(完)婚約破棄されたので、元婚約者のイケメン弟とお仕事します!

青空一夏

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真実の愛? 喜んで身を引きますとも!

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 ディラン様は、こうして私の婚約者になり定期的にクレアン伯爵家に訪れるのだった。そして、そのたびに、
『その目が気にくわない。髪はやはり黒にしろ、まてよ、やはり銀髪に染めろ』等とおっしゃるのだった。

 私は、なるべくディラン様を見ないようにうつむき加減でいるのが常になった。そうして、余計なことも言わないように口数も少なくなる。髪は、いろいろな色に染めすぎてすっかり傷んでパサパサだ。

 それでも、『はい、はい。』言って、まるで奴隷のように言いなりになっていたら半年後にディラン様がおっしゃった。
 
「私は、真実の愛に目覚めた。サラのような言いなりの犬などいらない。私は天真爛漫なブリアンナと婚約する」

 ブリアンナって、どなたでしょう? あぁ、でもそんなことどうでもいいわ! これで解放される。

「かしこまりました。いままで、どうもありがとうございました。つきましては、そちら様の一方的な心変わりからの婚約破棄ですので、慰謝料を請求いたしますね? 私の婚約破棄を告げられたことによる精神的苦痛と、この半年間のモラハラに対する精神的苦痛を足し合わせますよ。それと、時間的損失、これも見落とせませんわ。17歳の半年間を私はディラン様と過ごしました。婚約適齢期を半年も無駄にしたことになりますね!」

「いや、ちょっと、待て! お前は誰だ? サラは、そんなにおしゃべりじゃないし、難しい言葉も使わない。いつも下を向いて、涙をためていただろう?」

「あぁ、あれは退屈で欠伸をしていただけですわ。それと、お話はまだ終わっていませんわよ? さきほどのみっつの要素の慰謝料を足し合わせますとね。ちょうど、アシュレ家から精算して頂いた負債と同じ額の3億になりますのよ?けれど、よく考えてご覧なさい。そちらの心変わりでされる婚約破棄ならば、そもそも払って頂いた負債はちゃらで、本来ならば別途に3億の慰謝料がいただけるはずですわね?ここまでは、よろしくて?」

「あ?あぁ」

「はい、ありがとうございます!! で、私もそこは鬼ではないので、別途の慰謝料としては半分以上まけてさしあげます。なので、ディラン様は私に1億だけくだされば充分です。あぁ、今日はなんて有意義な日だったのかしら。では、早急にクレアン伯爵家の口座にお振り込みくださいませ。ごきげんよう!」

 私は、上機嫌でディラン様を送ったのだった。『真実の愛』よ、万歳!!私は自由よ。
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