(完結)夫からナンパされましたが、どうやら夫は私を愛していなかったようです

青空一夏

文字の大きさ
1 / 3

1

しおりを挟む
 私はエメ男爵家の長女マトゥタ。勉強が好きだったから成績は常に王立貴族学園でトップだった。ピンクの髪と瞳で色っぽい顔立ちの私はバカだと思われており、何度もカンニングを疑われ私だけに監視員がついたほどだ。なんの種も仕掛けもない、実力だとわかってもらうのに半年はかかった。

 学年トップをずっと通してきた私は文官になり、王宮勤めが始まった。またそこでも不正に文官になったのではないかと疑われ、男性達からは性の対象としてセクハラを受け、女性達からは意味もなく目の敵にされた。

 私は自分の髪を黒く染め伊達眼鏡をかけ、瞳がかくれるように前髪を伸ばす。大きめのバストはなるべく目立たないように細いウエストにはタオルを二重に巻き、身体の曲線美を隠すようになった。

 それからはとても平穏な日々が続き、順調に出世していった。容姿が良くても私のようなタイプは損をするということを学ぶ。だから仕事場では常に染め粉と伊達眼鏡で武装をしてきたのだった。




 一方、プライベートでは染め粉を落として眼鏡はかけない。オンとオフを使い分けて、それなりに楽しく生活をする日々だった。

 職場でちょっとしたミスをし、助けてくれたのをきっかけに仲良くなった先輩は、ペリヤ男爵家次男のハーマン様。それから頻繁に話すようになり交際を申し込まれ、スピード結婚したのだが・・・・・・彼には武装した姿しか見せていなかった。


「わたしは派手な女が苦手だから君といると落ち着くんだよ」
 このような言葉をいつも言われていたら、自分の本来の姿は見せづらかったのだ。

(まずいわ。私、素顔は決して地味じゃない。どちらかと言えば派手なのですが・・・・・・)
 心の中でそうつぶやいたけれど、もうハーマン様が好きになっていたから隠し通すしかなかった。

 初夜でも染め粉はつけたまま、身体は見せないように暗くしてもらい、短時間で事を終わらせていただく。ハーラン様は私が恥ずかしがり屋だと思い込んでいたので、少しも怪しまれなかった。

 私は平凡な幸せを手に入れたの。同じ文官の先輩と結婚し、清く正しく生きる毎日にとても満足していたのだ。





 ある日のこと、王立遊泳プールに泳ぎに行くのが趣味の私は、有給を取ってそこに向かう。プールに行くと染め粉がとれてしまうのでピンクの髪のまま、眼鏡はかけずに薄化粧をし水着を着て泳ごうとすると・・・・・・いつも見慣れた顔がこちらに向かって微笑みかける。

(まずい、なんで私だとわかったの?)

 微笑みかけてきたのは私の夫ハーマンで、こちらに嬉しそうにやって来る。

「こんにちは! ここにはよくいらっしゃるのですか? わたしはマキシムと申します。素敵な美女のあなたのお名前を教えていただけませんか?」

 私は夫にナンパされたのだった。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

【完結】離縁されたので実家には戻らずに自由にさせて貰います!

山葵
恋愛
「キリア、俺と離縁してくれ。ライラの御腹には俺の子が居る。産まれてくる子を庶子としたくない。お前に子供が授からなかったのも悪いのだ。慰謝料は払うから、離婚届にサインをして出て行ってくれ!」 夫のカイロは、自分の横にライラさんを座らせ、向かいに座る私に離婚届を差し出した。

なんでそんなに婚約者が嫌いなのかと問われた殿下が、婚約者である私にわざわざ理由を聞きに来たんですけど。

下菊みこと
恋愛
侍従くんの一言でさくっと全部解決に向かうお話。 ご都合主義のハッピーエンド。 小説家になろう様でも投稿しています。

「あなたの好きなひとを盗るつもりなんてなかった。どうか許して」と親友に謝られたけど、その男性は私の好きなひとではありません。まあいっか。

石河 翠
恋愛
真面目が取り柄のハリエットには、同い年の従姉妹エミリーがいる。母親同士の仲が悪く、二人は何かにつけ比較されてきた。 ある日招待されたお茶会にて、ハリエットは突然エミリーから謝られる。なんとエミリーは、ハリエットの好きなひとを盗ってしまったのだという。エミリーの母親は、ハリエットを出し抜けてご機嫌の様子。 ところが、紹介された男性はハリエットの好きなひととは全くの別人。しかもエミリーは勘違いしているわけではないらしい。そこでハリエットは伯母の誤解を解かないまま、エミリーの結婚式への出席を希望し……。 母親の束縛から逃れて初恋を叶えるしたたかなヒロインと恋人を溺愛する腹黒ヒーローの恋物語。ハッピーエンドです。 この作品は他サイトにも投稿しております。 扉絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:23852097)をお借りしております。

断罪されたので、私の過去を皆様に追体験していただきましょうか。

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢が真実を白日の下に晒す最高の機会を得たお話。 小説家になろう様でも投稿しています。

妻を蔑ろにしていた結果。

下菊みこと
恋愛
愚かな夫が自業自得で後悔するだけ。妻は結果に満足しています。 主人公は愛人を囲っていた。愛人曰く妻は彼女に嫌がらせをしているらしい。そんな性悪な妻が、屋敷の最上階から身投げしようとしていると報告されて急いで妻のもとへ行く。 小説家になろう様でも投稿しています。

遊び人の侯爵嫡男がお茶会で婚約者に言われた意外なひと言

夢見楽土
恋愛
侯爵嫡男のエドワードは、何かと悪ぶる遊び人。勢いで、今後も女遊びをする旨を婚約者に言ってしまいます。それに対する婚約者の反応は意外なもので…… 短く拙いお話ですが、少しでも楽しんでいただければ幸いです。 このお話は小説家になろう様にも掲載しています。

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

学園にいる間に一人も彼氏ができなかったことを散々バカにされましたが、今ではこの国の王子と溺愛結婚しました。

朱之ユク
恋愛
ネイビー王立学園に入学して三年間の青春を勉強に捧げたスカーレットは学園にいる間に一人も彼氏ができなかった。  そして、そのことを異様にバカにしている相手と同窓会で再開してしまったスカーレットはまたもやさんざん彼氏ができなかったことをいじられてしまう。  だけど、他の生徒は知らないのだ。  スカーレットが次期国王のネイビー皇太子からの寵愛を受けており、とんでもなく溺愛されているという事実に。  真実に気づいて今更謝ってきてももう遅い。スカーレットは美しい王子様と一緒に幸せな人生を送ります。

処理中です...