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1 いきなり増えた家族?
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私はイサベラ・プリンシペ公爵令嬢。お母様はフレヤ・プリンシペ公爵夫人で、王妹にあたる。だから、私は王太子エンリケ殿下と第2王子レオ殿下とは幼馴染だ。
頻繁に王宮に遊びに行き、国王陛下にも王妃殿下にも可愛がられた。
「イサベラは将来の王妃に相応しい気品と知性を備える女性になると思うわ。エンリケと婚約したらどうかしら?」王妃様の言葉にエンリケ王太子殿下はその美しい顔にきらめくような微笑を浮かべた。
「母上、とてもいいお考えですね。私はイサベラを一生大事にすると誓います」
「身に余る光栄ですわ! 私こそ王太子殿下を心よりお支えすることを誓いますわ」
王太子殿下を密かに想っていた私は即座にそう申し上げた。お母様もお父様もお兄様もとても喜んでくれたわ。
「イサベラ・プリンシペ公爵令嬢を未来の王太子妃としてここに婚約関係を結ぶものとする。女神様の祝福があらんことを!」
国王陛下の宣言とともに三日三晩のお祭りが行われた。
私達が通う貴族学園でもパーティが開かれ、皆が祝福してくれたの。
「イサベラ様! おめでとうございます。お似合いですわ」
親友のシャーロット・ウエスト侯爵令嬢、エルシィ・エジャートン侯爵令嬢、アイラ・アーバスノット伯爵令嬢は駆け寄ってきて私を抱きしめた。
このように家族にも婚約者にも友人にも恵まれた私は幸せの絶頂だった。
ある日、お父様の親友フレディ・シリア辺境伯爵夫妻が事故死した。その夫妻には私より1歳年下の娘がいた。それがイングリッドだった。
「イサベラに妹ができるよ。嬉しいだろう? この子はかわいそうな子でね。うちで引き取ることにしたよ」
お父様は心の底から嬉しそうな顔をしている。
「なぜ、辺境伯夫妻の子供を引き取るのですか? 辺境伯に親戚はいらっしゃらないのですか?」
「……それがなぁ、イングリッドの母親のエヴィリンは男爵令嬢で後妻。エヴィリンの実家は没落している。シリア家ではイングリッドと血のつながらない兄が家督を継ぐとなれば邪魔者扱いされるのに決まっている。だから、引き取る」
お父様のお話がどうにも釈然としない。
その翌日やって来たイングリッドは、光沢のあるピンクの髪にあどけなさが残る愛らしい顔の少女だった。
「お父様、お兄様! 私を引き取ってくださりありがとうございます。両親を亡くしてどうしていいかわからず心細い思いでおりましたから、とても嬉しいです! 義兄にはいつも意地悪されており何度か殴られたこともあるくらいなので……それに実はお父様も怒りっぽくて私をよくぶちましたから……」
「まさか……そんなことが! かわいそうにここを自分の家だと思いなさい」
お父様の言葉にお兄様も頷き、心優しいお母様は涙を流していた。
「お母様、よろしくお願いいたします! このように上品で素敵なお母様ができるなんて夢のようです! 絶対に私、自慢の娘になりますね」
――え? プリンシペ公爵令嬢は私一人ではないの? 自慢の娘?
「あら、ごめんなさい。戸籍上は養女にしていただいてないのに図々しいことを言ってすみません! ただ、ほんとうにこんな方達が家族だったらいいのにって……」
大きな瞳を潤ませてきらりと光る涙を流すイングリッド。
「それなら、僕のことは『お兄様』と呼んでいいから。ほんとうの家族と思ってくれたまえ」
「そうね、私のことも『お母様』でいいわ! 素敵な娘ができて嬉しいわ」
「うん、うん。家族が増えるのは喜ばしいことだ。私のことも、もちろん『お父様』で構わないよ」
「あ、私も『お姉様』で……」
私の言葉は途中でイングリッドの声にかき消された。
「いいえ! イサベラ様のことはイサベラ様とお呼びしますわ。王太子殿下の婚約者でいらっしいますから気軽に『お姉様』とは呼べません。イサベラ様! よろしくお願いいたしますって……そんな怖い顔つきで睨まないでください! なにか私が気に障ることをしたのなら謝りますから……」
――え? 全く睨んでないけど?……
「イサベラ! 貴方は人よりとても恵まれているのよ? 感謝とその幸せを人にも分けてあげることを学ばなくては立派な王太子妃にはなれないわよ!」
大好きなお母様が今までにない厳しい声を出したのだった。
頻繁に王宮に遊びに行き、国王陛下にも王妃殿下にも可愛がられた。
「イサベラは将来の王妃に相応しい気品と知性を備える女性になると思うわ。エンリケと婚約したらどうかしら?」王妃様の言葉にエンリケ王太子殿下はその美しい顔にきらめくような微笑を浮かべた。
「母上、とてもいいお考えですね。私はイサベラを一生大事にすると誓います」
「身に余る光栄ですわ! 私こそ王太子殿下を心よりお支えすることを誓いますわ」
王太子殿下を密かに想っていた私は即座にそう申し上げた。お母様もお父様もお兄様もとても喜んでくれたわ。
「イサベラ・プリンシペ公爵令嬢を未来の王太子妃としてここに婚約関係を結ぶものとする。女神様の祝福があらんことを!」
国王陛下の宣言とともに三日三晩のお祭りが行われた。
私達が通う貴族学園でもパーティが開かれ、皆が祝福してくれたの。
「イサベラ様! おめでとうございます。お似合いですわ」
親友のシャーロット・ウエスト侯爵令嬢、エルシィ・エジャートン侯爵令嬢、アイラ・アーバスノット伯爵令嬢は駆け寄ってきて私を抱きしめた。
このように家族にも婚約者にも友人にも恵まれた私は幸せの絶頂だった。
ある日、お父様の親友フレディ・シリア辺境伯爵夫妻が事故死した。その夫妻には私より1歳年下の娘がいた。それがイングリッドだった。
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お父様は心の底から嬉しそうな顔をしている。
「なぜ、辺境伯夫妻の子供を引き取るのですか? 辺境伯に親戚はいらっしゃらないのですか?」
「……それがなぁ、イングリッドの母親のエヴィリンは男爵令嬢で後妻。エヴィリンの実家は没落している。シリア家ではイングリッドと血のつながらない兄が家督を継ぐとなれば邪魔者扱いされるのに決まっている。だから、引き取る」
お父様のお話がどうにも釈然としない。
その翌日やって来たイングリッドは、光沢のあるピンクの髪にあどけなさが残る愛らしい顔の少女だった。
「お父様、お兄様! 私を引き取ってくださりありがとうございます。両親を亡くしてどうしていいかわからず心細い思いでおりましたから、とても嬉しいです! 義兄にはいつも意地悪されており何度か殴られたこともあるくらいなので……それに実はお父様も怒りっぽくて私をよくぶちましたから……」
「まさか……そんなことが! かわいそうにここを自分の家だと思いなさい」
お父様の言葉にお兄様も頷き、心優しいお母様は涙を流していた。
「お母様、よろしくお願いいたします! このように上品で素敵なお母様ができるなんて夢のようです! 絶対に私、自慢の娘になりますね」
――え? プリンシペ公爵令嬢は私一人ではないの? 自慢の娘?
「あら、ごめんなさい。戸籍上は養女にしていただいてないのに図々しいことを言ってすみません! ただ、ほんとうにこんな方達が家族だったらいいのにって……」
大きな瞳を潤ませてきらりと光る涙を流すイングリッド。
「それなら、僕のことは『お兄様』と呼んでいいから。ほんとうの家族と思ってくれたまえ」
「そうね、私のことも『お母様』でいいわ! 素敵な娘ができて嬉しいわ」
「うん、うん。家族が増えるのは喜ばしいことだ。私のことも、もちろん『お父様』で構わないよ」
「あ、私も『お姉様』で……」
私の言葉は途中でイングリッドの声にかき消された。
「いいえ! イサベラ様のことはイサベラ様とお呼びしますわ。王太子殿下の婚約者でいらっしいますから気軽に『お姉様』とは呼べません。イサベラ様! よろしくお願いいたしますって……そんな怖い顔つきで睨まないでください! なにか私が気に障ることをしたのなら謝りますから……」
――え? 全く睨んでないけど?……
「イサベラ! 貴方は人よりとても恵まれているのよ? 感謝とその幸せを人にも分けてあげることを学ばなくては立派な王太子妃にはなれないわよ!」
大好きなお母様が今までにない厳しい声を出したのだった。
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