(完結)親友の未亡人がそれほど大事ですか?

青空一夏

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のとはどういうことですか? リーズがわたしのことを夫、などと言うのもおかしいですよ。君は言葉遣いをよく間違えるよね? このようなパーティで恥ずかしいことだよ」

「言葉遣いを間違えたことはございません。を間違えたことは認めますわ。これは本当に愚かな間違いでした」

 貴婦人方のクスクス笑いに顔を赤くするジャン。

「な、なんだって? し、失敬な。わたしは次期侯爵なのだぞ。リーズなど子供を産まなければただのお飾り妻だ」

 マイエ侯爵家一族が一斉にジャンをこき下ろした。
「あの若造は頭がおかしいだろう? ジャンこそがただのお飾り夫のくせに!」
「次期侯爵だって? この国の法律がまるでわかっていない」
「マイエ侯爵家の一人娘に対してあの言葉! 聞き捨てなりませんね。身の程知らずが!」


 私はマイエ侯爵家一族の猛攻撃を受けているジャンを笑い飛ばす。
「ふっ。面白いことをおっしゃいますね? ジャンは侯爵にはなれませんよ。だってただのお婿さんですもの。マイエ侯爵家を継ぐ資格はありません」

「そんなばかな。婿になればマイエ侯爵になれるはずだ。嘘を言うな」

「私の夫であったとしても、私の両親と養子縁組をしていなければなんの権利も生まれませんわ。あなたはお父様から好かれていませんでした。ですから養子縁組は組まれていません。それと、この結婚で浮気をした場合の結婚契約書にある慰謝料の項目を覚えていますか?」

「いいや、そんなものは覚えていない。そもそも浮気なんてしていないし、そんな証拠があるのかい?」

「浮気の証拠なんていりませんわ。浮気にという文言は、それと疑われるような行動も含まれますのよ? その場合は慰謝料を通常の3倍払うと記載されています。加えて、マイエ侯爵家の財産を横領した場合の利息は10日で1割ですわ」

「お、横領なんてしたことはないぞ! わたしは悪いことなどしていない」

「その未亡人への援助金はどこから捻出しました? 家令に『妻への記念日プレゼントを買いたいから用意してくれ』と、半年間騙してくすねたお金は横領に値します。それ以降は、ドレスや化粧品などの購入費、貴族としての品格を保つ為ののお金を貸しましたよね?」

「え? リーズからお金を借りたけれど、あれは好意だよね? 夫婦間の貸し借りなんて返す必要などないよ」

「紙にサインをしたことを覚えていますか?」

「サイン・・・・・・したかもしれない。あぁ、使途を書かせられた紙だよね? 未亡人の家賃や衣装代や生活費等を書いたものかい? でもあれは借用書ではないだろう? 妻からもらったお金はわたしのものだ!」
 ジャンが怒りに声を震わせた。

「まぁーー、なんて恥知らずな男!」

「まるで乞食ですわ。妻からもらったお金は自分のものだ、ですって。女性の為の身だしなみ費に手を付けるなんて最低。どうりで、今着ていらっしゃるドレスに見覚えがあるはずですわ。リーズ様のドレスは昨年のものでしてよ」

「あら、本当だわ。あのドレスは見たことがあります。胸元に造花を縫い付けてレースをたしたようですが、あの色合いとデザインは記憶があります」

「妻のドレス新調用のお金まで、あの未亡人に横流ししていたのかしら? 元はと言えばマイエ侯爵家のお金でしょう? なんたる恥知らず」

「クスクス。こんなクズ男を夫に選んだリーズ様にも問題がありましてよ」
 私と同世代の貴族令嬢の一人が今度は私に牙をむきかける。このような場合は無視したり、真っ向から喧嘩をしては不利だわ。

(自分の頭で考えて、冷静に対処するのよ。ルイ様に笑われないように)

「そうね、おっしゃり通りですわ。皆様、このような私のの愚かさは、笑っていただいても良いのですよ。ジャンのような男性を選んだのは間違いでした。ですから、私は今ここで軌道修正をしたいと思います。この男性に離縁宣言をし、きっぱりと捨てます!」

(わざととつけくわえることで、もうすでに終わったこととして切り捨てることができる。これからは違うという印象を植え付けることが大事よ)

 招待客の皆様が賛成の拍手をしてくれた。ルイ様もそこにはいらっしゃって、とても愉快そうに笑っていた。

「ちょっと待ってください。わたしは婿養子ではなくてもリーズの夫だったわけだから、財産分与があるはずだ? そうだろう?」
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