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3 似たもの同士
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「え? うわ、シェリル! 君は、なぜここにいるんだ?」
「なぜって? ここが私の居場所だからに決まっているわ。ところでさっきこの子が言っていたことって本当なの? 三男ってどういうことよ? セオは嫡男って言っていたでしょう?」
「それはなんていうか、その……えっと……」
セオはしどろもどろになり顔を青ざめさせる。
「あたしはお世継ぎを身ごもってあげているのにどういうことなのよ!」
シェリルは青ざめたセオに苛立ちの言葉をぶつける。
「お世継ぎ? セオ、お前の浮気相手は国王陛下の子供を身ごもっているのか? いや、お前を国王陛下と思っているのか? こんな話は聞いたことがない」
ジャクソン様はそうおっしゃると眉をひそめ、その傍らでグレイソン様は笑いを噛み殺していた。
「何がおかしいのよ! あたしはお世継ぎを身ごもっていてこれは感謝されるべきことなのよ! そうだ! その生意気な子供がきっと嘘を吐いたのね? セオは侯爵家の嫡男なのよね? 嫡男の権限でこの人達を皆追い出してよ! あたし達2人で、いいえ、子供を含めると3人で家族仲良く暮らしましょうよ。きっとあたしたちは幸せになれるわ」
「セオ叔父ちゃん……じゃなくて他人のおじちゃん! この女の人はばかなの? お世継ぎと言うのはこの国を統治する王様の子供で王太子様のことを言うんだよ。この人はそんなことも知らないんだね。それなのにさっきイレーヌに向かって酷いことを言っていたなんてますます許せないよ!」
「ほぉ? なんて言ったんだい?」
ジャクソン様は仄暗いオーラを出してラー二様に尋ねた。
「えっとねぇ、イレーヌに向かってこう言ったんだよ。『イレーヌ様っておいくつですか? 脳みそあります? まさか学校も行っていない方じゃないですよね? 平民の奥さんって聞いてたけど学校も出ていないのかな? 読み書きはできますか? あたしも平民ですけれど平民学校でも1番良い学校を卒業してるんですよ。セオの部下になったかわいい上に頭が良いシェリルといいまぁす』って。僕ドアの前でちゃんと聞いてたもん」
「くっくっく、あっははは! ダメだよ! もう抑えられないよ! 自分のことをかわいい上に頭が良いといったのかい? 傑作だよ。こんな不思議な生き物は初めて見たよ。セオよ、これは本当にお前の部下なのか?」
グレイソン様はすっかり腹を抱えて笑いだし、ジャクソン様は瞳の奥にシェリルへの怒りの炎を揺らせた。
「このシェリルは正式な部下ではありません。臨時雇いの短時間就労者です。イレーヌ、これはなにかの間違いだ。一時の気の迷いだったんだ。本当に愛しているのは君だけなんだよ!」
セオは私にすがりつくような眼差しを向け手を重ねてきてそう叫んだ。
「他人のおじちゃん、気持ち悪いよ」
ラーニー様がセオの手を私から振り払い、鼻の頭にしわを寄せて吐き捨てるようにそう言った。
「やれやれ。お前たちはとても似た者同士なんだな。1人は王宮に正式に雇われたエリートのふりをする不届き者。他方は三男でありながら嫡男のふりをして自分を大きく見せる愚か者。とてもお似合いだと思うぞ」
ジャクソン様は強い不快感を瞳に湛えながら冷たい声でそうおっしゃったのだった。
「兄上、ほんの出来心なんです。許してください」
「許すもなにもその女性の腹にはお前の子供がいるのだろう? 男として責任をとる必要があるよな?」
「そんなぁ……セオって本当に三男なのぉ」
先ほどまで勝ち誇っていたような表情を浮かべていたシェリルはすっかり涙目になっていたのだった。
「なぜって? ここが私の居場所だからに決まっているわ。ところでさっきこの子が言っていたことって本当なの? 三男ってどういうことよ? セオは嫡男って言っていたでしょう?」
「それはなんていうか、その……えっと……」
セオはしどろもどろになり顔を青ざめさせる。
「あたしはお世継ぎを身ごもってあげているのにどういうことなのよ!」
シェリルは青ざめたセオに苛立ちの言葉をぶつける。
「お世継ぎ? セオ、お前の浮気相手は国王陛下の子供を身ごもっているのか? いや、お前を国王陛下と思っているのか? こんな話は聞いたことがない」
ジャクソン様はそうおっしゃると眉をひそめ、その傍らでグレイソン様は笑いを噛み殺していた。
「何がおかしいのよ! あたしはお世継ぎを身ごもっていてこれは感謝されるべきことなのよ! そうだ! その生意気な子供がきっと嘘を吐いたのね? セオは侯爵家の嫡男なのよね? 嫡男の権限でこの人達を皆追い出してよ! あたし達2人で、いいえ、子供を含めると3人で家族仲良く暮らしましょうよ。きっとあたしたちは幸せになれるわ」
「セオ叔父ちゃん……じゃなくて他人のおじちゃん! この女の人はばかなの? お世継ぎと言うのはこの国を統治する王様の子供で王太子様のことを言うんだよ。この人はそんなことも知らないんだね。それなのにさっきイレーヌに向かって酷いことを言っていたなんてますます許せないよ!」
「ほぉ? なんて言ったんだい?」
ジャクソン様は仄暗いオーラを出してラー二様に尋ねた。
「えっとねぇ、イレーヌに向かってこう言ったんだよ。『イレーヌ様っておいくつですか? 脳みそあります? まさか学校も行っていない方じゃないですよね? 平民の奥さんって聞いてたけど学校も出ていないのかな? 読み書きはできますか? あたしも平民ですけれど平民学校でも1番良い学校を卒業してるんですよ。セオの部下になったかわいい上に頭が良いシェリルといいまぁす』って。僕ドアの前でちゃんと聞いてたもん」
「くっくっく、あっははは! ダメだよ! もう抑えられないよ! 自分のことをかわいい上に頭が良いといったのかい? 傑作だよ。こんな不思議な生き物は初めて見たよ。セオよ、これは本当にお前の部下なのか?」
グレイソン様はすっかり腹を抱えて笑いだし、ジャクソン様は瞳の奥にシェリルへの怒りの炎を揺らせた。
「このシェリルは正式な部下ではありません。臨時雇いの短時間就労者です。イレーヌ、これはなにかの間違いだ。一時の気の迷いだったんだ。本当に愛しているのは君だけなんだよ!」
セオは私にすがりつくような眼差しを向け手を重ねてきてそう叫んだ。
「他人のおじちゃん、気持ち悪いよ」
ラーニー様がセオの手を私から振り払い、鼻の頭にしわを寄せて吐き捨てるようにそう言った。
「やれやれ。お前たちはとても似た者同士なんだな。1人は王宮に正式に雇われたエリートのふりをする不届き者。他方は三男でありながら嫡男のふりをして自分を大きく見せる愚か者。とてもお似合いだと思うぞ」
ジャクソン様は強い不快感を瞳に湛えながら冷たい声でそうおっしゃったのだった。
「兄上、ほんの出来心なんです。許してください」
「許すもなにもその女性の腹にはお前の子供がいるのだろう? 男として責任をとる必要があるよな?」
「そんなぁ……セオって本当に三男なのぉ」
先ほどまで勝ち誇っていたような表情を浮かべていたシェリルはすっかり涙目になっていたのだった。
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