(完結)魔王は人間の公爵令嬢を溺愛するーいささか過剰にー

青空一夏

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1 祖母似のアリアナが嫌いな母親

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 クレスウエル公爵家の長女アリアナは、どこか冷たい印象を与える女の子だった。キラキラと輝くストレートヘアは太陽の光を浴びるときらめき、コバルトブルーの瞳は深い海のように人々を惹きつけたが、整いすぎている顔だちのため同時に近寄りがたい印象も与えたのだ。

 一方、アリアナの妹であるエリナは、ストロベリーブロンドとグリーンの瞳を持ち、特にその愛らしい笑顔は親しみやすく、多くの人々の庇護欲を誘った。
 この二人は同じ親から生まれたはずなのに、その扱いには雲泥の差があった。例えばーー

 ある日、エリナが庭で美しい花を見つけ、それを摘み取ってしまったことがあった。その花は珍しいもので、クレスウエル公爵夫人バーバラが大切にしていたものだった。だが、エリナが「きれいだったから」と笑顔で言うと、クレスウエル公爵夫人バーバラは怒ることができず、かわりに「エリナのその無邪気な笑顔に癒された」とエリナを抱きしめた。

 その数日後、エリナのように抱きしめて欲しくて、クレスウエル公爵夫人バーバラが大切にしていた花を摘み取ったアリアナは、その頬を思いっきりたたかれた。
「この花を私が大事にしているのを知っていて、こんなことをしたのね? 本当にアリアナはあの憎たらしいケリーと似ているわね。私の嫌がることばかりするのだから」
お祖母様ケリーは良い方でした。私をとても可愛がってくださいました」
「それはそうでしょうね。アリアナとお義母様ケリーはとても似ているもの。だから、お義母様ケリーの宝石は全部アリアナのものになったでしょう? あれはクレスウエル公爵家の嫁の立場の、私がもらうべき物だったのに」
 クレスウエル公爵夫人バーバラは厳格で賢公爵夫人と呼ばれていた前クレスウエル公爵夫人ケリーが苦手であった。決して、前クレスウエル公爵夫人ケリーは虐めているわけではないのに、そのひと言ひと言がクレスウエル公爵夫人バーバラには嫌味に聞こえたり、バカにしているように聞こえたりするのだ。馬が合わない、そう言ってしまえばそれまでなのだが、アリアナにしてみたらいい迷惑なのだった。前クレスウエル公爵夫人ケリーに似ているだけで疎まれる、アリアナにはどうすることもできない悩みであった。
 
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