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私の首を狙って、二人の邪悪な手が迫って来る。
(まさか私、殺されるの?)
私が行方不明になればお父様は必死で探すはず。もちろんこの屋敷の隅々まで調べ上げて、ビドが疑われるのは間違いないのに、この短絡的な男は私を消せばそれで済むと思っていそうで怖い。
ビドの瞳が狂気に満ちているのを見てしまった私は、なぜかユーインの顔を一番に思い出していた。
(ユーイン! 助けてよ。私、殺されちゃう。なんで、ユーインやお父様の言う通り護衛騎士を複数連れてこなかったのだろう? なぜ私はこんなビドのような男を好きだと思ったのだろう?)
悔やんでも悔やみきれない思いがこみあげた。こんなところで死にたくない・・・・・・ユーインに会いたい!
「俺のイルヤに触るな! このクズどもが!」
突如として現れたのは、私が一番会いたかったユーインだった。
「なんだよ! 近衛騎士隊長様のお出ましかよ? お前が守るのは王族だけだろう? なんでここにいるんだよ」
かつての物静かなビドが毒づく様子に違和感しかない。
(ビドは元からこのような人格だったのかしら? 私をずっと騙していたの?)
「大事な俺の女を傷つけやがったな? 許さんぞ! このへなちょこ男が!」
美しいユーインの登場で偽物女が見とれている隙に、私はユーインの胸にすばやく飛び込んだ。
「ユーイン! とても怖かったわ。私、今気がついたの。私が好きなのはユーインだわ、って。運命の相手が側にいたのになんで気がつかなかったのかしら? 殺される、と思ったらユーインの顔しか思い浮かばなかったの」
なんとも乙女チックな言葉が私の口から紡がれ、自分で赤面したけど心からの思いだ。どうかこの気持ちを受け取ってほしい。
「俺はイルヤに弟みたいに扱われていたけど、ずっとイルヤが大好きだったよ。いろいろな女とデートしていたのは、イルヤより好きになれる子を見つけて諦めなきゃ、と思ったからなんだ。イルヤはこのクズと婚約しちまったからね」
「こんなのとはすぐに婚約破棄するわ。そしたら私達きっと・・・・・・」
私達はすっかり二人の世界に入り込んでいたわ。だって初めて気づいたこの恋に私は有頂天だったの。ところがお邪魔虫がまだ片付いてなかったことにクズの声で思い出した。
「僕を捨てて二人で幸せになるなんて許さない。きらびやかな容姿の二人はお似合いだけれど、ここで二人とも殺してやるよ!」
ナイフをもって不気味に笑うビド。私とユーインはロマンチックに見つめ合っていたから、どこからナイフを持ってきたのかはわからないけど(反省)
「おーい。もう入って来ていいぞ」
ユーインの呼びかけにユーインの同僚騎士達4人が入ってくる。片手でビドのナイフを弾き飛ばし、腕をねじりあげたユーインは、余裕の笑みを浮かべながら偽物女と使用人を仲間達に拘束させた。日頃から鍛えているユーインに敵うはずはないのに。愚かなビドだわ。
「さて、セロ王国に連行しよう。罪状は婚約者の殺人未遂の他にもたくさん出てきそうだ。厳しく祖国で裁かれろ! 同僚達や俺が証言台に立つから逃れられないぞ!」
「あたしは無関係よ。ビド様に買われた娼婦だもの」
私はギョッとした面持ちで偽物女を見る。
「驚いた。あなたが娼婦だったの? 私を娼婦扱いした偽物が娼婦だったなんてびっくりするわね」
「僕のハニーを馬鹿にするな! アライアはこんな清い美貌なのに、いろんなことをしてくれるんだぞ! イルヤなんかじゃできないことさ」
「まぁ、売れっ子娼婦なんで、大抵のことはこなしますわ!」
「・・・・・・うわっ、気持ち悪い。私は娼婦と張り合う気はないので、なんのことかわかりませんが一生できなくても良いですわ。それから、そこの娼婦さん。自分の仕事にプライドを持つのは良いことなのだけれど、胸をはって自慢するのはやめなさい」
私はこの二人の犯罪者にお説教をするのだった。
さて、祖国で開かれた貴族裁判では・・・・・・
(まさか私、殺されるの?)
私が行方不明になればお父様は必死で探すはず。もちろんこの屋敷の隅々まで調べ上げて、ビドが疑われるのは間違いないのに、この短絡的な男は私を消せばそれで済むと思っていそうで怖い。
ビドの瞳が狂気に満ちているのを見てしまった私は、なぜかユーインの顔を一番に思い出していた。
(ユーイン! 助けてよ。私、殺されちゃう。なんで、ユーインやお父様の言う通り護衛騎士を複数連れてこなかったのだろう? なぜ私はこんなビドのような男を好きだと思ったのだろう?)
悔やんでも悔やみきれない思いがこみあげた。こんなところで死にたくない・・・・・・ユーインに会いたい!
「俺のイルヤに触るな! このクズどもが!」
突如として現れたのは、私が一番会いたかったユーインだった。
「なんだよ! 近衛騎士隊長様のお出ましかよ? お前が守るのは王族だけだろう? なんでここにいるんだよ」
かつての物静かなビドが毒づく様子に違和感しかない。
(ビドは元からこのような人格だったのかしら? 私をずっと騙していたの?)
「大事な俺の女を傷つけやがったな? 許さんぞ! このへなちょこ男が!」
美しいユーインの登場で偽物女が見とれている隙に、私はユーインの胸にすばやく飛び込んだ。
「ユーイン! とても怖かったわ。私、今気がついたの。私が好きなのはユーインだわ、って。運命の相手が側にいたのになんで気がつかなかったのかしら? 殺される、と思ったらユーインの顔しか思い浮かばなかったの」
なんとも乙女チックな言葉が私の口から紡がれ、自分で赤面したけど心からの思いだ。どうかこの気持ちを受け取ってほしい。
「俺はイルヤに弟みたいに扱われていたけど、ずっとイルヤが大好きだったよ。いろいろな女とデートしていたのは、イルヤより好きになれる子を見つけて諦めなきゃ、と思ったからなんだ。イルヤはこのクズと婚約しちまったからね」
「こんなのとはすぐに婚約破棄するわ。そしたら私達きっと・・・・・・」
私達はすっかり二人の世界に入り込んでいたわ。だって初めて気づいたこの恋に私は有頂天だったの。ところがお邪魔虫がまだ片付いてなかったことにクズの声で思い出した。
「僕を捨てて二人で幸せになるなんて許さない。きらびやかな容姿の二人はお似合いだけれど、ここで二人とも殺してやるよ!」
ナイフをもって不気味に笑うビド。私とユーインはロマンチックに見つめ合っていたから、どこからナイフを持ってきたのかはわからないけど(反省)
「おーい。もう入って来ていいぞ」
ユーインの呼びかけにユーインの同僚騎士達4人が入ってくる。片手でビドのナイフを弾き飛ばし、腕をねじりあげたユーインは、余裕の笑みを浮かべながら偽物女と使用人を仲間達に拘束させた。日頃から鍛えているユーインに敵うはずはないのに。愚かなビドだわ。
「さて、セロ王国に連行しよう。罪状は婚約者の殺人未遂の他にもたくさん出てきそうだ。厳しく祖国で裁かれろ! 同僚達や俺が証言台に立つから逃れられないぞ!」
「あたしは無関係よ。ビド様に買われた娼婦だもの」
私はギョッとした面持ちで偽物女を見る。
「驚いた。あなたが娼婦だったの? 私を娼婦扱いした偽物が娼婦だったなんてびっくりするわね」
「僕のハニーを馬鹿にするな! アライアはこんな清い美貌なのに、いろんなことをしてくれるんだぞ! イルヤなんかじゃできないことさ」
「まぁ、売れっ子娼婦なんで、大抵のことはこなしますわ!」
「・・・・・・うわっ、気持ち悪い。私は娼婦と張り合う気はないので、なんのことかわかりませんが一生できなくても良いですわ。それから、そこの娼婦さん。自分の仕事にプライドを持つのは良いことなのだけれど、胸をはって自慢するのはやめなさい」
私はこの二人の犯罪者にお説教をするのだった。
さて、祖国で開かれた貴族裁判では・・・・・・
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