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「お嬢様、ジャン様からなにをプレゼントされたのですか? ジャン様が先日家令のスティーブにお金を用意させていました。もうすぐ記念日なのでしょう?」
「え? なんのこと? なんの記念日かしら?」
「それは二人だけの秘密とおっしゃっていましたよ。まだプレゼントされていないとしたら、今夜あたりにネックレスでもくださるのではないでしょうか? 新婚さんって素敵ですわ」
専属侍女のマリーの言葉に浮き立ちながらもその時を待つ。一日、二日と時は経ち、ついに10日を過ぎてもなにもジャンからのプレゼントはなかった。
(これはどういうことなの?)
その半年後、家令のスティーブが私に声をかけた。
「お嬢様。お話しがあります」
「なぁに? 改まってどうしたというの?」
「失礼ですが、お嬢様達には何回記念日がおありなのでしょうか? ジャン様に記念日だからお金を用意するようにと言われたのが半年前。それ以来毎月要求されております。記念日は確かに大切ですよ。ですが、毎月お嬢様用のプレゼントに別経費として計上するなどできかねます。マイエ侯爵家は財産家ではありますが、むやみに散財していいわけではないのです。旦那様が貿易事業を手広くなさっていることもありますが、忘れてはならないのが領民からの税によっても、この生活が成り立っていることです。お嬢様にもジャン様にも予算が個別についております。次回からはその範囲でまかなっていただきたいです」
「ちょっと待って。毎月、ジャンはいくら別経費で要求していたの?」
「50万ダラ(1ダラ=1円)ですね。お二人ともお若いので、些細なことも記念日にしたいお気持ちはわかりますがさすがにこれはダメです。お誕生日と結婚記念日くらいならわかりますよ。しかし、それ以外でこの半年間毎月とはいくらなんでも多過ぎませんか? お嬢様を庇ってさしあげたいわたしとしましても、これ以上は旦那様に報告しなければなりません」
スティーブは申し訳なさそうに私にそう言った。
私はジャン様と夫婦の寝室にいるが、とても胸の内は甘い気分ではない。
「リーズ、愛しているよ。君を一番愛しているんだ」
その言葉に思わず、虫唾が走る。
「一番? ちょっと待って、ということは2番や3番がいるということかしら? 毎月50万ダラも使う愛人はどこのどなた?」
私は愛をささやきながら、キスをしようとする夫を乱暴に押しのけて冷たく睨みつけた。
「あぁ、そのことか。心配しないで。彼女は親友の未亡人なんだよ。とても可哀想な女性だからちょっと助けてあげたくてね。黙っていてごめんね」
ジャン様は私に爽やかに微笑んだのだった。
「え? なんのこと? なんの記念日かしら?」
「それは二人だけの秘密とおっしゃっていましたよ。まだプレゼントされていないとしたら、今夜あたりにネックレスでもくださるのではないでしょうか? 新婚さんって素敵ですわ」
専属侍女のマリーの言葉に浮き立ちながらもその時を待つ。一日、二日と時は経ち、ついに10日を過ぎてもなにもジャンからのプレゼントはなかった。
(これはどういうことなの?)
その半年後、家令のスティーブが私に声をかけた。
「お嬢様。お話しがあります」
「なぁに? 改まってどうしたというの?」
「失礼ですが、お嬢様達には何回記念日がおありなのでしょうか? ジャン様に記念日だからお金を用意するようにと言われたのが半年前。それ以来毎月要求されております。記念日は確かに大切ですよ。ですが、毎月お嬢様用のプレゼントに別経費として計上するなどできかねます。マイエ侯爵家は財産家ではありますが、むやみに散財していいわけではないのです。旦那様が貿易事業を手広くなさっていることもありますが、忘れてはならないのが領民からの税によっても、この生活が成り立っていることです。お嬢様にもジャン様にも予算が個別についております。次回からはその範囲でまかなっていただきたいです」
「ちょっと待って。毎月、ジャンはいくら別経費で要求していたの?」
「50万ダラ(1ダラ=1円)ですね。お二人ともお若いので、些細なことも記念日にしたいお気持ちはわかりますがさすがにこれはダメです。お誕生日と結婚記念日くらいならわかりますよ。しかし、それ以外でこの半年間毎月とはいくらなんでも多過ぎませんか? お嬢様を庇ってさしあげたいわたしとしましても、これ以上は旦那様に報告しなければなりません」
スティーブは申し訳なさそうに私にそう言った。
私はジャン様と夫婦の寝室にいるが、とても胸の内は甘い気分ではない。
「リーズ、愛しているよ。君を一番愛しているんだ」
その言葉に思わず、虫唾が走る。
「一番? ちょっと待って、ということは2番や3番がいるということかしら? 毎月50万ダラも使う愛人はどこのどなた?」
私は愛をささやきながら、キスをしようとする夫を乱暴に押しのけて冷たく睨みつけた。
「あぁ、そのことか。心配しないで。彼女は親友の未亡人なんだよ。とても可哀想な女性だからちょっと助けてあげたくてね。黙っていてごめんね」
ジャン様は私に爽やかに微笑んだのだった。
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