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プロローグー夫が愛人を連れて来ました
カリブ家は没落してしまった。名門の伯爵家だったのに。私はグレイス・カリブ伯爵令嬢。両親を流行病で亡くし、借金だけが残された。歳の離れた兄は、その昔に父と諍いをおこし家を出て行きどこにいるかもわからない。生きているのさえもわからないのだ。
「グレイスさん。貴女は美しいですね。借金は私が払ってあげますから妻になってください」
アイザック・レイラ準男爵に一目惚れされ私は妻になった。
「まぁ、これほどの美貌のお嫁さんなら産まれてくる子供もきっと美しいわ。楽しみね」
お姑様はそうおっしゃった。私は、レイラ準男爵家で幸せだった。準男爵家は末端貴族だが、そこそこ裕福な家だった。私には二人の侍女がつき、家のことは雑用女がしていた。
「グレイスさんは、ゆっくりと寛いでいていいのよ。没落したとはいえ伯爵家のお嬢様ですからね。ところで、体の調子はいかがかしら?」
「はい。体・・・・・・元気ですが」
「嫌だ。新婚さんにこの質問を聞く意味がわからないのねぇ? 子供ですよ。赤ちゃんはまだかしら?」
「赤ちゃん・・・・・・はい。私も、欲しいのですけれど」
そんなやりとりが一年も続くと、いよいよ義理の両親は私をあからさまに罵るようになっていった。
「ちょっと! 子供も産めない役立たず! そんな女は嫁じゃないよ。お前は子供を産ますために買ったんだ!」
お姑様が、私にそうおっしゃりながら、忌々しそうに睨む。あんなに優しかったお姑様は、人が変わったように絶えず私に用をいいつけるようになった。二人の侍女はいなくなり、自分のことは自分でしなければならなくなった。
食事は一緒のテーブルで食べたが、私だけ肉や魚がなかったり、パンがなかったり、家族の一人としては扱ってもらえないようになった。
「嫁の務めも果たせない厄介者だわ」
とお姑様が嘆けば、
「子供ができないのは、お前が不妊症だからだ。あぁ、とんだ不良品を買わされたもんだ。借金を払ってやって大損だ」
と夫は、さらに私を傷つけた。
『子供もできないのは大罪だ』
お舅様は、私をついには罪人扱いするのだった。私だって産みたいのだ。けれど、お腹が膨らむことはなかった。
*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*
「この女性は私の子を宿したらしい。この女性を愛人にして一緒に住もうと思う」
ある日、夫はとても嬉しそうな表情でお姑様に告げた。お姑様は、満面の笑みで了承したのだった。
「グレイスの部屋を使えばいいわ。ねぇ、グレイス! あんたは雑用女の部屋に移動しなさい。先月、辞めて困っていたから代わりにお前が働けば良い」
にやりと笑ってお姑様は、私にそう言ったのだった。
「グレイスさん。貴女は美しいですね。借金は私が払ってあげますから妻になってください」
アイザック・レイラ準男爵に一目惚れされ私は妻になった。
「まぁ、これほどの美貌のお嫁さんなら産まれてくる子供もきっと美しいわ。楽しみね」
お姑様はそうおっしゃった。私は、レイラ準男爵家で幸せだった。準男爵家は末端貴族だが、そこそこ裕福な家だった。私には二人の侍女がつき、家のことは雑用女がしていた。
「グレイスさんは、ゆっくりと寛いでいていいのよ。没落したとはいえ伯爵家のお嬢様ですからね。ところで、体の調子はいかがかしら?」
「はい。体・・・・・・元気ですが」
「嫌だ。新婚さんにこの質問を聞く意味がわからないのねぇ? 子供ですよ。赤ちゃんはまだかしら?」
「赤ちゃん・・・・・・はい。私も、欲しいのですけれど」
そんなやりとりが一年も続くと、いよいよ義理の両親は私をあからさまに罵るようになっていった。
「ちょっと! 子供も産めない役立たず! そんな女は嫁じゃないよ。お前は子供を産ますために買ったんだ!」
お姑様が、私にそうおっしゃりながら、忌々しそうに睨む。あんなに優しかったお姑様は、人が変わったように絶えず私に用をいいつけるようになった。二人の侍女はいなくなり、自分のことは自分でしなければならなくなった。
食事は一緒のテーブルで食べたが、私だけ肉や魚がなかったり、パンがなかったり、家族の一人としては扱ってもらえないようになった。
「嫁の務めも果たせない厄介者だわ」
とお姑様が嘆けば、
「子供ができないのは、お前が不妊症だからだ。あぁ、とんだ不良品を買わされたもんだ。借金を払ってやって大損だ」
と夫は、さらに私を傷つけた。
『子供もできないのは大罪だ』
お舅様は、私をついには罪人扱いするのだった。私だって産みたいのだ。けれど、お腹が膨らむことはなかった。
*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*
「この女性は私の子を宿したらしい。この女性を愛人にして一緒に住もうと思う」
ある日、夫はとても嬉しそうな表情でお姑様に告げた。お姑様は、満面の笑みで了承したのだった。
「グレイスの部屋を使えばいいわ。ねぇ、グレイス! あんたは雑用女の部屋に移動しなさい。先月、辞めて困っていたから代わりにお前が働けば良い」
にやりと笑ってお姑様は、私にそう言ったのだった。
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