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後編
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(ステファン視点)
マニフカ伯爵家の次男だったわたしは全てにおいて平凡で、このモデル伯爵家に婿入りしてからも、たいした仕事は任されていない。一方当主のジャクリーンは社交術に長けており、事業における交渉ごとを優位にする話術と知識、才覚が備わっていた。夜会や会議でのわたしは、そこに存在するだけでひと言も話さないことが多い。
「ステファン様は良いご身分ですね。あのモデル女伯爵様の隣にいるだけで贅沢のし放題なのでしょう? ですが、大事な唯一の役目すら勤め上げることができないとは情けないですね。 やはり、能なしは種なしなのでしょうね。あっははは」
このような陰口は至る所でささやかれた。
ジャクリーンは凜とした美しさの女性で憧れている男も多かったから、私を種なしと蔑む噂ばかりが目立つ。男達の嫉妬とはわかっていてもいい気はしない。それに落ち込んでいるとアンリエットから声をかけられ、つい愚痴ってしまった。
「子供ができないのは全てわたしのせいなのだろうか、と悩んでいるのさ。ジャクリーンは自然にまかせて、できなければそれでいいと言うんだ。その場合は先代の弟の娘を養女にすると言っていた」
「え? お母様の弟ってクーニベル叔父様ですか? 私はあの方が嫌いです。クーニベル叔父様の娘バーバラも苦手です。まだ5歳ですが、どういうわけか私だけ無視するのです。あの子が当主になるなんて反対だわ」
悲しそうにうつむくアンリエット。
「いい方法があるよ。アンリエットが妊娠すればいいんだよ。わたしがアンリエットを妊娠させることができれば、種なしでないことを証明できるし、アンリエットもこのモデル伯爵家の娘なのだから跡継ぎの母親になれる。というか、アンリエットがモデル伯爵になってもいいはずだよね? だって君はこの家の次女だろう」
「確かにこのモデル伯爵家の次女です。あ、そうですよね? お姉様の次は、私が継ぐのが筋ですよね? なぜ、そこにバーバラがでてくるのかしら?」
「ジャクリーンはアンリエットを、本当のところは嫌いなのではないかな。君が優秀すぎるから嫉妬しているのだよ。アンリエットの書類作成や事務処理能力はとても高いからね」
わたしは彼女をおだててその気にさせた。こんな小娘なんて思いのままに操れるはずだ。
首尾良く妊娠させてモデル伯爵家を乗っ取れると思っていたのだ。途中まではうまくいった。だが・・・・・・
(奴隷の子供だって? あり得ないよ。それなら当主になれるわけもないし、モデル伯爵家にいられるだけで奇跡だ)
マニフカ伯爵家に出戻ると、父上と兄上が執務室で怒りながら待ち構えていた。すでに早馬で、ジャクリーンから詳細を説明する手紙と慰謝料請求書が届いていたらしい。さすがにやることが早い。
兄上はわたしをいきなり殴りつける。
「愚か者め! アンリエット様を妊娠させただと? 妻の妹に手を出すなんて最低な男だ」
「なぜ、わたしだけ責められるのですか? 子供は二人で作るものでしょう? わたしを受け入れたアンリエットにだって非がある。あの卑しい女がわたしを誘惑したのです」
「お前より5歳も年下の女のせいにするのか? 根性が腐っているよ。慰謝料は当家で負担するが、きっちりお前には返してもらうぞ。父上、こいつにはきつい罰が必要です」
「そうだな。ステファンは愚かすぎだ。マニフカ伯爵家には必要ない。我が家にはステファンの他に3人の息子がいるしな」
「え?必要ないって・・・・・・どういう意味でしょうか? ちょっとわからないです」
「わからない? モデル伯爵家にはきっちり誠意を伝えなければならない。お前を切り捨てたことを証明しなければ、このマニフカ伯爵家ごと潰されるのだぞ!」
兄上は真っ青な顔で大袈裟なことを言った。
「まさか・・・・・・潰される? あのジャクリーンはそれほど怖い女じゃないでしょう?」
「本当にお前はバカなのか? あれほど溺愛していた妹を堕落させたのだぞ! もう姉の報復は始まっている」
と父上。
(いや、ほんの少し慰謝料を払えば済む話しだろう? 多分200万ダラ(1ダラ=1円)ほどで充分なはず)
ところが、バタバタと駆け込んできた執事が、
「取引先から、契約打ち切りの連絡が相次いでいます」と報告する。
「始まったな。モデル伯爵家の制裁だ。彼女は顔が広いし社交界や実業界で絶大な影響力があるのを舐めてはいかんのだ」
「そんな・・・・・・わたしはどうすればいいのですか?」
「そうだな。とりあえず、お前に指は10本も要らないよね?」
「ひっ!!」
「落とし前は、やはり小指・・・・・・」
父上は鋭い刃がぎらりと光るナイフを手にもつ。
(まさか・・・・・・怖い・・・・・・嫌だ・・・・・・助けて)
ーーバタンーーわたしは恐怖のなか、気絶した。
目が覚めると、まずは指が10本全部あることを確認しほっとする。父上の冗談か・・・・・しかし、ここはどこだ?
「目が覚めましたか? ここはマニフカ伯爵領の大農園ですよ。坊ちゃんは10年ここで奴隷達と一緒に働け、という旦那様のご命令です」
傍らにはマニフカ伯爵家の執事が控えており、無表情でそう言った。
「10年? 奴隷と一緒に? いくらなんでもキツすぎないか? おかしいよ」
「文句があるなら、その指を切ってモデル卿に送るそうですよ」
「ひっ。指がなくなるなんて冗談じゃないよ。それを回避するには奴隷で10年? 長すぎる・・・・・・」
わたしは今更ながら後悔し、これからの10年を思い涙するのだった。
(エリオット視点)
わたしはジャクリーン様にずっと昔から恋をしていた。パーティーでお会いする度に、あの凜とした美しさと話題の豊富さ、聡明さに憧れていたのだ。
だからジャクリーン様が結婚したときはとても落ち込んだ。私は彼女より4歳年下だから仕方ない。通常、女性は自分より年上の男性を選ぶからだ。
妹のアンリエットが奴隷の子供だということは、わりとよく知られている事実だ。けれどあのジャクリーン様が妹として認め後ろ盾でいる以上は、アンリエットは周りからは貴族と同等の扱いを受けることができた。わたしは奴隷に偏見がなかったので、アンリエットとの縁談の話をいただいた時は喜んで承諾した。
姉のジャクリーン様が好きな気持ちは変わらなかったが、その溺愛する妹を妻にして守っていくこともジャクリーン様の為になると思えば引き受けられた。もちろん、そのアンリエットが愛すべき女性ならば、自然と愛が芽生えていくと期待もする。
だが・・・・・・とんだおマヌケ娘だったのでがっかりした。多分、あのステファンにそそのかされたことは想像がつくが。
「モデル伯爵家の恥ずかしい場面を見せてしまいましたね。せっかくいらしたのに申し訳ありませんでした。妹は死んだもの、と思います。もうなんの関係もありません」
そんな心にもないことを言って、実はアンリエットが心配で手が震えているのはわかっている。彼女はとても慈悲深いのだ。
わたしはモデル伯爵家お抱えの護衛騎士を呼びそっと耳打ちした。
「アンリエット様になにかあったら、ジャクリーン様は必ず後悔しますよ。変装して後を密かにつけて、聖マリアンヌ教会に行くように仕向けてください。話はつけておきます」
わたしは聖マリアンヌ教会にすぐ向かい牧師に話をし、アンリエットが来たら世話をしてくれるように頼む。
「モデル伯爵はアンリエット様が亡くなるようなことがあったら必ず後悔なさいます。ですからアンリエッタ様を保護してください」
もちろん、牧師は快諾してくれた。
あれから何度もモデル伯爵家を訪問して、3年かけてくどきおとしたジャクリーンは腕の中だ。わたしの妻になって幸せそうな微笑みを浮かべるが、ときおり悲しそうな顔をする。
やがてジャクリーンは妊娠し、泣きながらわたしに嘆いた。
「アンリエットは今ごろどうしているのかしら? 今の私はエリオット様と幸せでこうして子供もお腹にいて・・・・・・だから、あの妊娠事件をやっと過去のこととして考えられるようになりました。あの子は今ごろどうやって生活しているのかしら? もしかして路上で死んでいたりしたら、私は後悔で・・・・・・あの子は妊娠していたのに・・・・・・もし死んでいたら・・・・・・」
「週末に教会デートをしませんか。マリアンヌ教会で楽しい光景が見られますよ」
わたしはジャクリーンの手を取り優しく口づけたのだった。
ちょこっとおまけ(俯瞰視点)
ジャクリーンは夫エリオットに誘われるままにマリアンヌ教会を訪れた。そこで教会の周りの敷地を掃いたり、花壇の手入れをする女性を見つける。
そのうち彼女の周りに子供達が集まり青空教室が始まった。
「まさか、あれは・・・・・・平民の貧しい子に勉強を外で教えているのはあの子なの?」
「そうですよ。アンリエットはここでは日曜青空学校の先生です。会っていかれますか?」
「いいえ、会わないわ。でも、そうね、あの教会の隣に学校を建ててあげたいわ。早速寄付しましょう。私だとはわからないようにね。これからは見えないところでサポートしていくわ」
「見えないところでね。でも、あちらは気づいてしまったようです。ほら、こちらに駆けてくる」
「お姉様! 私、本当にごめんなさい。とても大事にしてくださったのに・・・・・・私がバカでした。ここで平民として慎ましく生きていくことをお許しください。どうしても謝りたくて・・・・・・申し訳ありませんでした」
「・・・・・・いいのよ、もう終わったことだわ。それに、あなたの功績は実はとても大きいのよ。だって、ステファンの本性がわかったもの。これで良かったのよ。それにね、私も母親になるのよ。妊娠したの」
「お姉様。おめでとうございます! 心からお祝い申し上げます。お姉様が大好きだったのに、あんなことをしてごめんなさい。ですが、愚かな私を一生許さないでください」
アンリエットは号泣した。
ジャクリーンはアンリエットを抱きしめて言った。
「あなたを許します」
完
マニフカ伯爵家の次男だったわたしは全てにおいて平凡で、このモデル伯爵家に婿入りしてからも、たいした仕事は任されていない。一方当主のジャクリーンは社交術に長けており、事業における交渉ごとを優位にする話術と知識、才覚が備わっていた。夜会や会議でのわたしは、そこに存在するだけでひと言も話さないことが多い。
「ステファン様は良いご身分ですね。あのモデル女伯爵様の隣にいるだけで贅沢のし放題なのでしょう? ですが、大事な唯一の役目すら勤め上げることができないとは情けないですね。 やはり、能なしは種なしなのでしょうね。あっははは」
このような陰口は至る所でささやかれた。
ジャクリーンは凜とした美しさの女性で憧れている男も多かったから、私を種なしと蔑む噂ばかりが目立つ。男達の嫉妬とはわかっていてもいい気はしない。それに落ち込んでいるとアンリエットから声をかけられ、つい愚痴ってしまった。
「子供ができないのは全てわたしのせいなのだろうか、と悩んでいるのさ。ジャクリーンは自然にまかせて、できなければそれでいいと言うんだ。その場合は先代の弟の娘を養女にすると言っていた」
「え? お母様の弟ってクーニベル叔父様ですか? 私はあの方が嫌いです。クーニベル叔父様の娘バーバラも苦手です。まだ5歳ですが、どういうわけか私だけ無視するのです。あの子が当主になるなんて反対だわ」
悲しそうにうつむくアンリエット。
「いい方法があるよ。アンリエットが妊娠すればいいんだよ。わたしがアンリエットを妊娠させることができれば、種なしでないことを証明できるし、アンリエットもこのモデル伯爵家の娘なのだから跡継ぎの母親になれる。というか、アンリエットがモデル伯爵になってもいいはずだよね? だって君はこの家の次女だろう」
「確かにこのモデル伯爵家の次女です。あ、そうですよね? お姉様の次は、私が継ぐのが筋ですよね? なぜ、そこにバーバラがでてくるのかしら?」
「ジャクリーンはアンリエットを、本当のところは嫌いなのではないかな。君が優秀すぎるから嫉妬しているのだよ。アンリエットの書類作成や事務処理能力はとても高いからね」
わたしは彼女をおだててその気にさせた。こんな小娘なんて思いのままに操れるはずだ。
首尾良く妊娠させてモデル伯爵家を乗っ取れると思っていたのだ。途中まではうまくいった。だが・・・・・・
(奴隷の子供だって? あり得ないよ。それなら当主になれるわけもないし、モデル伯爵家にいられるだけで奇跡だ)
マニフカ伯爵家に出戻ると、父上と兄上が執務室で怒りながら待ち構えていた。すでに早馬で、ジャクリーンから詳細を説明する手紙と慰謝料請求書が届いていたらしい。さすがにやることが早い。
兄上はわたしをいきなり殴りつける。
「愚か者め! アンリエット様を妊娠させただと? 妻の妹に手を出すなんて最低な男だ」
「なぜ、わたしだけ責められるのですか? 子供は二人で作るものでしょう? わたしを受け入れたアンリエットにだって非がある。あの卑しい女がわたしを誘惑したのです」
「お前より5歳も年下の女のせいにするのか? 根性が腐っているよ。慰謝料は当家で負担するが、きっちりお前には返してもらうぞ。父上、こいつにはきつい罰が必要です」
「そうだな。ステファンは愚かすぎだ。マニフカ伯爵家には必要ない。我が家にはステファンの他に3人の息子がいるしな」
「え?必要ないって・・・・・・どういう意味でしょうか? ちょっとわからないです」
「わからない? モデル伯爵家にはきっちり誠意を伝えなければならない。お前を切り捨てたことを証明しなければ、このマニフカ伯爵家ごと潰されるのだぞ!」
兄上は真っ青な顔で大袈裟なことを言った。
「まさか・・・・・・潰される? あのジャクリーンはそれほど怖い女じゃないでしょう?」
「本当にお前はバカなのか? あれほど溺愛していた妹を堕落させたのだぞ! もう姉の報復は始まっている」
と父上。
(いや、ほんの少し慰謝料を払えば済む話しだろう? 多分200万ダラ(1ダラ=1円)ほどで充分なはず)
ところが、バタバタと駆け込んできた執事が、
「取引先から、契約打ち切りの連絡が相次いでいます」と報告する。
「始まったな。モデル伯爵家の制裁だ。彼女は顔が広いし社交界や実業界で絶大な影響力があるのを舐めてはいかんのだ」
「そんな・・・・・・わたしはどうすればいいのですか?」
「そうだな。とりあえず、お前に指は10本も要らないよね?」
「ひっ!!」
「落とし前は、やはり小指・・・・・・」
父上は鋭い刃がぎらりと光るナイフを手にもつ。
(まさか・・・・・・怖い・・・・・・嫌だ・・・・・・助けて)
ーーバタンーーわたしは恐怖のなか、気絶した。
目が覚めると、まずは指が10本全部あることを確認しほっとする。父上の冗談か・・・・・しかし、ここはどこだ?
「目が覚めましたか? ここはマニフカ伯爵領の大農園ですよ。坊ちゃんは10年ここで奴隷達と一緒に働け、という旦那様のご命令です」
傍らにはマニフカ伯爵家の執事が控えており、無表情でそう言った。
「10年? 奴隷と一緒に? いくらなんでもキツすぎないか? おかしいよ」
「文句があるなら、その指を切ってモデル卿に送るそうですよ」
「ひっ。指がなくなるなんて冗談じゃないよ。それを回避するには奴隷で10年? 長すぎる・・・・・・」
わたしは今更ながら後悔し、これからの10年を思い涙するのだった。
(エリオット視点)
わたしはジャクリーン様にずっと昔から恋をしていた。パーティーでお会いする度に、あの凜とした美しさと話題の豊富さ、聡明さに憧れていたのだ。
だからジャクリーン様が結婚したときはとても落ち込んだ。私は彼女より4歳年下だから仕方ない。通常、女性は自分より年上の男性を選ぶからだ。
妹のアンリエットが奴隷の子供だということは、わりとよく知られている事実だ。けれどあのジャクリーン様が妹として認め後ろ盾でいる以上は、アンリエットは周りからは貴族と同等の扱いを受けることができた。わたしは奴隷に偏見がなかったので、アンリエットとの縁談の話をいただいた時は喜んで承諾した。
姉のジャクリーン様が好きな気持ちは変わらなかったが、その溺愛する妹を妻にして守っていくこともジャクリーン様の為になると思えば引き受けられた。もちろん、そのアンリエットが愛すべき女性ならば、自然と愛が芽生えていくと期待もする。
だが・・・・・・とんだおマヌケ娘だったのでがっかりした。多分、あのステファンにそそのかされたことは想像がつくが。
「モデル伯爵家の恥ずかしい場面を見せてしまいましたね。せっかくいらしたのに申し訳ありませんでした。妹は死んだもの、と思います。もうなんの関係もありません」
そんな心にもないことを言って、実はアンリエットが心配で手が震えているのはわかっている。彼女はとても慈悲深いのだ。
わたしはモデル伯爵家お抱えの護衛騎士を呼びそっと耳打ちした。
「アンリエット様になにかあったら、ジャクリーン様は必ず後悔しますよ。変装して後を密かにつけて、聖マリアンヌ教会に行くように仕向けてください。話はつけておきます」
わたしは聖マリアンヌ教会にすぐ向かい牧師に話をし、アンリエットが来たら世話をしてくれるように頼む。
「モデル伯爵はアンリエット様が亡くなるようなことがあったら必ず後悔なさいます。ですからアンリエッタ様を保護してください」
もちろん、牧師は快諾してくれた。
あれから何度もモデル伯爵家を訪問して、3年かけてくどきおとしたジャクリーンは腕の中だ。わたしの妻になって幸せそうな微笑みを浮かべるが、ときおり悲しそうな顔をする。
やがてジャクリーンは妊娠し、泣きながらわたしに嘆いた。
「アンリエットは今ごろどうしているのかしら? 今の私はエリオット様と幸せでこうして子供もお腹にいて・・・・・・だから、あの妊娠事件をやっと過去のこととして考えられるようになりました。あの子は今ごろどうやって生活しているのかしら? もしかして路上で死んでいたりしたら、私は後悔で・・・・・・あの子は妊娠していたのに・・・・・・もし死んでいたら・・・・・・」
「週末に教会デートをしませんか。マリアンヌ教会で楽しい光景が見られますよ」
わたしはジャクリーンの手を取り優しく口づけたのだった。
ちょこっとおまけ(俯瞰視点)
ジャクリーンは夫エリオットに誘われるままにマリアンヌ教会を訪れた。そこで教会の周りの敷地を掃いたり、花壇の手入れをする女性を見つける。
そのうち彼女の周りに子供達が集まり青空教室が始まった。
「まさか、あれは・・・・・・平民の貧しい子に勉強を外で教えているのはあの子なの?」
「そうですよ。アンリエットはここでは日曜青空学校の先生です。会っていかれますか?」
「いいえ、会わないわ。でも、そうね、あの教会の隣に学校を建ててあげたいわ。早速寄付しましょう。私だとはわからないようにね。これからは見えないところでサポートしていくわ」
「見えないところでね。でも、あちらは気づいてしまったようです。ほら、こちらに駆けてくる」
「お姉様! 私、本当にごめんなさい。とても大事にしてくださったのに・・・・・・私がバカでした。ここで平民として慎ましく生きていくことをお許しください。どうしても謝りたくて・・・・・・申し訳ありませんでした」
「・・・・・・いいのよ、もう終わったことだわ。それに、あなたの功績は実はとても大きいのよ。だって、ステファンの本性がわかったもの。これで良かったのよ。それにね、私も母親になるのよ。妊娠したの」
「お姉様。おめでとうございます! 心からお祝い申し上げます。お姉様が大好きだったのに、あんなことをしてごめんなさい。ですが、愚かな私を一生許さないでください」
アンリエットは号泣した。
ジャクリーンはアンリエットを抱きしめて言った。
「あなたを許します」
完
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