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(エルガー視点)
わたしはリーズが幼い頃から好きだった。マイエ侯爵家とは家族ぐるみの付き合いで、わたしや兄上達はリーズとよく遊んだものだ。兄上達は少し歳が離れていたから、リーズは兄上達よりもわたしの後ばかりついて歩く。とても可愛くて大事な存在だった。
「あたち、おおきくなっちゃら、エルガーしゃまのおよめさんになりゅ!」
お互いの両親の前で、リーズはわたしに抱きついて舌っ足らずの可愛い口調で言う。
「まぁ、素敵」
わたしとリーズの母上は喜びの声をあげた。
「うん、それはいいな。バロワ侯爵家の人間なら安心だ。娘のリーズを頼むよ」
リーズの父上は大賛成したし、わたしの父上も上機嫌だった。
そんなわけでわたしとリーズは婚約し彼女を一生守ろうと、必死でマイエ侯爵家の事業や領地経営を学んできたんだ。これは、リーズを幸せにする為には大事なことだから。マイエ侯爵家を守りさらなる利益を生み出し繁栄させることは、リーズを守る為の最も大事な仕事だと思った。だから一生懸命だったのさ。それがリーズには寂しかったのだろうか。あまり構ってあげられなかったのは失敗だった。てっきり好きでいてくれているものと思っていたのだが・・・・・・
リーズはジャンと結婚し、幸せそうな姿を夜会などで見かける。愛する女性が幸せならそれでいい。マイエ侯爵家の婿になることのなくなったわたしは、文官の試験を受け宰相のお手伝いをするようになった。これはこれでやりがいがあり、若いのに凄い大出世だと誰もが褒めてくれた。
これはマイエ侯爵のお陰でもある。彼のもとでずいぶんと勉強させてもらったし、リーズの為にと必死で努力してきた賜だった。
「エルガー。やはり君はわたしの見込んだ通り優秀な男だったな。宰相補佐になるなんて凄いぞ、本当におめでとう。エルガーを婿にできなかったことはマイエ侯爵家の大損失だ」
マイエ侯爵は自分のことのように喜んでくれた。マイエ侯爵夫妻には、実の両親以上に可愛がってもらったから少しも恨みなどなく、ただこちらも家族になれなかったことを残念に思う。
ある日、やたらに色っぽい女性が王宮にわたしを訪ねて来た。
「私を覚えています? あれからバヤルと結婚したのですが、病死してしまいこの歳で未亡人ですわ。そこでエルガー様に提案があります。ほら、あなた様もリーズ様と婚約解消なさってお一人でしょう? 私達お似合いだと思いませんか?」
意味不明なことを言ってきた。
「悪いが君は誰だったかな? バヤルはギヨン男爵家の三男だったと思うが、一度だけ夜会で話しかけられた覚えがあります。でも、失礼だが君のことはさっぱり思い出せない」
「まぁ、酷いですわ。ほら、夜会でバヤルと間違えて、庭園で抱きついてしまった綺麗な女性がいたでしょう? あれが私ですわ。その時はピンクのドレスを着ていました。パルサ男爵家の三女だったアンヌですわ」
「・・・・・・あぁ、思い出した。そういえばそんな女性がいたな。バヤルに『隣国から珍しい果物を輸入できるツテがあるから話をしたい』と、庭園に連れだされたんだった。そしたら君がいきなり抱きついてきて、いつのまにかバヤルはいなくなっていたな。全く人騒がせなカップルだった」
「うふふ。思い出してくださったのね? バヤルとはもともとそれほど愛し合っていたわけではないの。ところで、私と付き合っていただけません? きっとエルガー様をがっかりさせませんわ。バヤルの奴、死んでからたくさん借金をしていたことがわかって返済に大変なのです。生活にも困っています。だから援助してくれないかしら? 愛人契約でもいいですわ」
「そんな話なら、わたしはなんの力にもなれないですよ。夫を亡くしてすぐにそんな提案をするような女性は、怖いと思うし嫌悪感しか感じない。・・・・・・亡くなったバヤルとは全く付き合いはなかったし、君の顔も忘れていたぐらいのわたしに持ってくる話ではないですね。バヤルの友人にでも頼んだらどうですか? 親しかった者の一人や二人いるでしょう?」
「あっははは。確かにそうですわねぇ。そーー言えば、バヤルの親友を一人思い出しました。うふふ、素敵なアドバイスをありがとうございますぅーー」
わたしのアドバイスを真に受けてコロコロと笑うアンヌに呆れながらも、もうその会話はわたしの中では忘れられていった。今はとにかく仕事に打ち込もう。
わたしはリーズが幼い頃から好きだった。マイエ侯爵家とは家族ぐるみの付き合いで、わたしや兄上達はリーズとよく遊んだものだ。兄上達は少し歳が離れていたから、リーズは兄上達よりもわたしの後ばかりついて歩く。とても可愛くて大事な存在だった。
「あたち、おおきくなっちゃら、エルガーしゃまのおよめさんになりゅ!」
お互いの両親の前で、リーズはわたしに抱きついて舌っ足らずの可愛い口調で言う。
「まぁ、素敵」
わたしとリーズの母上は喜びの声をあげた。
「うん、それはいいな。バロワ侯爵家の人間なら安心だ。娘のリーズを頼むよ」
リーズの父上は大賛成したし、わたしの父上も上機嫌だった。
そんなわけでわたしとリーズは婚約し彼女を一生守ろうと、必死でマイエ侯爵家の事業や領地経営を学んできたんだ。これは、リーズを幸せにする為には大事なことだから。マイエ侯爵家を守りさらなる利益を生み出し繁栄させることは、リーズを守る為の最も大事な仕事だと思った。だから一生懸命だったのさ。それがリーズには寂しかったのだろうか。あまり構ってあげられなかったのは失敗だった。てっきり好きでいてくれているものと思っていたのだが・・・・・・
リーズはジャンと結婚し、幸せそうな姿を夜会などで見かける。愛する女性が幸せならそれでいい。マイエ侯爵家の婿になることのなくなったわたしは、文官の試験を受け宰相のお手伝いをするようになった。これはこれでやりがいがあり、若いのに凄い大出世だと誰もが褒めてくれた。
これはマイエ侯爵のお陰でもある。彼のもとでずいぶんと勉強させてもらったし、リーズの為にと必死で努力してきた賜だった。
「エルガー。やはり君はわたしの見込んだ通り優秀な男だったな。宰相補佐になるなんて凄いぞ、本当におめでとう。エルガーを婿にできなかったことはマイエ侯爵家の大損失だ」
マイエ侯爵は自分のことのように喜んでくれた。マイエ侯爵夫妻には、実の両親以上に可愛がってもらったから少しも恨みなどなく、ただこちらも家族になれなかったことを残念に思う。
ある日、やたらに色っぽい女性が王宮にわたしを訪ねて来た。
「私を覚えています? あれからバヤルと結婚したのですが、病死してしまいこの歳で未亡人ですわ。そこでエルガー様に提案があります。ほら、あなた様もリーズ様と婚約解消なさってお一人でしょう? 私達お似合いだと思いませんか?」
意味不明なことを言ってきた。
「悪いが君は誰だったかな? バヤルはギヨン男爵家の三男だったと思うが、一度だけ夜会で話しかけられた覚えがあります。でも、失礼だが君のことはさっぱり思い出せない」
「まぁ、酷いですわ。ほら、夜会でバヤルと間違えて、庭園で抱きついてしまった綺麗な女性がいたでしょう? あれが私ですわ。その時はピンクのドレスを着ていました。パルサ男爵家の三女だったアンヌですわ」
「・・・・・・あぁ、思い出した。そういえばそんな女性がいたな。バヤルに『隣国から珍しい果物を輸入できるツテがあるから話をしたい』と、庭園に連れだされたんだった。そしたら君がいきなり抱きついてきて、いつのまにかバヤルはいなくなっていたな。全く人騒がせなカップルだった」
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