(本編完結・番外編不定期更新)愛を教えてくれた人

青空一夏

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番外編

9 よし、俺も協力するぞ! (健一視点)

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ꕤ୭* (聡子さん視点)

「私達夫婦に引き取らせてくれないかしら?」
 紬ちゃんが双子の姉妹の子供を引き取ると宣言したときに、私もほぼ同時に同じような決心をしていた。

「えぇ? 本気かい?」

 菊名さんは私に驚きの顔を向けた。健一は私の瞳を見てゆっくりとうなづいた。

「偶然だな。俺もそう思っていたところさ。紬! 俺らには子供がいない。だから養子でもとろうかって相談していたんだ。もちろん、大事に育てるよ。悲しい思いはさせない」

 健一はゆっくりな口調で紬ちゃんに語りかけた。私達は礼子さんの紬ちゃんへの愛を間近に見て、学ぶものがたくさんあった。

 いつか私も礼子さんのように愛を注げるような対象をほしいと思っていた。子供ができないのは諦めていたけれど
ここに保護を必要とする赤ちゃんと幼児がいるのに私が手を差し伸べない理由はどこにもないように思われた。

「でも、お母さん(礼子さん)はなんて言うかな? もし、今も生きていたら」

「生きていたら、賛成するだろうね。だって聡子さん夫婦が両親になっても、皆で協力しあって育てていけばいいんだから。ここにいる皆が家族だよ」

 柊君はさすが良いことをさらりと言ってくれる。子育ては大変だ。皆で協力しあって笑い合い泣き合い悩みながらも一緒に成長できればいい。



ꕤ୭*



 それから、この子供達は私達夫婦の子供になった。3歳の女の子はすみれ、乳飲み子の男の子は優だ。柊君は医学部を卒業して、帝都大学病院に勤務している。紬ちゃんは3人の子供の母親で都内にも家をもち、夏休みと冬休みにはこの地元に帰ってくる生活だ。

 柊君は大学病院で勤務し経験を積んだら、こっちの地元で開業するつもりだと言った。この湖の牧場の隣に建てるつもりなんですって。

 莉子ちゃんはますます有名になってマドレーヌポプリン2号店を、やっぱりこの牧場の側に作り近くに暖君との愛の巣を構えた。

 紬ちゃんが世界を飛び回り、海外を行ったりきたりするのはもう少し先の話。
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