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苦手な妹と担当者の電話

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「新様!婚約!!命の恩人の愛らしい令嬢と愛を育んだ!」


私が小説を連載する新聞に大きな見出しが載っていた。

すごいな。嘘をついてまで婚約した女って‥‥‥その写真を見た途端、私はしゃっくりが止まらない。

さくら‥‥写真の女性は私の妹だった。

妹は隣町の実家で両親と住んでいて泳ぎはからっきしダメな子だ。でも、可愛くて甘え上手で友人もたくさんいる社交的な子。両親の愛も友情も全て手に入れる妹はこんな時でもチャンスをものにするのね‥‥

30人の偽物から選ばれたやっぱり偽物の妹は、その新聞での発表の次に日に私の家にやってきた。

相変わらず、色白で大きな瞳の妹は男が全力で守ってあげたくなるほど可愛い。

今日はフリルのついた水玉のワンピース着ていた。これぞ、ザ、お嬢様ってかんじの。私はTシャツに履き古したジーパンだ。妹のいつものばかにしたような視線を感じた。

「お姉ちゃん、久しぶりねぇー。相変わらず、日焼けして真っ黒ね。海女なんてやっているからよ!でも、けっこういい家に住んでいるじゃない?海女って儲かるのねぇー」

「はぁーーそうね、3年ぶりぐらいかしら?それで、わざわざ何の用?」

「んーお願いがあるのよ。新様を助けたのってお姉ちゃんでしょう?あのあたりはお姉ちゃんが漁をする場所だって海にいた漁師さんたちが言ってたから。新様が聞き込み調査なんかしたら一発でばれちゃう。だからね、お姉ちゃんはこれからも名乗り出ないで欲しいの」


「用事はそれだけ?それならもう帰ってくれる?名乗り出ることはしないわ、絶対にね」

妹は満足げに笑って帰って行った。帰り際に、私の部屋にあった珊瑚の置物をそっと手提げに入れて。

妹は私のものをさらっていくのが上手だ。我慢していたしゃっくりが今、出てきた。

私は嫌いな人といるとしゃっくりがでるんだ。今は連発していてとまらない。

あわてて水を飲んで落ち着いたところに、私が連載している新聞社から連絡がきた。

「もしもし、担当の小川です。明日の打ち合わせは日本ホテルでやりますから。ドレスアップしてきてくださいね。

以上です」要件だけ言ってぷっつりと電話が切れた。

いつもは電話で済ましていた打ち合わせなのに、なぜ高級ホテルなんだろう?

しかも、ドレスアップ?意味不明。まぁ、いいか。

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