（完）婚約破棄されたので、元婚約者のイケメン弟とお仕事します！

マンデー男爵家は、思わぬ上客になりました(サラside)

　「上級警察だと？　賄賂でも送れば誤魔化せるさ。言えるものなら言ってみろ！」

　私は、ため息をつく。この異世界にも警察はあり、上級警察は貴族を取り締まるところだ。賄賂が通用したのは、一昔も前の話。･･････このマンデー男爵は横柄なうえに勉強不足なようだ。

「残念ですね･･････親がこれなら子供もこうなりますね。納得です。では、私は帰りますね」

　帰ろうとしたところに、一人の男性がやって来てマンデー男爵を叱った。

「バカ者！　娘をまず叱りなさい！　儂が孫と息子を甘やかしすぎたようだ。申し訳ない」

　その言葉からすると、この方は前マンデー男爵なのでしょう。私は、クロエさんに向かってこう言った。

「クロエさん、よく聞いてくださいね？　お店は物を売って利益をだしているのです。仕入れるのもただではないのですよ。単価が安い物ほど、薄利多売でたくさん売らないと利益にならないのです。それを、万引きされたらお店は潰れてしまいます」

　前マンデー男爵は、私の言葉に同意を示して、眉尻を下げ情けない表情になっていた。この方、話が通じそうだ。


「貴女のおっしゃっていることはもっともだ。万引きは悪いことだ。弁解の余地もない。レスリーも、娘を注意せねばならんところを、賄賂で誤魔化すと言ってのけるとは･･････今はそんな時代ではない。この老人の儂だって知っているぞ。儂が功績を王に認められて１代目の男爵になりレスリーが２代目、クロエが一人娘で３代目か･･････まさに世に言う３代目で身代を潰すとはこのことか･･････」

　前マンデー男爵は、ほとほと困ったようにため息をついた。私もその言葉を聞いて考えこんでしまう。やっぱり、子育てって大事よね？　あ、でも私はまで結婚もしていない。とにかく、この前マンデー男爵に息子と孫のお説教をしてもらい、私は損害だけ返して貰おう。

「えっと、お話の様子からして前マンデー男爵様ですね？　今後、このようなことがないようにクロエさんにはきつくおっしゃってください。クロエさん、もう、こんなことは二度としてはいけませんよ？　それで、今日のところはシャンプーと歯ブラシのお金だけいただければ、上級警察には報告しません。ちゃんと、お金を払ってまたクロエさんにもお買い物に来て欲しいですね。これからもホームセンター冨士山をよろしくお願いします」

「貴女は実に、ハキハキしていて清々しいですな。うむ･･････決めた！　我がマンデー男爵家で必要なものは、全てホームセンター冨士山から購入することにしよう！　もちろん、肉や魚は買えないでしょうがね。」

　前マンデー男爵様はそうおっしゃって豪快に笑った。肉や魚はさすがにホームセンター冨士山には置けないなぁ。