2 / 7
苦手な妹と担当者の電話
しおりを挟む
「新様!婚約!!命の恩人の愛らしい令嬢と愛を育んだ!」
私が小説を連載する新聞に大きな見出しが載っていた。
すごいな。嘘をついてまで婚約した女って‥‥‥その写真を見た途端、私はしゃっくりが止まらない。
さくら‥‥写真の女性は私の妹だった。
妹は隣町の実家で両親と住んでいて泳ぎはからっきしダメな子だ。でも、可愛くて甘え上手で友人もたくさんいる社交的な子。両親の愛も友情も全て手に入れる妹はこんな時でもチャンスをものにするのね‥‥
30人の偽物から選ばれたやっぱり偽物の妹は、その新聞での発表の次に日に私の家にやってきた。
相変わらず、色白で大きな瞳の妹は男が全力で守ってあげたくなるほど可愛い。
今日はフリルのついた水玉のワンピース着ていた。これぞ、ザ、お嬢様ってかんじの。私はTシャツに履き古したジーパンだ。妹のいつものばかにしたような視線を感じた。
「お姉ちゃん、久しぶりねぇー。相変わらず、日焼けして真っ黒ね。海女なんてやっているからよ!でも、けっこういい家に住んでいるじゃない?海女って儲かるのねぇー」
「はぁーーそうね、3年ぶりぐらいかしら?それで、わざわざ何の用?」
「んーお願いがあるのよ。新様を助けたのってお姉ちゃんでしょう?あのあたりはお姉ちゃんが漁をする場所だって海にいた漁師さんたちが言ってたから。新様が聞き込み調査なんかしたら一発でばれちゃう。だからね、お姉ちゃんはこれからも名乗り出ないで欲しいの」
「用事はそれだけ?それならもう帰ってくれる?名乗り出ることはしないわ、絶対にね」
妹は満足げに笑って帰って行った。帰り際に、私の部屋にあった珊瑚の置物をそっと手提げに入れて。
妹は私のものをさらっていくのが上手だ。我慢していたしゃっくりが今、出てきた。
私は嫌いな人といるとしゃっくりがでるんだ。今は連発していてとまらない。
あわてて水を飲んで落ち着いたところに、私が連載している新聞社から連絡がきた。
「もしもし、担当の小川です。明日の打ち合わせは日本ホテルでやりますから。ドレスアップしてきてくださいね。
以上です」要件だけ言ってぷっつりと電話が切れた。
いつもは電話で済ましていた打ち合わせなのに、なぜ高級ホテルなんだろう?
しかも、ドレスアップ?意味不明。まぁ、いいか。
私が小説を連載する新聞に大きな見出しが載っていた。
すごいな。嘘をついてまで婚約した女って‥‥‥その写真を見た途端、私はしゃっくりが止まらない。
さくら‥‥写真の女性は私の妹だった。
妹は隣町の実家で両親と住んでいて泳ぎはからっきしダメな子だ。でも、可愛くて甘え上手で友人もたくさんいる社交的な子。両親の愛も友情も全て手に入れる妹はこんな時でもチャンスをものにするのね‥‥
30人の偽物から選ばれたやっぱり偽物の妹は、その新聞での発表の次に日に私の家にやってきた。
相変わらず、色白で大きな瞳の妹は男が全力で守ってあげたくなるほど可愛い。
今日はフリルのついた水玉のワンピース着ていた。これぞ、ザ、お嬢様ってかんじの。私はTシャツに履き古したジーパンだ。妹のいつものばかにしたような視線を感じた。
「お姉ちゃん、久しぶりねぇー。相変わらず、日焼けして真っ黒ね。海女なんてやっているからよ!でも、けっこういい家に住んでいるじゃない?海女って儲かるのねぇー」
「はぁーーそうね、3年ぶりぐらいかしら?それで、わざわざ何の用?」
「んーお願いがあるのよ。新様を助けたのってお姉ちゃんでしょう?あのあたりはお姉ちゃんが漁をする場所だって海にいた漁師さんたちが言ってたから。新様が聞き込み調査なんかしたら一発でばれちゃう。だからね、お姉ちゃんはこれからも名乗り出ないで欲しいの」
「用事はそれだけ?それならもう帰ってくれる?名乗り出ることはしないわ、絶対にね」
妹は満足げに笑って帰って行った。帰り際に、私の部屋にあった珊瑚の置物をそっと手提げに入れて。
妹は私のものをさらっていくのが上手だ。我慢していたしゃっくりが今、出てきた。
私は嫌いな人といるとしゃっくりがでるんだ。今は連発していてとまらない。
あわてて水を飲んで落ち着いたところに、私が連載している新聞社から連絡がきた。
「もしもし、担当の小川です。明日の打ち合わせは日本ホテルでやりますから。ドレスアップしてきてくださいね。
以上です」要件だけ言ってぷっつりと電話が切れた。
いつもは電話で済ましていた打ち合わせなのに、なぜ高級ホテルなんだろう?
しかも、ドレスアップ?意味不明。まぁ、いいか。
0
お気に入りに追加
32
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されて捨てられたけど感謝でいっぱい
青空一夏
恋愛
私、アグネスは次期皇后として皇太子と婚約していた。辛い勉強に日々、明け暮れるも、妹は遊びほうけているばかり。そんな妹を羨ましかった私に皇太子から婚約破棄の宣言がされた。理由は妹が妊娠したから!おまけに私にその妹を支えるために側妃になれと言う。いや、それってそちらに都合良すぎだから!逃れるために私がとった策とは‥‥
婚約破棄されたから復讐したけど夕焼けが綺麗だから帰ります!!
青空一夏
恋愛
王に婚約破棄されたエラは従姉妹のダイアナが王の隣に寄り添っているのにショックをうけて意識がなくなる。
前世の記憶を取り戻したアフターエラは今までの復讐をサクッとしていく。
ざまぁ、コメディー、転生もの。
与えてもらった名前を名乗ることで未来が大きく変わるとしても、私は自分で名前も運命も選びたい
珠宮さくら
ファンタジー
森の中の草むらで、10歳くらいの女の子が1人で眠っていた。彼女は自分の名前がわからず、それまでの記憶もあやふやな状態だった。
そんな彼女が最初に出会ったのは、森の中で枝が折られてしまった若い木とそして時折、人間のように見えるツキノワグマのクリティアスだった。
そこから、彼女は森の中の色んな動物や木々と仲良くなっていくのだが、その森の主と呼ばれている木から、新しい名前であるアルテア・イフィジェニーという名前を与えられることになる。
彼女は様々な種族との出会いを経て、自分が何者なのかを思い出すことになり、自分が名乗る名前で揺れ動くことになるとは思いもしなかった。
王女様は夫のイケメン公爵様に二度恋をする
青空一夏
恋愛
王女様にはイケメン公爵家の嫡男の金髪にサファイアブルーの瞳のイライジャという婚約者がいる。結婚3ヶ月を控えていたルナを姉のオリビアは仮面舞踏会に誘った。そこで、黒髪の貴公子に会って恋に落ちたルナはイライジャと結婚した後も彼が忘れられず離婚になりそうになるが‥‥
初恋の人にもう一度会いたくて頑張っていたのにそれが叶わぬ願いだと知りました。記憶を失くしても、私の中で消えないものがあったようです
珠宮さくら
恋愛
初恋の人にもう一度会う方法は、これしかない。そう思いこんだ少女がいた。
彼女の名前は、トレイシー・ナヴァル。子爵家の一人娘として生まれ、突然会えなくなった人の婚約者になることをずっと夢見ていた。
その夢を叶えるために頑張っている間に色々なことがあったが、彼女の頭の中はその人のことばかりで、周りで起こっていることを見聞きせずいたせいで、途方に暮れることになるとは思いもしなかった。
初恋の人への想いが断ち切れず、溺愛していた妹に無邪気な殺意を向けられ、ようやく夢見た幸せに気づきましたが、手遅れだったのでしょうか?
珠宮さくら
恋愛
侯爵家の長女として生まれたウィスタリア・レルヒェンフェルトは、ウェールズという国で、王太子の婚約者となるのにもっとも相応しいと国中のほとんどの人たちに思われていた。
そんな彼女が必死になって王太子の婚約者になろうとしていたのは、想い人のため。それだけだった。
それが、蓋を開ければ、王太子が選んだのは別の令嬢だった。選ぶことも王太子が、好きにしていいと言われていたが、ほとんどの者がなぜ、そちらを選んだのかと不思議に思うが、その理由は本人しか知らないままとなる。
王太子が選んだ婚約者の暴走に巻き込まれ続けるウィスタリアだが、そんな彼女が婚約したのは、誰もが婚約したがらない子息だった。
彼女は妹のことを溺愛していたが、王太子と婚約できなかったことで、色々とありすぎて数年ほど会えずにいただけで、すっかり様変わりしてしまうとは思いもしなかった。
更には、運命の人とすれ違い続けていることにウィスタリアは中々気づくことができなかった。
私は途中で仮装をやめましたが、周りはハロウィンが好きで毎日仮装を続けていると思ったら……?
珠宮さくら
ファンタジー
ユズカは、家族で行った旅行先で天涯孤独の身の上になってしまった。10歳の時だった。
病院で途方に暮れるユズカのところに祖父母に世話になったという老女が現れて、彼女をおばあちゃんと呼んで世話になることに決めたことで、歯車はそこで回り続けることになった。
その世界が、ユズカの生まれ育った世界とは違っていることに本人が気づかないまま成長していくことになるとは思いもしなかった。
それこそ、とんでもない勘違いをしたまま、ユズカはその世界で存分に生きることになって、徐々に勘違いも解けていくのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる