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4 実は最高の家柄だった母ジャクリーン
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「そんなところで汚いドレスを持って立っていたら邪魔よ! そんな古いドレスなんてどうでもいいでしょう?」
サマンサは、虫でも追い払うように手をふります。
「これは結婚式に着ようとしていたものです!」
「まだ、キュルス侯爵夫人になろうとしているの? いい加減諦めなさいよ! キュルス侯爵はもうあんたのことなんて好きじゃないわよ? きっとすぐに婚約解消を言ってくるわ」
サマンサの確信に満ちた表情と言葉に私は目眩がしました。
ーーもう、これ以上ここにはいられないわ!
私はキュルス侯爵家に向い、恥を忍んでドレスが台無しにされたことをキュルス侯爵に訴えました。
「もうそんなレティラ伯爵家に帰る必要はないだろう。ここに婚約者として住めばいい」
「でも、貴族の結婚は当主の許可が要りますよね。きっとお父様は絶対に結婚許可証にサインをしません」
「それは大丈夫! 君の伯父様はホワイト公爵だろう? 話しはついているからね」
「伯父様? 私のお母様は没落した貧乏男爵貴族ではないのですか? 親戚は一人もいないはずです」
私は、初めて聞く名前に驚愕したのです。
「それは、あのバカから聞いたのかね? あいつめ、都合の悪いことは全て嘘を吐くのだなぁ。カトリーヌの母上のジャクリーン様はホワイト公爵家の長女でショーン公爵のたった一人の妹だよ。あのバカとの結婚で怒りをかい、縁を切られたのさ」
前キュルス侯爵は、私に真実を教えてくださったのです。ずっと、侍女でさえも私にそう言い続けていた貧乏男爵の令嬢というお母様は、なんと王家の血も引く公爵令嬢だったのでした。
ーーお母様、男を見る目だけはなかったのが残念です・・・・・・
翌日、その伯父様を訪問するとその門からひろがる広大な敷地に目を見張りました。敷地の中に森があり湖まである高位貴族の屋敷は、初めてでした。
王宮にも負けないたたずまいの白亜の豪邸に気後れし、その侍女の多さにも戸惑いを隠せません。
「はじめまして。私は・・・・・・」
「なんてことだ! ジャクリーンにそっくりだ・・・・・・挨拶はいいからこちらにおいで。私はね、度々妹が亡くなってからお前に手紙を書いたが返事はなかった。やはり母親の結婚に反対したことを怒っていたのだな?」
「え? お手紙は一度もいただいておりませんし、お母様がホワイト公爵家の長女だともきいておりませんでした」
お父様に聞かされていた事実を伝えますと、みるみる伯父様のお顔が険しくなります。加えて、今までの経緯もざっと説明した私です。
「そんな父親はいらないな。私があいつのかわりに結婚許可証にサインしよう」
伯父様は満面の笑みでおっしゃったのでした。
そんなわけで、私はキュルス侯爵家に婚約者としてお世話になることに。結婚式は半年後と日程も決まり、ドレスも新しいものを用意する運びとなりました。
ひと月ほど穏やかな日々が過ぎていきました。伯父様のホワイト公爵とその奥方はとても優しく、またお子様がいないこともあって、『私を娘のように思う』とおっしゃってくださいました。
本日はキュルス侯爵邸で伯父様夫妻と私、キュルス侯爵に前侯爵で、結婚式についてお話をして楽しく盛り上がっていました。
「ご来客がございます。ダコス・レティラ伯爵令嬢とその母上様がいらっしゃっております」
執事の声と同時に押し寄せた二人に、伯父様が眉をキュッと寄せました。
「こんにちわぁーー!! やっぱり、いたのね!! お姉さま、図々しすぎますわ!! ギルバートも酷いわ。私とたくさんデートをして妻を私にするって言ってくれたじゃない!」
最近開発されたカメラなるもので撮った写真を私達に突きつけました。そこには腕を組んだダコスとギルバート・キュルス侯爵が写っていたのでした。
サマンサは、虫でも追い払うように手をふります。
「これは結婚式に着ようとしていたものです!」
「まだ、キュルス侯爵夫人になろうとしているの? いい加減諦めなさいよ! キュルス侯爵はもうあんたのことなんて好きじゃないわよ? きっとすぐに婚約解消を言ってくるわ」
サマンサの確信に満ちた表情と言葉に私は目眩がしました。
ーーもう、これ以上ここにはいられないわ!
私はキュルス侯爵家に向い、恥を忍んでドレスが台無しにされたことをキュルス侯爵に訴えました。
「もうそんなレティラ伯爵家に帰る必要はないだろう。ここに婚約者として住めばいい」
「でも、貴族の結婚は当主の許可が要りますよね。きっとお父様は絶対に結婚許可証にサインをしません」
「それは大丈夫! 君の伯父様はホワイト公爵だろう? 話しはついているからね」
「伯父様? 私のお母様は没落した貧乏男爵貴族ではないのですか? 親戚は一人もいないはずです」
私は、初めて聞く名前に驚愕したのです。
「それは、あのバカから聞いたのかね? あいつめ、都合の悪いことは全て嘘を吐くのだなぁ。カトリーヌの母上のジャクリーン様はホワイト公爵家の長女でショーン公爵のたった一人の妹だよ。あのバカとの結婚で怒りをかい、縁を切られたのさ」
前キュルス侯爵は、私に真実を教えてくださったのです。ずっと、侍女でさえも私にそう言い続けていた貧乏男爵の令嬢というお母様は、なんと王家の血も引く公爵令嬢だったのでした。
ーーお母様、男を見る目だけはなかったのが残念です・・・・・・
翌日、その伯父様を訪問するとその門からひろがる広大な敷地に目を見張りました。敷地の中に森があり湖まである高位貴族の屋敷は、初めてでした。
王宮にも負けないたたずまいの白亜の豪邸に気後れし、その侍女の多さにも戸惑いを隠せません。
「はじめまして。私は・・・・・・」
「なんてことだ! ジャクリーンにそっくりだ・・・・・・挨拶はいいからこちらにおいで。私はね、度々妹が亡くなってからお前に手紙を書いたが返事はなかった。やはり母親の結婚に反対したことを怒っていたのだな?」
「え? お手紙は一度もいただいておりませんし、お母様がホワイト公爵家の長女だともきいておりませんでした」
お父様に聞かされていた事実を伝えますと、みるみる伯父様のお顔が険しくなります。加えて、今までの経緯もざっと説明した私です。
「そんな父親はいらないな。私があいつのかわりに結婚許可証にサインしよう」
伯父様は満面の笑みでおっしゃったのでした。
そんなわけで、私はキュルス侯爵家に婚約者としてお世話になることに。結婚式は半年後と日程も決まり、ドレスも新しいものを用意する運びとなりました。
ひと月ほど穏やかな日々が過ぎていきました。伯父様のホワイト公爵とその奥方はとても優しく、またお子様がいないこともあって、『私を娘のように思う』とおっしゃってくださいました。
本日はキュルス侯爵邸で伯父様夫妻と私、キュルス侯爵に前侯爵で、結婚式についてお話をして楽しく盛り上がっていました。
「ご来客がございます。ダコス・レティラ伯爵令嬢とその母上様がいらっしゃっております」
執事の声と同時に押し寄せた二人に、伯父様が眉をキュッと寄せました。
「こんにちわぁーー!! やっぱり、いたのね!! お姉さま、図々しすぎますわ!! ギルバートも酷いわ。私とたくさんデートをして妻を私にするって言ってくれたじゃない!」
最近開発されたカメラなるもので撮った写真を私達に突きつけました。そこには腕を組んだダコスとギルバート・キュルス侯爵が写っていたのでした。
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