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8 幸せ、見つけた!
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裏切り者の年下夫と、無事にサヨナラ! 義両親は住む場所を失い、路頭に迷ってるとか。
でも赤の他人なんで、はい、関係なし!
同情? するわけないでしょ。
そんなことより、最近ブロッサム様がめっちゃ懐いてくれてる! 我が家に遊びに来る頻度が増えて、私はもう嬉しくて仕方ない。
この日はハリソン卿の休日。朝の爽やかな陽光が差し込む私の屋敷で、穏やかな時間が流れている。ブロッサム様はいつものように、お菓子作りをする私の手元をキラキラとした眼差しで見つめていた。
「クリスティ嬢、すまないね。ブロッサムがどうしてもここに行きたいと言って聞かなくて。お菓子作りを見てるだけで幸せなんだそうだよ。ついには『クリスティ嬢みたいな菓子職人になりたい』って言い出したんだ。そんな簡単になれるもんじゃないのにな」
「あら、なれますわよ。ブロッサム様が本気で目指すなら、私がしっかり教えて差し上げますわ。なかなか筋がいいと思います」
「ほんと!? ありがとう! 私、クリスティ様のこと大好き!」
はぁぁ、美少女に懐かれるのって最高。可愛すぎて、いっそこの子の母親になりたいくらい……あっ、待って、名案じゃない?
うふふ。一瞬だけでも、お母様って呼ばれる気持ちを味わいたい!
「ブロッサム様、試しに私のこと『お母様』って呼んでもらえませんか?」
そんな軽いノリで言ったら、ブロッサム様が涙をポロポロ流し始めた。そして隣のハリソン卿まで号泣!?
えっ、えっ、そんなに失礼なこと言った!? それとも、浮気して逃げた元妻を思い出しての号泣? なんなの、その涙。
ブロッサム様はまだ幼いから、母親が恋しくなって泣いたのかも。
悪いことしちゃったわ、私……
慌てて謝ろうとしたら、ブロッサム様が抱きついてきた!
「クリスティ様がお母様になってくれるのね!? 嬉しい! これはね、嬉し涙なのよ。私、お母様のお手伝いをたくさんするし、いつもいい子でいるようにするわね!」
ちょっ……もうお母様と呼んでくれるなんて。
その愛らしい笑顔が尊い!
いつも良い子でなんかいなくていいのよ。
ありのままのブロッサム様で充分可愛いいんだからっ!
「……こんな無骨な男でいいのだろうか? クリスティ嬢のほうが俺より稼いでいるし、顔も通りすがりの馬のほうが美形だ。でも、愛する人は絶対に裏切らないって誓おう」
……え? 無意識に私がプロポーズした形になってる!? いやいやいや、ちょっと母親気分を味わいたかっただけなんだけど!?
だが、二人とも超キラキラした目で見てくるし……なんか、悪くない気もしてきた。
可愛くて懐いてくれる美少女、私の仕事に興味津々で後継者になりそう。真面目でしっかり働くハリソン卿、しかも王子専属騎士で年収金貨1,000枚。
ちなみに私の年収は金貨3,000枚越え! 私は自慢ではないが、王族や高位貴族の宴に不可欠なほどの知名度を持つ。1回の晩餐会や舞踏会で大量の注文が入るし、貴族社会では職人の格が収入に直結し『特別な菓子職人』は破格の報酬を得るのが常識だ。そのため、ハリソン卿のほぼ三倍以上を稼いでる私だけど、別に彼をバカにする気なんてない。
むしろ、
「生活費はこちらが出すよ。とびっきりの贅沢はさせられないかもしれないが、普通には生活できるはずさ。クリスティ嬢が稼いだお金は自由にしてもらって構わない。俺は妻の稼ぎを当てにする生き方は好まないんでね」なんて言ってくれた!
……あっ、これ、最高かも。
男にお金をあてにされない生活! でも、ハリソン卿が好きかって問われると……いや、好意はある。でも、異性としてっていうより……友人としてかなぁ。
ほら、私って美少年派だし? いわゆる面食いなんだよねぇ。←全然モリスの件で懲りていない。
とか考えてたら、ガシャーーン! 窓がぶち割られた!
なんと、襲撃犯は元義父母だった!
あぁ、この人たちは強盗にまで落ちぶれたのか?
「この家は私たちのものよ! モリスが可哀想! 前と同じように私たちを住まわせて、モリスにあんな仕事をさせないで!」
狂気の元姑、いきなり刃物を振り回す!
私に向かって一直線に襲いかかってきた。しかしハリソン卿がサッと私を庇って負傷した。
「ハリソン卿! 血が!」
「大丈夫。大事な人を守れたのだから、これは勲章だ」
ニッコリ笑った口元に、白い歯がキラーン! ま、まぶしいっ!
助けてもらった恩を感じた私が起こした脳内マジック……
ハリソン卿にイケメン補正入りました!
いや、ありかも? でかくて頼れるし、誠実で守ってくれるし。
おまけに結婚すればブロッサム様のお母様になれる特典付き!
髭の濃さも、強面フェイスも……うん、いっそ素敵!
ちなみに、義両親は王家の騎士団にあっさり取り押さえられ、そのまま地下牢へご招待♪ 私もハリソン卿も王家から重用されている立場なので、私たちを襲ったということはとても重罪なのだ。
「こんな仕打ちが許されると思ってるの!?」
「誰か助けてぇ!」
……とか叫んでたけど、騎士団長に「黙れ! ここがあんたたちの新しい家だ。これから鞭打ち刑に処すが、無駄口をたたけば、そのぶん叩かれると覚悟しろ」って言われてた。うん、ざまぁっ!
そして私は、モリスと離縁して半年で、ハリソン卿と再婚した。
もちろん、めちゃくちゃ幸せです!!
夫は美形でなくても良い!
誠実で優しい心の夫を、今ではこよなく愛している私なのだった。
おしまい
•───⋅⋆⁺‧₊☽⛦☾₊‧⁺⋆⋅───•
※金貨一枚は現代日本では10万。ハリソンは一億。クリスティは三億以上の年収ということです。その国で1番の1流パティシエなんで。
稚拙なお話しをお読みくださりありがとうございます💦 なんかコメディが書きたくて、こんな感じになってしまいまして……次回はもっと真面目なものを書きたい。
なお、男性向きジャンルで「無能と蔑まれた七男、前世は至上最強の魔法使いだった!?」を連載中です。よくあるタイプのお話ですが、興味があったらぜひお立ち寄りくださいませ(,,ᴗ ̫ᴗ,,)ꕤ*.゚
でも赤の他人なんで、はい、関係なし!
同情? するわけないでしょ。
そんなことより、最近ブロッサム様がめっちゃ懐いてくれてる! 我が家に遊びに来る頻度が増えて、私はもう嬉しくて仕方ない。
この日はハリソン卿の休日。朝の爽やかな陽光が差し込む私の屋敷で、穏やかな時間が流れている。ブロッサム様はいつものように、お菓子作りをする私の手元をキラキラとした眼差しで見つめていた。
「クリスティ嬢、すまないね。ブロッサムがどうしてもここに行きたいと言って聞かなくて。お菓子作りを見てるだけで幸せなんだそうだよ。ついには『クリスティ嬢みたいな菓子職人になりたい』って言い出したんだ。そんな簡単になれるもんじゃないのにな」
「あら、なれますわよ。ブロッサム様が本気で目指すなら、私がしっかり教えて差し上げますわ。なかなか筋がいいと思います」
「ほんと!? ありがとう! 私、クリスティ様のこと大好き!」
はぁぁ、美少女に懐かれるのって最高。可愛すぎて、いっそこの子の母親になりたいくらい……あっ、待って、名案じゃない?
うふふ。一瞬だけでも、お母様って呼ばれる気持ちを味わいたい!
「ブロッサム様、試しに私のこと『お母様』って呼んでもらえませんか?」
そんな軽いノリで言ったら、ブロッサム様が涙をポロポロ流し始めた。そして隣のハリソン卿まで号泣!?
えっ、えっ、そんなに失礼なこと言った!? それとも、浮気して逃げた元妻を思い出しての号泣? なんなの、その涙。
ブロッサム様はまだ幼いから、母親が恋しくなって泣いたのかも。
悪いことしちゃったわ、私……
慌てて謝ろうとしたら、ブロッサム様が抱きついてきた!
「クリスティ様がお母様になってくれるのね!? 嬉しい! これはね、嬉し涙なのよ。私、お母様のお手伝いをたくさんするし、いつもいい子でいるようにするわね!」
ちょっ……もうお母様と呼んでくれるなんて。
その愛らしい笑顔が尊い!
いつも良い子でなんかいなくていいのよ。
ありのままのブロッサム様で充分可愛いいんだからっ!
「……こんな無骨な男でいいのだろうか? クリスティ嬢のほうが俺より稼いでいるし、顔も通りすがりの馬のほうが美形だ。でも、愛する人は絶対に裏切らないって誓おう」
……え? 無意識に私がプロポーズした形になってる!? いやいやいや、ちょっと母親気分を味わいたかっただけなんだけど!?
だが、二人とも超キラキラした目で見てくるし……なんか、悪くない気もしてきた。
可愛くて懐いてくれる美少女、私の仕事に興味津々で後継者になりそう。真面目でしっかり働くハリソン卿、しかも王子専属騎士で年収金貨1,000枚。
ちなみに私の年収は金貨3,000枚越え! 私は自慢ではないが、王族や高位貴族の宴に不可欠なほどの知名度を持つ。1回の晩餐会や舞踏会で大量の注文が入るし、貴族社会では職人の格が収入に直結し『特別な菓子職人』は破格の報酬を得るのが常識だ。そのため、ハリソン卿のほぼ三倍以上を稼いでる私だけど、別に彼をバカにする気なんてない。
むしろ、
「生活費はこちらが出すよ。とびっきりの贅沢はさせられないかもしれないが、普通には生活できるはずさ。クリスティ嬢が稼いだお金は自由にしてもらって構わない。俺は妻の稼ぎを当てにする生き方は好まないんでね」なんて言ってくれた!
……あっ、これ、最高かも。
男にお金をあてにされない生活! でも、ハリソン卿が好きかって問われると……いや、好意はある。でも、異性としてっていうより……友人としてかなぁ。
ほら、私って美少年派だし? いわゆる面食いなんだよねぇ。←全然モリスの件で懲りていない。
とか考えてたら、ガシャーーン! 窓がぶち割られた!
なんと、襲撃犯は元義父母だった!
あぁ、この人たちは強盗にまで落ちぶれたのか?
「この家は私たちのものよ! モリスが可哀想! 前と同じように私たちを住まわせて、モリスにあんな仕事をさせないで!」
狂気の元姑、いきなり刃物を振り回す!
私に向かって一直線に襲いかかってきた。しかしハリソン卿がサッと私を庇って負傷した。
「ハリソン卿! 血が!」
「大丈夫。大事な人を守れたのだから、これは勲章だ」
ニッコリ笑った口元に、白い歯がキラーン! ま、まぶしいっ!
助けてもらった恩を感じた私が起こした脳内マジック……
ハリソン卿にイケメン補正入りました!
いや、ありかも? でかくて頼れるし、誠実で守ってくれるし。
おまけに結婚すればブロッサム様のお母様になれる特典付き!
髭の濃さも、強面フェイスも……うん、いっそ素敵!
ちなみに、義両親は王家の騎士団にあっさり取り押さえられ、そのまま地下牢へご招待♪ 私もハリソン卿も王家から重用されている立場なので、私たちを襲ったということはとても重罪なのだ。
「こんな仕打ちが許されると思ってるの!?」
「誰か助けてぇ!」
……とか叫んでたけど、騎士団長に「黙れ! ここがあんたたちの新しい家だ。これから鞭打ち刑に処すが、無駄口をたたけば、そのぶん叩かれると覚悟しろ」って言われてた。うん、ざまぁっ!
そして私は、モリスと離縁して半年で、ハリソン卿と再婚した。
もちろん、めちゃくちゃ幸せです!!
夫は美形でなくても良い!
誠実で優しい心の夫を、今ではこよなく愛している私なのだった。
おしまい
•───⋅⋆⁺‧₊☽⛦☾₊‧⁺⋆⋅───•
※金貨一枚は現代日本では10万。ハリソンは一億。クリスティは三億以上の年収ということです。その国で1番の1流パティシエなんで。
稚拙なお話しをお読みくださりありがとうございます💦 なんかコメディが書きたくて、こんな感じになってしまいまして……次回はもっと真面目なものを書きたい。
なお、男性向きジャンルで「無能と蔑まれた七男、前世は至上最強の魔法使いだった!?」を連載中です。よくあるタイプのお話ですが、興味があったらぜひお立ち寄りくださいませ(,,ᴗ ̫ᴗ,,)ꕤ*.゚
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