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11 公爵婦人教育始まる(マリーside) / やぶ蛇だわよ(ローズside)
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ーマリーsideー
「マリーちゃん。今日からあなたの授業を始めますよ。社交界の貴夫人達の力関係と交友関係について私が教えましょう。爵位だけでは測れない影響力についてです。彼女達の力関係は教養と話術・領地経営の成功度・資産や派閥によって微妙に変わります。異なるバックグランドをもった方達と上手にお付き合いをするには、まずはその方達のことをよく知らなければね。誰と誰の仲が良好なのかそうでないのか等、いくつかある派閥の掌握も重要です。狸顔の天然ぶりっ子や女狐嫌み女の攻撃を鮮やかにかわし、こちら側につかせる人たらし術……あら、間違えたわ。ゲフン、ゴホン、社交界の優雅なご婦人方と楽しい友好関係を築く極意といった方がいいわね。このようなものを伝授しますわ」
「はい? デスティニー公爵夫人、家庭教師の私にそのようなものが必要でしょうか? 社交界に最後に顔を出したのはもう2年ほど前ですわ。これからも夜会などには行くつもはありませんし……今の私は爵位も持たない離婚歴のある子持ちの女ですから……」
「これはエルサに教えてもらう為ですよ。エルサはマリーちゃんの言うことならなんでも素直に聞きますからね」
にっこりと笑ったデスティニー公爵夫人にマリーは納得顔で頷いた。
「かしこまりました。もうエルサ様はそのようなお勉強をするのですね? 社交界デビューはずっと先ですのに……さすがデスティニー公爵令嬢ですわね。私、ちゃんとエルサ様に教えられるように頑張ります」
その言葉に満足気に頷いたデスティニー公爵夫人の向かい側のソファでフィンレーは楽しげに笑って言う。
「それほど気張ることはないよ。マリーなら上手にこなせるさ。なにかあれば俺が守るし安心していい」
極甘な眼差しでマリーを見つめながら、いつものようにチョコレイトをマリーの舌に乗せるのだった。
「あのぉ、妹のように思っていただくのは嬉しいのですがこれはさすがに恥ずかしいです。デスティニー公爵夫人も見ていらっしゃいますし……エルサ様になさってください」
「え! マリー先生。お兄様からそんなことされるなんて私は嫌よ! あーん、なんて妹にはしませんわ。そういったことは恋人同士しかしないことではないかしら?……マリー先生って……鈍……コホン、えっとなんでもないわ。お兄様! このチョコレイトはとてもおいしいですわねぇ」
エルサはマリーを鈍いと言おうとして慌ててその言葉を引っ込めたのである。それは兄に怖い顔で睨まれたからで、どうやらフィンレーはまだマリーに愛の告白をしていないようだった。
(もうとっくに告白したのかと思っていたのに……お兄様はなし崩し的に結婚に持ち込む作戦ね。マリー先生がお姉様になってくれたら最高に嬉しいから応援しなくっちゃ)
「マリー先生! 一緒にお母様と夜会に出て私にいろいろと教えてくださいませ。やはり実際に現場体験しませんと私にちゃんと教えられないでしょう? そうだ、エスコートはフィンレーお兄様にお願いすればいいわ。とてもお似合いよ」
エルサの援護射撃にフィンレーは嬉しそうに微笑み、デスティニー公爵夫人も満面の笑みを浮かべたのである。
「それはとてもいい案だね。それならマリーのドレスは俺がプレゼントしよう。また一緒に買い物に行こう」
フィンレーはラインハルトを抱き上げながらマリーに言うと、なんとラインハルトはフィンレーに向かい初めての言葉を発した。
「パパーー!!」
マリーはすっかり困惑していたが、フィンレーは「うん、なんて賢い子だ」と目を細めたのであった。
ローズside
ある日の昼下がり、異常に膨らんだお腹を抱えたローズとライアンは吐き気を必死で抑えながらデスティニー公爵家のサロンの豪華なソファに座っていた。
「さて、なんの用だ? 俺はとても忙しい。早く要件を言いたまえ」
尊大なフィンレーにローズは思わずかっとなるが、なんとか怒りを収めて猫なで声を出そうとしていた。
「実はマリーにキャメロン伯爵位を譲ろうと思うのです。マリーは隣国の有名な学園を上位で卒業した才女ですし領地経営も私よりうまくこなせるはず……」
「ふーーん。領地経営がすっかり傾き負債だらけのキャメロン家をマリーが継ぐメリットはどこにあるんだ? 彼女にはもうすでに新たな地位が待っているのに」
「「え! どういう意味ですか?」」
ローズとライアンが口を揃えて疑問を口にするが、フィンレーは構わず先の言葉を紡いだ。
「だが、まぁラインハルトの為にはなるか……いいだろう、その爵位をマリーに譲ってもらおうか」
フィンレーの言葉にライアンは思わずにやけて目をギラギラと輝かせた。
「それで、お金なのですが……3億ポンス(1ポンス=1円)で……」
ライアンの金額提示にフィンレーが手を振った。
「あぁ、君らから金を取るつもりはないから安心しろ。マリーへの慰謝料の話だろう? いつその話をもってくるのかとイライラしていたが、やっとこのタイミングで聞けたわけだ。慰謝料はその爵位で良しとしよう。負債だらけのキャメロン伯爵家などたいした価値はないが、これから立て直しラインハルトが継ぐ頃にはマリーと俺とで今の数倍もいい領地にしてやるさ。では、話はこれでおしまいだ。ごきげんよう!」
「え! えぇ~~! ちょ、ちょっとお待ちを! フィンレー様!」
「しつこいな! まだ不満があるのなら裁判にかけてもいいぞ! ローズと不倫をしマリーを軟禁させたライアンの罪は軽くはないだろうな。妹の夫と不倫をし軟禁した姉の罪はもっと重い。無理矢理、子供を奪ったという経緯も加味すれば誘拐罪も適用される。デスティニー公爵家はどんなことがあってもマリーを守る。俺を敵にまわす覚悟はあるか?」
「あ、ありません……帰りますから……」
「うん、気をつけて帰るがいい。爵位譲渡の手続きはたった今済んだ。なぜなら、この会談のやり取りは実況中継魔術で陛下にもお見せしている。陛下、キャメロン伯爵家の当主をマリーに変更することの認可をお願いします」
フィンレーがサロンに鎮座する大きな水晶球に声をかけると国王陛下の厳めしい顔が映し出されたのだった。
「マリーちゃん。今日からあなたの授業を始めますよ。社交界の貴夫人達の力関係と交友関係について私が教えましょう。爵位だけでは測れない影響力についてです。彼女達の力関係は教養と話術・領地経営の成功度・資産や派閥によって微妙に変わります。異なるバックグランドをもった方達と上手にお付き合いをするには、まずはその方達のことをよく知らなければね。誰と誰の仲が良好なのかそうでないのか等、いくつかある派閥の掌握も重要です。狸顔の天然ぶりっ子や女狐嫌み女の攻撃を鮮やかにかわし、こちら側につかせる人たらし術……あら、間違えたわ。ゲフン、ゴホン、社交界の優雅なご婦人方と楽しい友好関係を築く極意といった方がいいわね。このようなものを伝授しますわ」
「はい? デスティニー公爵夫人、家庭教師の私にそのようなものが必要でしょうか? 社交界に最後に顔を出したのはもう2年ほど前ですわ。これからも夜会などには行くつもはありませんし……今の私は爵位も持たない離婚歴のある子持ちの女ですから……」
「これはエルサに教えてもらう為ですよ。エルサはマリーちゃんの言うことならなんでも素直に聞きますからね」
にっこりと笑ったデスティニー公爵夫人にマリーは納得顔で頷いた。
「かしこまりました。もうエルサ様はそのようなお勉強をするのですね? 社交界デビューはずっと先ですのに……さすがデスティニー公爵令嬢ですわね。私、ちゃんとエルサ様に教えられるように頑張ります」
その言葉に満足気に頷いたデスティニー公爵夫人の向かい側のソファでフィンレーは楽しげに笑って言う。
「それほど気張ることはないよ。マリーなら上手にこなせるさ。なにかあれば俺が守るし安心していい」
極甘な眼差しでマリーを見つめながら、いつものようにチョコレイトをマリーの舌に乗せるのだった。
「あのぉ、妹のように思っていただくのは嬉しいのですがこれはさすがに恥ずかしいです。デスティニー公爵夫人も見ていらっしゃいますし……エルサ様になさってください」
「え! マリー先生。お兄様からそんなことされるなんて私は嫌よ! あーん、なんて妹にはしませんわ。そういったことは恋人同士しかしないことではないかしら?……マリー先生って……鈍……コホン、えっとなんでもないわ。お兄様! このチョコレイトはとてもおいしいですわねぇ」
エルサはマリーを鈍いと言おうとして慌ててその言葉を引っ込めたのである。それは兄に怖い顔で睨まれたからで、どうやらフィンレーはまだマリーに愛の告白をしていないようだった。
(もうとっくに告白したのかと思っていたのに……お兄様はなし崩し的に結婚に持ち込む作戦ね。マリー先生がお姉様になってくれたら最高に嬉しいから応援しなくっちゃ)
「マリー先生! 一緒にお母様と夜会に出て私にいろいろと教えてくださいませ。やはり実際に現場体験しませんと私にちゃんと教えられないでしょう? そうだ、エスコートはフィンレーお兄様にお願いすればいいわ。とてもお似合いよ」
エルサの援護射撃にフィンレーは嬉しそうに微笑み、デスティニー公爵夫人も満面の笑みを浮かべたのである。
「それはとてもいい案だね。それならマリーのドレスは俺がプレゼントしよう。また一緒に買い物に行こう」
フィンレーはラインハルトを抱き上げながらマリーに言うと、なんとラインハルトはフィンレーに向かい初めての言葉を発した。
「パパーー!!」
マリーはすっかり困惑していたが、フィンレーは「うん、なんて賢い子だ」と目を細めたのであった。
ローズside
ある日の昼下がり、異常に膨らんだお腹を抱えたローズとライアンは吐き気を必死で抑えながらデスティニー公爵家のサロンの豪華なソファに座っていた。
「さて、なんの用だ? 俺はとても忙しい。早く要件を言いたまえ」
尊大なフィンレーにローズは思わずかっとなるが、なんとか怒りを収めて猫なで声を出そうとしていた。
「実はマリーにキャメロン伯爵位を譲ろうと思うのです。マリーは隣国の有名な学園を上位で卒業した才女ですし領地経営も私よりうまくこなせるはず……」
「ふーーん。領地経営がすっかり傾き負債だらけのキャメロン家をマリーが継ぐメリットはどこにあるんだ? 彼女にはもうすでに新たな地位が待っているのに」
「「え! どういう意味ですか?」」
ローズとライアンが口を揃えて疑問を口にするが、フィンレーは構わず先の言葉を紡いだ。
「だが、まぁラインハルトの為にはなるか……いいだろう、その爵位をマリーに譲ってもらおうか」
フィンレーの言葉にライアンは思わずにやけて目をギラギラと輝かせた。
「それで、お金なのですが……3億ポンス(1ポンス=1円)で……」
ライアンの金額提示にフィンレーが手を振った。
「あぁ、君らから金を取るつもりはないから安心しろ。マリーへの慰謝料の話だろう? いつその話をもってくるのかとイライラしていたが、やっとこのタイミングで聞けたわけだ。慰謝料はその爵位で良しとしよう。負債だらけのキャメロン伯爵家などたいした価値はないが、これから立て直しラインハルトが継ぐ頃にはマリーと俺とで今の数倍もいい領地にしてやるさ。では、話はこれでおしまいだ。ごきげんよう!」
「え! えぇ~~! ちょ、ちょっとお待ちを! フィンレー様!」
「しつこいな! まだ不満があるのなら裁判にかけてもいいぞ! ローズと不倫をしマリーを軟禁させたライアンの罪は軽くはないだろうな。妹の夫と不倫をし軟禁した姉の罪はもっと重い。無理矢理、子供を奪ったという経緯も加味すれば誘拐罪も適用される。デスティニー公爵家はどんなことがあってもマリーを守る。俺を敵にまわす覚悟はあるか?」
「あ、ありません……帰りますから……」
「うん、気をつけて帰るがいい。爵位譲渡の手続きはたった今済んだ。なぜなら、この会談のやり取りは実況中継魔術で陛下にもお見せしている。陛下、キャメロン伯爵家の当主をマリーに変更することの認可をお願いします」
フィンレーがサロンに鎮座する大きな水晶球に声をかけると国王陛下の厳めしい顔が映し出されたのだった。
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