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11 殺されそうになったアリゼは・・・・・・、そして思わぬ再会・・・・・・
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それからずっとスープには危ない薬物、感覚が研ぎ澄まされて集中力が増すが脳が次第に損傷してくるという危険なもの、が混ぜられていた。もちろん、私は飲まない。
「体調はどうだい? 夜は眠れるかい?」
私を気遣ったような言葉をかけてくれるゴドフロア叔父様だが、全てそれは計算された偽りの優しさだ。
「あまり体調が良くなくて困っていますわ。眠れないので絵を描いていますから、あの大作はまもなく描き終えると思います」
私がそう言うと満足げに頷き、嬉しそうに笑うのだ。
エリザは定期的に胃腸の働きが活発になりすぎる薬草を煎じ、その翌日にはゴドフロア叔父様のうなり声が屋敷中に響く。もはやこれは日常茶飯事のようになり、ゴドフロア叔父様も最初は苦しんでいたけれど、最近では便秘が治ってすっきりだとジョークまで飛ばすようになった。
「やはり、ゴキブリのようにしぶとい奴です。毒に対する耐性がついてきたようですね。もしかしてドナシアン伯爵は、いい人体実・・・・・・ケホン、ゴホン・・・・・・なんでもありません、失礼しました」
エリザがなにやら言おうとしたのをユイラが足で蹴る。
「すばらしい絵画を描いたご褒美だよ。今話題の劇で一番良い席がとれたのだ。行ってきなさい。これはブロンシュや妻には内緒だよ。メイド達の席もある。着飾って皆で楽しんできなさい」
半年かけて大作をやっと描き終えた私の手に、ゴドフロア叔父様は観劇のチケットを3枚おいた。
「アリゼ様、いよいよですね。大丈夫です、お任せください」
二人のメイド達が余裕の笑みを浮かべたので私は少しも怖くなかった。
観劇の当日、とても機嫌の良いゴドフロア叔父様は私の頬にキスまでして送り出す。案の定、観劇に向かうはずの馬車は劇場のある繁華街ではなく人気のない森に向かう。
馬車の中でエリザがドレスを脱ぎ捨てると、その筋肉質な胴回りには薄い投げナイフが何十本も収まったナイフホルダーが巻かれていた。
ユイラは長い2本の剣を取り出して刃先に紫の液体をかける。
「これは痺れ薬です。大事な証人は殺すわけにはいきませんからね。深く切らずに手加減します」
「ふふふ。プロの殺し屋みたいね」
私は二人に笑いかけた。
「はい、私達はプロの殺し屋ですよ? なんだと思っていらっしゃったのですか?」
「えっと、女性騎士じゃないの?」
「女性騎士としてスティール侯爵家に雇われる前はプロの殺し屋だったんです。だから安心してくださいね。私達が殺られることはあり得ません」
馬車が止まり森から4人の男達があらわれ私達に襲いかかってきた。
「綺麗な女二人に、こちらも綺麗なお嬢ちゃんが一人か。殺すには惜しいなぁ。しばらく生かしとくか。お前ら俺たちの言うことを素直に聞けば・・・・・・うっ」
話し終える前にエリザが男の太ももにナイフを突き立てた。
すぐさま残りの二人の足にもナイフを投げていき、うずくまったところを縄でぐるぐる巻きにする。御者ともう一人の男は、ユイラが剣で背中を切りつけて縛り上げた。
「こいつらは大事な証人ですから、浅くしか切りませんでした。これぐらいじゃぁ死にやしません。スティール侯爵家に着いたら拷問し、誰の差し金か吐かせます」
「まぁ、あのゴドフロア叔父様に間違いないけれどね」
私はそうつぶやき、そのままシアニア国へと旅立つ。旅行カバンはすでに積んであり、そのつもりで観劇に向かったのだから。
数日かけてやっとシアニア国のスティール侯爵家に着いた私は、懐かしい人とそれからとても会いたかった人に再会することができた。
「おかえり。アリゼ」
私は泣きながらその胸に飛び込んだのだった。
「体調はどうだい? 夜は眠れるかい?」
私を気遣ったような言葉をかけてくれるゴドフロア叔父様だが、全てそれは計算された偽りの優しさだ。
「あまり体調が良くなくて困っていますわ。眠れないので絵を描いていますから、あの大作はまもなく描き終えると思います」
私がそう言うと満足げに頷き、嬉しそうに笑うのだ。
エリザは定期的に胃腸の働きが活発になりすぎる薬草を煎じ、その翌日にはゴドフロア叔父様のうなり声が屋敷中に響く。もはやこれは日常茶飯事のようになり、ゴドフロア叔父様も最初は苦しんでいたけれど、最近では便秘が治ってすっきりだとジョークまで飛ばすようになった。
「やはり、ゴキブリのようにしぶとい奴です。毒に対する耐性がついてきたようですね。もしかしてドナシアン伯爵は、いい人体実・・・・・・ケホン、ゴホン・・・・・・なんでもありません、失礼しました」
エリザがなにやら言おうとしたのをユイラが足で蹴る。
「すばらしい絵画を描いたご褒美だよ。今話題の劇で一番良い席がとれたのだ。行ってきなさい。これはブロンシュや妻には内緒だよ。メイド達の席もある。着飾って皆で楽しんできなさい」
半年かけて大作をやっと描き終えた私の手に、ゴドフロア叔父様は観劇のチケットを3枚おいた。
「アリゼ様、いよいよですね。大丈夫です、お任せください」
二人のメイド達が余裕の笑みを浮かべたので私は少しも怖くなかった。
観劇の当日、とても機嫌の良いゴドフロア叔父様は私の頬にキスまでして送り出す。案の定、観劇に向かうはずの馬車は劇場のある繁華街ではなく人気のない森に向かう。
馬車の中でエリザがドレスを脱ぎ捨てると、その筋肉質な胴回りには薄い投げナイフが何十本も収まったナイフホルダーが巻かれていた。
ユイラは長い2本の剣を取り出して刃先に紫の液体をかける。
「これは痺れ薬です。大事な証人は殺すわけにはいきませんからね。深く切らずに手加減します」
「ふふふ。プロの殺し屋みたいね」
私は二人に笑いかけた。
「はい、私達はプロの殺し屋ですよ? なんだと思っていらっしゃったのですか?」
「えっと、女性騎士じゃないの?」
「女性騎士としてスティール侯爵家に雇われる前はプロの殺し屋だったんです。だから安心してくださいね。私達が殺られることはあり得ません」
馬車が止まり森から4人の男達があらわれ私達に襲いかかってきた。
「綺麗な女二人に、こちらも綺麗なお嬢ちゃんが一人か。殺すには惜しいなぁ。しばらく生かしとくか。お前ら俺たちの言うことを素直に聞けば・・・・・・うっ」
話し終える前にエリザが男の太ももにナイフを突き立てた。
すぐさま残りの二人の足にもナイフを投げていき、うずくまったところを縄でぐるぐる巻きにする。御者ともう一人の男は、ユイラが剣で背中を切りつけて縛り上げた。
「こいつらは大事な証人ですから、浅くしか切りませんでした。これぐらいじゃぁ死にやしません。スティール侯爵家に着いたら拷問し、誰の差し金か吐かせます」
「まぁ、あのゴドフロア叔父様に間違いないけれどね」
私はそうつぶやき、そのままシアニア国へと旅立つ。旅行カバンはすでに積んであり、そのつもりで観劇に向かったのだから。
数日かけてやっとシアニア国のスティール侯爵家に着いた私は、懐かしい人とそれからとても会いたかった人に再会することができた。
「おかえり。アリゼ」
私は泣きながらその胸に飛び込んだのだった。
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