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(マキシムって誰よ? 偽名がすぐに出てくるなんて手慣れているわね。しかもハーマンは出勤しているはずなのだけれど・・・・・・)
「名乗るほどの者ではありませんわ。では、失礼します」
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。ここで知り合ったのもなにかの縁ですよ。あちらでアイスコーヒーでもご馳走しますからおしゃべりを楽しみませんか?」
「私は結婚していますのよ。ですから、男性とおしゃべりをするつもりはありません」
「あぁ、そうなのですか? 偶然だなぁ。実はわたしも結婚しています。妻はあなたと違って冴えないデブ女です。あなたの旦那様が羨ましいですよ」
(私の旦那様はあんただけどね)
私はイライラとハーマンを睨み付けた。見ず知らずの女に妻の愚痴をこぼすなんて最低よ。違うか・・・・・・妻に妻の悪口を言うって・・・・・・バカみたい、嫌になるわね。
「その怒った顔も素敵ですよ。だったら一緒に泳ぎましょう」
無理矢理後からついてくるのが鬱陶しい。
無視して私は自分のペースで泳ぐ。水の中はほどよく冷たくて心地良い。30分ほど泳ぎを堪能した後に、私はプールサイドに上がった。
「お疲れ様、これどうぞ。アイスコーヒーだよ。さぁ、あちらに行って一緒に飲もう」
まだいたんだ。すごくしつこい。
「あなたは誰にでもこんなにしつこいの? 奥様にバレるわよ」
「妻はわたしを品行方正な正義感溢れる男と思っている。こう見えて固い職業なのさ。稼ぎもいいしね。もっとも、妻の方が稼いでいるけど。ふっふふふ」
「あら、奥様のほうが優秀なのね? 残念な男ねぇ」
これは事実だ。結婚する直前に、役職も給料も私の方が夫より上になっていたのだ。
「うん、だから結婚したんだよ。だって稼ぐ妻なら給料を全部家にいれなくてもいいからね。半分は自由に使える」
(確かにかなり夫の給料は自由に使わせているわ。来月からはもっと家にお金を入れさせてやろう!)
「まさかそれで結婚したの? 愛してないわけ?」
「あぁ。わたしはあなたのようなボンキュッボンな女性が大好きだからね。うちの妻ときたら顔は冴えないしボンボンボンだから。あっはははは」
(あほんだら! 死ね)
初めて会ったはずの女性に、ここまで妻のことを悪く話すなんて、私の愛は一気に冷める。もう怒りしかわかないわ。
翌日職場で、夫の部署の部長オスヴァルド・レンドンに声をかけた。彼はレンドン伯爵家の次男だ。
「夫の今月の休みの申請書を私に見せてくださらない?」
「いいですよ。夫の休みのチェックですか? 穏やかじゃないですね? ハーマンの本性が、やっとわかったのですか? だからわたしにしておいた方がいいと言ったでしょう?」
ハーマンと結婚する前に、確かに彼は止めてくれた。
「そうね。王立貴族学園時代の学友の話は、ちゃんと聞くべきだったわ」
オスヴァルドは同級生だった。学年首位争いをしていたライバルの一人だったのだ。
「そういうことですよ。マトゥタはもう部長にまで登り詰めたのです。その変装もそろそろ卒業でいいと思いますよ。ありのままの姿で愛してくれる男が一番なのですから。例えばわたしのようなね。職場のちょっとしたミスを助けられただけで惚れるなんて、どこまでウブなのですか? あのミスはきっとあいつが仕向けたのですよ」
「まさか・・・・・・まぁ、済んだことはどうでもいいわ。とにかく、これからやることだけはわかっているつもりよ」
私は夫の休みに探偵を雇い尾行させた。すると、女に次々と声をかけ私の悪口を言い笑い、ホテル街に消えていく夫の報告書がどっさりと私の前に置かれた。写真を見れば、ばっちりとホテルに入ってから出てくる姿を捕らえている。
どうやら夫は私を愛していなかったようだ。
さてと、どうやって復讐しましょうか?
「名乗るほどの者ではありませんわ。では、失礼します」
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。ここで知り合ったのもなにかの縁ですよ。あちらでアイスコーヒーでもご馳走しますからおしゃべりを楽しみませんか?」
「私は結婚していますのよ。ですから、男性とおしゃべりをするつもりはありません」
「あぁ、そうなのですか? 偶然だなぁ。実はわたしも結婚しています。妻はあなたと違って冴えないデブ女です。あなたの旦那様が羨ましいですよ」
(私の旦那様はあんただけどね)
私はイライラとハーマンを睨み付けた。見ず知らずの女に妻の愚痴をこぼすなんて最低よ。違うか・・・・・・妻に妻の悪口を言うって・・・・・・バカみたい、嫌になるわね。
「その怒った顔も素敵ですよ。だったら一緒に泳ぎましょう」
無理矢理後からついてくるのが鬱陶しい。
無視して私は自分のペースで泳ぐ。水の中はほどよく冷たくて心地良い。30分ほど泳ぎを堪能した後に、私はプールサイドに上がった。
「お疲れ様、これどうぞ。アイスコーヒーだよ。さぁ、あちらに行って一緒に飲もう」
まだいたんだ。すごくしつこい。
「あなたは誰にでもこんなにしつこいの? 奥様にバレるわよ」
「妻はわたしを品行方正な正義感溢れる男と思っている。こう見えて固い職業なのさ。稼ぎもいいしね。もっとも、妻の方が稼いでいるけど。ふっふふふ」
「あら、奥様のほうが優秀なのね? 残念な男ねぇ」
これは事実だ。結婚する直前に、役職も給料も私の方が夫より上になっていたのだ。
「うん、だから結婚したんだよ。だって稼ぐ妻なら給料を全部家にいれなくてもいいからね。半分は自由に使える」
(確かにかなり夫の給料は自由に使わせているわ。来月からはもっと家にお金を入れさせてやろう!)
「まさかそれで結婚したの? 愛してないわけ?」
「あぁ。わたしはあなたのようなボンキュッボンな女性が大好きだからね。うちの妻ときたら顔は冴えないしボンボンボンだから。あっはははは」
(あほんだら! 死ね)
初めて会ったはずの女性に、ここまで妻のことを悪く話すなんて、私の愛は一気に冷める。もう怒りしかわかないわ。
翌日職場で、夫の部署の部長オスヴァルド・レンドンに声をかけた。彼はレンドン伯爵家の次男だ。
「夫の今月の休みの申請書を私に見せてくださらない?」
「いいですよ。夫の休みのチェックですか? 穏やかじゃないですね? ハーマンの本性が、やっとわかったのですか? だからわたしにしておいた方がいいと言ったでしょう?」
ハーマンと結婚する前に、確かに彼は止めてくれた。
「そうね。王立貴族学園時代の学友の話は、ちゃんと聞くべきだったわ」
オスヴァルドは同級生だった。学年首位争いをしていたライバルの一人だったのだ。
「そういうことですよ。マトゥタはもう部長にまで登り詰めたのです。その変装もそろそろ卒業でいいと思いますよ。ありのままの姿で愛してくれる男が一番なのですから。例えばわたしのようなね。職場のちょっとしたミスを助けられただけで惚れるなんて、どこまでウブなのですか? あのミスはきっとあいつが仕向けたのですよ」
「まさか・・・・・・まぁ、済んだことはどうでもいいわ。とにかく、これからやることだけはわかっているつもりよ」
私は夫の休みに探偵を雇い尾行させた。すると、女に次々と声をかけ私の悪口を言い笑い、ホテル街に消えていく夫の報告書がどっさりと私の前に置かれた。写真を見れば、ばっちりとホテルに入ってから出てくる姿を捕らえている。
どうやら夫は私を愛していなかったようだ。
さてと、どうやって復讐しましょうか?
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