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7 モリスのざまぁ
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私はモリスに慰謝料を請求した。
「5才も年下の僕にお金を請求するなんて酷いよ!」
……いやいや、浮気の慰謝料に年齢は関係ないよね?
年下イケメンだからって、なにもかも許されると思うなよ?
モリスは売れない文筆家。私への慰謝料なんて、彼の収入じゃ何年かかっても払いきれない。
そんな時、ジャクスティン殿下がニッコニコの笑顔でこう言った。
「クリスティ。母上がモリスにいいお仕事を紹介してあげるって。すぐにクリスティにお金を払えるらしいよ!」
「ちなみにそれって……ダイアン・スミス前公爵夫人が絡んでいますか?」
「うん、よくわかったね! スミス前公爵夫人、もうすっかり呆けちゃってね。でも、亡くなったスミス公爵をとっても愛していたんだよ。今は若い頃のスミス公爵を探してるんだって」
あぁ、なるほどね。確かに、若い頃のスミス公爵は可愛い系の美少年だったらしいから、モリスは代役にちょうどいいかも。
モリスよ、健闘を祈る!
これはもう社会貢献よね?
一周回って立派! 偉いわ!
まぁ、私はあんたを捨てたけどね☆
◆◇◆
モリスside
「あなた! こんなところにいたのね? 悪い人。私はずっとあなたを探していたのよ!」
逃げ場は、ない。
セクシーなキャミソール型の寝間着。胸元は大胆に開き、腰のリボンをほどけばさらに妖艶さが増すデザイン。 だが、それを着ているのは、85歳のスミス前公爵夫人である。
そう。彼女は、自分が若いと信じて疑っていない。 なんなら、モリスよりも若いと本気で思っている。
スミス前公爵夫人がスミス前公爵と結婚したのは、彼女が18、夫が23のとき。 そしてモリスは、ちょうどその頃のスミス公爵にかなり似ていた。
「うふふ。あなたは5才も上でちょっとおじさんだけど、私は好きよ♪」
……僕、おじさんじゃないから。
あんたが老婆なんだよ、言えないけども。
「ねぇ、私のような若くて可愛い子を妻に迎えられたのだから、喜びなさいよ。わかった?」
……老婆に「若くて可愛い新妻」ムーブをされる恐怖。
あぁ、この場から消えてなくなりたいよぉ。
かつてのスミス前公爵は、スミス前公爵夫人に夢中だった。 問題は夫人の記憶が、その時点で止まっていることだ。モリスの仕事は「住み込みで、スミス前公爵夫人の新妻役を受け入れること」であった。
……いや、無理。
無理無理無理無理!!!!
「さぁ、一緒に寝ましょう! 私をずっと抱きしめていて♪」
最悪だ。……クソッ、なんで僕がこんな目に!!?
なぁ、僕が何をしたっていうんだ!?
あ、浮気か。
でも、浮気なんて男なら誰でもするだろ?
そうさ、たかが浮気で酷すぎる……一回しかしてないのに。
「さっ、あなた。お休みのキスをさせてあ・げ・る。ほら、早く!」
ぶちゅっつ!
「あら、だめじゃない! あなた、おじさんだから、入れ歯だったの? きもっ」
スミス前公爵夫人の口から入れ歯がポトンとベッドに落ちた。
いや、それあんたの入れ歯だ。
誰か、助けてくれよぉーー!
「5才も年下の僕にお金を請求するなんて酷いよ!」
……いやいや、浮気の慰謝料に年齢は関係ないよね?
年下イケメンだからって、なにもかも許されると思うなよ?
モリスは売れない文筆家。私への慰謝料なんて、彼の収入じゃ何年かかっても払いきれない。
そんな時、ジャクスティン殿下がニッコニコの笑顔でこう言った。
「クリスティ。母上がモリスにいいお仕事を紹介してあげるって。すぐにクリスティにお金を払えるらしいよ!」
「ちなみにそれって……ダイアン・スミス前公爵夫人が絡んでいますか?」
「うん、よくわかったね! スミス前公爵夫人、もうすっかり呆けちゃってね。でも、亡くなったスミス公爵をとっても愛していたんだよ。今は若い頃のスミス公爵を探してるんだって」
あぁ、なるほどね。確かに、若い頃のスミス公爵は可愛い系の美少年だったらしいから、モリスは代役にちょうどいいかも。
モリスよ、健闘を祈る!
これはもう社会貢献よね?
一周回って立派! 偉いわ!
まぁ、私はあんたを捨てたけどね☆
◆◇◆
モリスside
「あなた! こんなところにいたのね? 悪い人。私はずっとあなたを探していたのよ!」
逃げ場は、ない。
セクシーなキャミソール型の寝間着。胸元は大胆に開き、腰のリボンをほどけばさらに妖艶さが増すデザイン。 だが、それを着ているのは、85歳のスミス前公爵夫人である。
そう。彼女は、自分が若いと信じて疑っていない。 なんなら、モリスよりも若いと本気で思っている。
スミス前公爵夫人がスミス前公爵と結婚したのは、彼女が18、夫が23のとき。 そしてモリスは、ちょうどその頃のスミス公爵にかなり似ていた。
「うふふ。あなたは5才も上でちょっとおじさんだけど、私は好きよ♪」
……僕、おじさんじゃないから。
あんたが老婆なんだよ、言えないけども。
「ねぇ、私のような若くて可愛い子を妻に迎えられたのだから、喜びなさいよ。わかった?」
……老婆に「若くて可愛い新妻」ムーブをされる恐怖。
あぁ、この場から消えてなくなりたいよぉ。
かつてのスミス前公爵は、スミス前公爵夫人に夢中だった。 問題は夫人の記憶が、その時点で止まっていることだ。モリスの仕事は「住み込みで、スミス前公爵夫人の新妻役を受け入れること」であった。
……いや、無理。
無理無理無理無理!!!!
「さぁ、一緒に寝ましょう! 私をずっと抱きしめていて♪」
最悪だ。……クソッ、なんで僕がこんな目に!!?
なぁ、僕が何をしたっていうんだ!?
あ、浮気か。
でも、浮気なんて男なら誰でもするだろ?
そうさ、たかが浮気で酷すぎる……一回しかしてないのに。
「さっ、あなた。お休みのキスをさせてあ・げ・る。ほら、早く!」
ぶちゅっつ!
「あら、だめじゃない! あなた、おじさんだから、入れ歯だったの? きもっ」
スミス前公爵夫人の口から入れ歯がポトンとベッドに落ちた。
いや、それあんたの入れ歯だ。
誰か、助けてくれよぉーー!
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