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17 レオナード視点-2
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※レオナード視点
「ピナベーカリーの夫婦は、長女からずっとお金をせびっていたらしい」
「妹の嫁入り道具まで、姉に支払わせようとしたんだって」
そんな噂が、まるで事実のように街中へ広まっていた。そのせいでピナベーカリーはすっかり客足が遠のき、かつての賑わいは見る影もなくなってしまった。
僕はソフィアを連れて、ピナベーカリーを訪ねた。 彼女の両親にこの件を、正面から話しておくべきだと思ったのだ。
「これは完全に風評被害です。噂の出どころを突き止めて、裁判で名誉毀損として訴えましょう! 誰がでっち上げたのか、はっきりさせなければなりません」
僕がそう言うと、ソフィアの父は困ったように目を伏せ、ゆっくりと首を振った。
「……いや、そこまでしなくてもいい……です」
店が傾きかけているというのに、その声はあまりにも淡々としていて、どこか他人事のようだった。
「……もしかして、これが事実ということですか? マリアはいつも質素でした。身の回りの物も、ほんの少ししか持っていなかった。それなのにソフィアは……とても金遣いが荒い。あなた方も一緒に出かける時は、かなり着飾っていますよね? 考えたら、マリアだけがいつも貧相な格好をしていた……」
「……」
沈黙が落ちた。
ソフィアも、その両親も、気まずそうに視線をそらす。
その瞬間、胸の奥で何かが音を立てて崩れた。
(そうか! 僕は騙されていたんだ……)
「もう済んだことだし、お姉ちゃんはいなくなっちゃったから、謝る相手もいないわ。ピナベーカリーだって、そのうち元に戻るわよ。人の噂なんて、そんなに長くは続かないものよ。みんなそのうち忘れるわ」
「そうかな? 最近この近くにパン屋が二軒もできただろう? そんなに簡単な話じゃないと思うが……」
「だったら、レオナード様が母さんたちを援助してよ。だって私の夫なんだから、当然でしょ? レオナード様が頑張ってたくさんお金を儲けて、私たちに渡してくれればいいのよ」
思わず息をのんだ。ソフィアの言葉に愕然としていると、彼女の両親までもが当然のようにうなずいている。
(ああ。人に依存して生きることに、何の疑問も持たない人たちなんだ。これなら、マリアが言っていたことはすべて本当だったんだろう。なんて愚かだったんだ……マリアは最初から、嘘なんてついていなかったのに!)
それからというもの、僕はずっと後悔していた。どうにかマリアを探そうとしたが、どこを探しても消息はつかめない。そのうち、ピナベーカリーはとうとう潰れてしまった。 気づけば、ソフィアの両親までが新居に転がり込んできていた。
持ち込まれた荷物の量は尋常ではなく、部屋はますます物であふれた。ブロック服飾工房の仕事は減りはしなかったが、増えもしない。
普通なら十分に余裕のある暮らしができたはずなのに――金遣いの荒い三人を家族に抱えたせいで、どんなに働いても生活はいつもギリギリだ。
(ああ、なんて馬鹿だったんだろう!
ピナベーカリーがいくら儲かっていようと、彼らは稼ぎ以上の金を使っていたに違いない。だから、マリアの給料まで自分たちのものにしたんだ。今の僕は、まさにマリアの立場そのものじゃないか……)
それでも働き続けるしかなく、心も体もすっかり疲れ果てていた頃――。ヘトヘトになって帰宅し、乱雑な居間のソファにぐったりと身を預けていたときのことだ。足の踏み場もない部屋の中で、ソフィアが満面の笑みを浮かべ、弾む声で言った。
「聞いて、朗報よ! お姉ちゃんの居所がわかったの。ねぇ、信じられる? あのサンテリオ侯爵領で、売れっ子の服飾デザイナーになっていたのよ!」
「……そんなバカな。何かの間違いだろう?」
「ううん、間違いじゃないわ。私の友人のなかでも一番のお金持ちが、サンテリオ服飾工房に出向いて、お姉ちゃん本人にデザインをお願いしたって言ってたもの」
「それはおかしいよ。だってソフィアの友達は、マリアを見たことがないだろう?」
「そんなの関係ないわ! 友達が言っていた特徴に、お姉ちゃんはぴったり当てはまるの。名前はマリア。出身はオッキーニ男爵領だと言っていたのですって。ブラウンの髪にグレーの瞳。絶対にお姉ちゃんよ!」
「『マリア』なんて名前はどこにでもあるし、オッキーニ男爵領出身の女性なんて、隣の領地なんだからサンテリオ侯爵領では珍しくないだろう? 髪の色や瞳の色だって、この国ではありふれた色だ。そんなの、全くの別人だよ」
「いいえ、お姉ちゃんよ! 私たちは二人きりの姉妹なのよ? それがお姉ちゃんだって、私にだけはわかるわ。ふふっ、さすがは私のお姉ちゃんよね。すごく出世したんだわ。早速、会いに行かなきゃ!」
根拠なんてほとんどない。ただ、ソフィアには『自分の勘』という名の思い込みがあるようだった。自分に都合のいいことだけを嗅ぎつける、その妙な嗅覚は案外、鋭いのかもしれない。
「は? 何のためにだい?」
「もちろん、私のドレスを作ってもらうために決まってるじゃない! サンテリオで売れっ子のデザイナーの服なんて、とても手が届かないと思っていたけれど……これでいくらでも手に入るわ。だって、お姉ちゃんが作ってるんだもの。私が作ってもらって当然でしょう?」
「なるほど……確かにそうだ。マリアがそんなに活躍しているんだったら、私たちも少し助けてもらおうか。よし、早速みんなでサンテリオ侯爵領に行こうじゃないか!」
ソフィアの父親が良いことを思いついたとばかりに顔を輝かせた。
(いったい、どの口がそんなことを言っているんだろう。マリアにあんなことをしておいて、助けてくれると思っているのか……? ……あ、待てよ。僕はこいつらに騙されて、こんなことになったんだ。だから、真摯に謝れば許してくれるかもしれない!)
「そうですね。もしそれがマリアだったら、僕たちは今までのことを謝って、元のあるべき理想の状態に戻さなければいけませんね」
(誠心誠意、謝って許してもらおう。そしてソフィアを捨てて、マリアと結婚するんだ。マリアがいてくれれば、僕はまた幸せになれる! 彼女は無駄遣いなんてしないし、すばらしい売れっ子デザイナーに成長しているなら……ブロック服飾工房だって、今よりずっと儲かるはずだ! すごい、すごいぞ!)
「ピナベーカリーの夫婦は、長女からずっとお金をせびっていたらしい」
「妹の嫁入り道具まで、姉に支払わせようとしたんだって」
そんな噂が、まるで事実のように街中へ広まっていた。そのせいでピナベーカリーはすっかり客足が遠のき、かつての賑わいは見る影もなくなってしまった。
僕はソフィアを連れて、ピナベーカリーを訪ねた。 彼女の両親にこの件を、正面から話しておくべきだと思ったのだ。
「これは完全に風評被害です。噂の出どころを突き止めて、裁判で名誉毀損として訴えましょう! 誰がでっち上げたのか、はっきりさせなければなりません」
僕がそう言うと、ソフィアの父は困ったように目を伏せ、ゆっくりと首を振った。
「……いや、そこまでしなくてもいい……です」
店が傾きかけているというのに、その声はあまりにも淡々としていて、どこか他人事のようだった。
「……もしかして、これが事実ということですか? マリアはいつも質素でした。身の回りの物も、ほんの少ししか持っていなかった。それなのにソフィアは……とても金遣いが荒い。あなた方も一緒に出かける時は、かなり着飾っていますよね? 考えたら、マリアだけがいつも貧相な格好をしていた……」
「……」
沈黙が落ちた。
ソフィアも、その両親も、気まずそうに視線をそらす。
その瞬間、胸の奥で何かが音を立てて崩れた。
(そうか! 僕は騙されていたんだ……)
「もう済んだことだし、お姉ちゃんはいなくなっちゃったから、謝る相手もいないわ。ピナベーカリーだって、そのうち元に戻るわよ。人の噂なんて、そんなに長くは続かないものよ。みんなそのうち忘れるわ」
「そうかな? 最近この近くにパン屋が二軒もできただろう? そんなに簡単な話じゃないと思うが……」
「だったら、レオナード様が母さんたちを援助してよ。だって私の夫なんだから、当然でしょ? レオナード様が頑張ってたくさんお金を儲けて、私たちに渡してくれればいいのよ」
思わず息をのんだ。ソフィアの言葉に愕然としていると、彼女の両親までもが当然のようにうなずいている。
(ああ。人に依存して生きることに、何の疑問も持たない人たちなんだ。これなら、マリアが言っていたことはすべて本当だったんだろう。なんて愚かだったんだ……マリアは最初から、嘘なんてついていなかったのに!)
それからというもの、僕はずっと後悔していた。どうにかマリアを探そうとしたが、どこを探しても消息はつかめない。そのうち、ピナベーカリーはとうとう潰れてしまった。 気づけば、ソフィアの両親までが新居に転がり込んできていた。
持ち込まれた荷物の量は尋常ではなく、部屋はますます物であふれた。ブロック服飾工房の仕事は減りはしなかったが、増えもしない。
普通なら十分に余裕のある暮らしができたはずなのに――金遣いの荒い三人を家族に抱えたせいで、どんなに働いても生活はいつもギリギリだ。
(ああ、なんて馬鹿だったんだろう!
ピナベーカリーがいくら儲かっていようと、彼らは稼ぎ以上の金を使っていたに違いない。だから、マリアの給料まで自分たちのものにしたんだ。今の僕は、まさにマリアの立場そのものじゃないか……)
それでも働き続けるしかなく、心も体もすっかり疲れ果てていた頃――。ヘトヘトになって帰宅し、乱雑な居間のソファにぐったりと身を預けていたときのことだ。足の踏み場もない部屋の中で、ソフィアが満面の笑みを浮かべ、弾む声で言った。
「聞いて、朗報よ! お姉ちゃんの居所がわかったの。ねぇ、信じられる? あのサンテリオ侯爵領で、売れっ子の服飾デザイナーになっていたのよ!」
「……そんなバカな。何かの間違いだろう?」
「ううん、間違いじゃないわ。私の友人のなかでも一番のお金持ちが、サンテリオ服飾工房に出向いて、お姉ちゃん本人にデザインをお願いしたって言ってたもの」
「それはおかしいよ。だってソフィアの友達は、マリアを見たことがないだろう?」
「そんなの関係ないわ! 友達が言っていた特徴に、お姉ちゃんはぴったり当てはまるの。名前はマリア。出身はオッキーニ男爵領だと言っていたのですって。ブラウンの髪にグレーの瞳。絶対にお姉ちゃんよ!」
「『マリア』なんて名前はどこにでもあるし、オッキーニ男爵領出身の女性なんて、隣の領地なんだからサンテリオ侯爵領では珍しくないだろう? 髪の色や瞳の色だって、この国ではありふれた色だ。そんなの、全くの別人だよ」
「いいえ、お姉ちゃんよ! 私たちは二人きりの姉妹なのよ? それがお姉ちゃんだって、私にだけはわかるわ。ふふっ、さすがは私のお姉ちゃんよね。すごく出世したんだわ。早速、会いに行かなきゃ!」
根拠なんてほとんどない。ただ、ソフィアには『自分の勘』という名の思い込みがあるようだった。自分に都合のいいことだけを嗅ぎつける、その妙な嗅覚は案外、鋭いのかもしれない。
「は? 何のためにだい?」
「もちろん、私のドレスを作ってもらうために決まってるじゃない! サンテリオで売れっ子のデザイナーの服なんて、とても手が届かないと思っていたけれど……これでいくらでも手に入るわ。だって、お姉ちゃんが作ってるんだもの。私が作ってもらって当然でしょう?」
「なるほど……確かにそうだ。マリアがそんなに活躍しているんだったら、私たちも少し助けてもらおうか。よし、早速みんなでサンテリオ侯爵領に行こうじゃないか!」
ソフィアの父親が良いことを思いついたとばかりに顔を輝かせた。
(いったい、どの口がそんなことを言っているんだろう。マリアにあんなことをしておいて、助けてくれると思っているのか……? ……あ、待てよ。僕はこいつらに騙されて、こんなことになったんだ。だから、真摯に謝れば許してくれるかもしれない!)
「そうですね。もしそれがマリアだったら、僕たちは今までのことを謝って、元のあるべき理想の状態に戻さなければいけませんね」
(誠心誠意、謝って許してもらおう。そしてソフィアを捨てて、マリアと結婚するんだ。マリアがいてくれれば、僕はまた幸せになれる! 彼女は無駄遣いなんてしないし、すばらしい売れっ子デザイナーに成長しているなら……ブロック服飾工房だって、今よりずっと儲かるはずだ! すごい、すごいぞ!)
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