6 / 11
6
しおりを挟む
※ 場面が戻り3の続きになります。
୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧
「親友の未亡人? 愛人じゃないの?」
「そんなわけないじゃないか。ただ昔とても世話になった大親友の未亡人だよ。騙されて大借金を背負ってしまい、娼館に売られそうになっていたから、助けてあげただけだよ」
「もう二度とお金をスティーブに用意させないで。こんなことが続けばお父様にバレてしまうわ」
「本当にごめんね。君の面目を潰すことになるよね?」
「ジャンと結婚するのに無理に我が儘を言ったのよ。こんなことがお父様達にバレたら、『親の言うことを聞かないからだ』と、きっとお説教が始まるわ」
「それなら簡単な方法があるよ。君の予算をわたしに少し貸してくれればいいんだよ。だって、リーズはすでに充分ドレスも化粧品も持っているだろう? 今シーズンは流行のドレスを仕立てないで、昨年のドレスを使い回せば良い」
私は当然のようにそう言われて、両親に相談もせずに頷く。こんなことは、すぐに終わると思っていたから。ところが、ジャンの出費は一向に収まらず、さらには屋敷にいても急にその未亡人に呼び出されることが増えていった。
「夜会は六時からよ? どこに行くの?」
「あ、うん。わたしは欠席するよ。親友の未亡人がすぐに来て欲しいって。体調が悪いらしくて」
「まさか、また私を一人で夜会に行かせるつもり?」
「病で伏している独りぼっちの女性を見捨てろ、と言うのかい? 君がそんなに冷たい性格だったなんて、わたしは悲しいよ」
私は夜会に向かう馬車の中で考える。
(おかしい・・・・・・こんなのは私の望んだ結婚生活じゃなかった)
お母様に相談したいのに、今更なんて言ったら良いのかわからない。惨めだし恥ずかしい。自分より親友の未亡人を大切にする夫なんて、自分が無価値な人間だって言われているみたいで、親にも恥ずかしくて言いづらかったのだ。
「どうしたんだい? 今日もジャンは一緒じゃないのかい? 顔色が悪いよ。待っていて、今、飲み物を取ってきてあげるから」
思いがけず、夜会で声をかけてくれたのはエルガーだった。精悍な顔立ちに誠実な笑みを浮かべるエルガーと、久しぶりに会話をしたら頼りたくなってしまう。私はエルガーを裏切った女なのに・・・・・・だから、わざと不機嫌に拒絶した。
「なんでもないわよ。あっちに行ってよ。私に構わないで放っておいてよっ! どうせいい気味だって思っているくせに」
我慢できなくて涙が一筋流れて、その涙をエルガーが親指でそっと拭う。
「いいかい? わたしは君の夫にはなれなかったけれど、身内のような気持ちでいるんだ。悩みがあるなら相談に乗るし、一人で抱え込まなくていいんだよ」
「じゃぁ、教えてもらえる? 男性にとって親友の未亡人ってどれぐらい大切なの? いくらまで援助するのが妥当なの? 妻と夜会に行くより、その未亡人の体調を見に行くことは普通なの?」
泣きながら私はエルガーに尋ねた。
୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧
「親友の未亡人? 愛人じゃないの?」
「そんなわけないじゃないか。ただ昔とても世話になった大親友の未亡人だよ。騙されて大借金を背負ってしまい、娼館に売られそうになっていたから、助けてあげただけだよ」
「もう二度とお金をスティーブに用意させないで。こんなことが続けばお父様にバレてしまうわ」
「本当にごめんね。君の面目を潰すことになるよね?」
「ジャンと結婚するのに無理に我が儘を言ったのよ。こんなことがお父様達にバレたら、『親の言うことを聞かないからだ』と、きっとお説教が始まるわ」
「それなら簡単な方法があるよ。君の予算をわたしに少し貸してくれればいいんだよ。だって、リーズはすでに充分ドレスも化粧品も持っているだろう? 今シーズンは流行のドレスを仕立てないで、昨年のドレスを使い回せば良い」
私は当然のようにそう言われて、両親に相談もせずに頷く。こんなことは、すぐに終わると思っていたから。ところが、ジャンの出費は一向に収まらず、さらには屋敷にいても急にその未亡人に呼び出されることが増えていった。
「夜会は六時からよ? どこに行くの?」
「あ、うん。わたしは欠席するよ。親友の未亡人がすぐに来て欲しいって。体調が悪いらしくて」
「まさか、また私を一人で夜会に行かせるつもり?」
「病で伏している独りぼっちの女性を見捨てろ、と言うのかい? 君がそんなに冷たい性格だったなんて、わたしは悲しいよ」
私は夜会に向かう馬車の中で考える。
(おかしい・・・・・・こんなのは私の望んだ結婚生活じゃなかった)
お母様に相談したいのに、今更なんて言ったら良いのかわからない。惨めだし恥ずかしい。自分より親友の未亡人を大切にする夫なんて、自分が無価値な人間だって言われているみたいで、親にも恥ずかしくて言いづらかったのだ。
「どうしたんだい? 今日もジャンは一緒じゃないのかい? 顔色が悪いよ。待っていて、今、飲み物を取ってきてあげるから」
思いがけず、夜会で声をかけてくれたのはエルガーだった。精悍な顔立ちに誠実な笑みを浮かべるエルガーと、久しぶりに会話をしたら頼りたくなってしまう。私はエルガーを裏切った女なのに・・・・・・だから、わざと不機嫌に拒絶した。
「なんでもないわよ。あっちに行ってよ。私に構わないで放っておいてよっ! どうせいい気味だって思っているくせに」
我慢できなくて涙が一筋流れて、その涙をエルガーが親指でそっと拭う。
「いいかい? わたしは君の夫にはなれなかったけれど、身内のような気持ちでいるんだ。悩みがあるなら相談に乗るし、一人で抱え込まなくていいんだよ」
「じゃぁ、教えてもらえる? 男性にとって親友の未亡人ってどれぐらい大切なの? いくらまで援助するのが妥当なの? 妻と夜会に行くより、その未亡人の体調を見に行くことは普通なの?」
泣きながら私はエルガーに尋ねた。
137
あなたにおすすめの小説
(完結)私より妹を優先する夫
青空一夏
恋愛
私はキャロル・トゥー。トゥー伯爵との間に3歳の娘がいる。私達は愛し合っていたし、子煩悩の夫とはずっと幸せが続く、そう思っていた。
ところが、夫の妹が離婚して同じく3歳の息子を連れて出戻ってきてから夫は変わってしまった。
ショートショートですが、途中タグの追加や変更がある場合があります。
「小賢しい」と離婚された私。国王に娶られ国を救う。
百谷シカ
恋愛
「貴様のような小賢しい女は出て行け!!」
バッケル伯爵リシャルト・ファン・デル・ヘーストは私を叩き出した。
妻である私を。
「あっそう! でも空気税なんて取るべきじゃないわ!!」
そんな事をしたら、領民が死んでしまう。
夫の悪政をなんとかしようと口を出すのが小賢しいなら、小賢しくて結構。
実家のフェルフーフェン伯爵家で英気を養った私は、すぐ宮廷に向かった。
国王陛下に謁見を申し込み、元夫の悪政を訴えるために。
すると……
「ああ、エーディット! 一目見た時からずっとあなたを愛していた!」
「は、はい?」
「ついに独身に戻ったのだね。ぜひ、僕の妻になってください!!」
そう。
童顔のコルネリウス1世陛下に、求婚されたのだ。
国王陛下は私に夢中。
私は元夫への復讐と、バッケル伯領に暮らす人たちの救済を始めた。
そしてちょっとした一言が、いずれ国を救う事になる……
========================================
(他「エブリスタ」様に投稿)
夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。
Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。
そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。
そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。
これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)
私から略奪婚した妹が泣いて帰って来たけど全力で無視します。大公様との結婚準備で忙しい~忙しいぃ~♪
百谷シカ
恋愛
身勝手な理由で泣いて帰ってきた妹エセル。
でも、この子、私から婚約者を奪っておいて、どの面下げて帰ってきたのだろう。
誰も構ってくれない、慰めてくれないと泣き喚くエセル。
両親はひたすらに妹をスルー。
「お黙りなさい、エセル。今はヘレンの結婚準備で忙しいの!」
「お姉様なんかほっとけばいいじゃない!!」
無理よ。
だって私、大公様の妻になるんだもの。
大忙しよ。
私を棄てて選んだその妹ですが、継母の私生児なので持参金ないんです。今更ぐだぐだ言われても、私、他人なので。
百谷シカ
恋愛
「やったわ! 私がお姉様に勝てるなんて奇跡よ!!」
妹のパンジーに悪気はない。この子は継母の連れ子。父親が誰かはわからない。
でも、父はそれでいいと思っていた。
母は早くに病死してしまったし、今ここに愛があれば、パンジーの出自は問わないと。
同等の教育、平等の愛。私たちは、血は繋がらずとも、まあ悪くない姉妹だった。
この日までは。
「すまないね、ラモーナ。僕はパンジーを愛してしまったんだ」
婚約者ジェフリーに棄てられた。
父はパンジーの結婚を許した。但し、心を凍らせて。
「どういう事だい!? なぜ持参金が出ないんだよ!!」
「その子はお父様の実子ではないと、あなたも承知の上でしょう?」
「なんて無礼なんだ! 君たち親子は破滅だ!!」
2ヶ月後、私は王立図書館でひとりの男性と出会った。
王様より科学の研究を任された侯爵令息シオドリック・ダッシュウッド博士。
「ラモーナ・スコールズ。私の妻になってほしい」
運命の恋だった。
=================================
(他エブリスタ様に投稿・エブリスタ様にて佳作受賞作品)
結婚したけど夫の不倫が発覚して兄に相談した。相手は親友で2児の母に慰謝料を請求した。
佐藤 美奈
恋愛
伯爵令嬢のアメリアは幼馴染のジェームズと結婚して公爵夫人になった。
結婚して半年が経過したよく晴れたある日、アメリアはジェームズとのすれ違いの生活に悩んでいた。そんな時、机の脇に置き忘れたような手紙を発見して中身を確かめた。
アメリアは手紙を読んで衝撃を受けた。夫のジェームズは不倫をしていた。しかも相手はアメリアの親しい友人のエリー。彼女は既婚者で2児の母でもある。ジェームズの不倫相手は他にもいました。
アメリアは信頼する兄のニコラスの元を訪ね相談して意見を求めた。
妹は私から奪った気でいますが、墓穴を掘っただけでした。私は溺愛されました。どっちがバカかなぁ~?
百谷シカ
恋愛
「お姉様はバカよ! 女なら愛される努力をしなくちゃ♪」
妹のアラベラが私を高らかに嘲笑った。
私はカーニー伯爵令嬢ヒラリー・コンシダイン。
「殿方に口答えするなんて言語道断! ただ可愛く笑っていればいいの!!」
ぶりっ子の妹は、実はこんな女。
私は口答えを理由に婚約を破棄されて、妹が私の元婚約者と結婚する。
「本当は悔しいくせに! 素直に泣いたらぁ~?」
「いえ。そんなくだらない理由で乗り換える殿方なんて願い下げよ」
「はあっ!? そういうところが淑女失格なのよ? バーカ」
淑女失格の烙印を捺された私は、寄宿学校へとぶち込まれた。
そこで出会った哲学の教授アルジャノン・クロフト氏。
彼は婚約者に裏切られ学問一筋の人生を選んだドウェイン伯爵その人だった。
「ヒラリー……君こそが人生の答えだ!!」
「えっ?」
で、惚れられてしまったのですが。
その頃、既に転落し始めていた妹の噂が届く。
あー、ほら。言わんこっちゃない。
妹が私の婚約者と結婚しちゃったもんだから、懲らしめたいの。いいでしょ?
百谷シカ
恋愛
「すまない、シビル。お前が目覚めるとは思わなかったんだ」
あのあと私は、一命を取り留めてから3週間寝ていたらしいのよ。
で、起きたらびっくり。妹のマーシアが私の婚約者と結婚してたの。
そんな話ある?
「我がフォレット家はもう結婚しかないんだ。わかってくれ、シビル」
たしかにうちは没落間近の田舎貴族よ。
あなたもウェイン伯爵令嬢だって打ち明けたら微妙な顔したわよね?
でも、だからって、国のために頑張った私を死んだ事にして結婚する?
「君の妹と、君の婚約者がね」
「そう。薄情でしょう?」
「ああ、由々しき事態だ。私になにをしてほしい?」
「ソーンダイク伯領を落として欲しいの」
イヴォン伯爵令息モーリス・ヨーク。
あのとき私が助けてあげたその命、ぜひ私のために燃やしてちょうだい。
====================
(他「エブリスタ」様に投稿)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる