ぐ潮時かもね!」
「あぁ、そうだね。性別も本名も年齢も謎のままにしているから『なりすまし』が最近、酷いよなぁ」
「ウリエル、そのなかの一匹を今日、見つけたわ! 今日はお祝いね」
私が密かに愛する女性が朗らかな声をあげたのだった。詳細は後からゆっくり聞くことにしたけれど、アランに言いたいことはこれだな。
アナスタシアを裏切ったらしい夫のアランよ。
その残念な頭に乾杯だ!
私のところに彼女を返してくれて、心の底から感謝するよ!
❦ஐ*:.٭ ٭:.*ஐೄ❦ஐ*:.٭ ٭:.*ஐೄ
以下、宣伝です。不快な方は飛ばしてくださいね(#^.^#)
ライト文芸、更新しました。
愛を教えてくれた人
今回は「紬ちゃんの出産」です。
読んでいただけると嬉しいです🌹🌺🌻🌼🌷
「王都のキュルス侯爵邸に向かってちょうだい」
アナスタシア様は王都に入ってから、すぐに御者に向かって言った。キュルス侯爵家に、いったいなんのご用なのだろう?
「奥様、まずは訪問のお伺いをたてませんと・・・・・・相手は爵位が上の方々ですよ」
「あぁ、大丈夫よ。本邸ではなく離れに用があるからね」
離れに用事? ますます謎が深まる。・・・・・・私は奥様の不思議を実は二つほど知っている。不思議というより秘密・・・・・・それは奥様が実は金髪ってこと。だってたまにブラウンの髪の根元が艶々と黄金色に光っていたから。
この国で金髪は美女の条件のひとつでもあるから、金髪に染める女性はいても逆はいないはずなのに、奥様はまちがいなくその逆をしているようだった。
それと瞳の色、真夜中に一瞬見た瞳はブルーともグリーンとも言えない、交じり合った神秘的な色合いだった。いつもはありふれたブラウンなのに・・・・・・
プロポーションも抜群なのを、私達侍女は入浴をお手伝いするので知っていた。それを隠すようにいつもサイズの合わないボワンとしたドレスを着ているのも妙だった。
美しさをわざと隠す奥様の秘密って・・・・・・?
考え込んでいるうちにキュルス侯爵家に着き、奥様は私に先に屋敷に戻るように言った。
「先に帰っていてちょうだいな。私のことは心配無用よ」
心なしか今までの弱々しい口調も、自信に満ちた別人の話し方に変わっている。どういうことなんだろう? ワクワクする期待感しかない。イーサ伯爵家にアナスタシア様が嫁いで以来お仕えしてきた私は、優しく威張らないこの方が大好きだった。
「奥様! 私はいつだって奥様の味方です!」
そう言った私に、にっこりと微笑む奥様は顔つきまでキリッとして見えたのだった。
ꕤ୭*ウリエル・キュルス(キュルス侯爵家の三男)視点
「ウリエル、入るわよぉーー」
けだるそうなその声に振り向くと素に戻ったアナスタシアが、背筋を伸ばしてモデル歩きをしてやって来た。
「ヤッホー、どうした? しかし、そのボワンとしたドレスはいい加減やめたほうがよくないかな? エルサブランドのイメージモデルが着る服じゃないよね?」
「だって、私がエルサブランドのシェルビーって知られたくなかったのですもの。でも、もう隠す必要もないかも」
「どうしてだい? 自分の美しさや富とは関係なく愛しつづけてくれるあのアランって奴を試さなくていいの?」
「結果は、今日でました。クソだったわ! 子供のできない私は要らないそうよ」
顔を歪め吐き捨てるように言いながら思案顔をしているアナスタシア・イーサ伯爵夫人は、私とエルサブランドを立ち上げた共同経営者兼イメージモデルだ。
隣国のデザイン学校で彼女は陶芸科、私は服飾科で友情を築いてきたのだった。
「ねぇ、ウリエル! 私達の名前を最近語って悪さをする詐欺集団が後を絶たないわよね? そろそろ神秘のベールを脱ぐ潮時かもね!」
「あぁ、そうだね。性別も本名も年齢も謎のままにしているから『なりすまし』が最近、酷いよなぁ」
「ウリエル、そのなかの一匹を今日、見つけたわ! 今日はお祝いね」
私が密かに愛する女性が朗らかな声をあげたのだった。詳細は後からゆっくり聞くことにしたけれど、アランに言いたいことはこれだな。
アナスタシアを裏切ったらしい夫のアランよ。
その残念な頭に乾杯だ!
私のところに彼女を返してくれて、心の底から感謝するよ!
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読んでいただけると嬉しいです🌹🌺🌻🌼🌷
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