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オードリーとお父様の処罰

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 王妃様はおっしゃいました。

「愚かな話ですね。オードリーといいましたか? 貴方が義理の娘を娼館にやったというのなら大罪ですね。この国には、”目には目を歯には歯を”という法律があるのをご存じですか?それが、事実なら貴女は娼館に送られます」

「王妃様。諸悪の根源は今は亡き妹の夫のジョーダン・フレーク男爵です。あの者も呼びましょう」

 お母様は、お父様も呼ぶようにおっしゃり、フレーク男爵家が勢揃いすることになりましたよ。

 さきほどまで、呆然としていたオードリはお父様が来たことで勇気づけられたようです。俄然、目に生気が宿ってきましたよ。

「王妃様に申し上げます。娼婦になりたがったのはこの娘です。なぜなら、妹の婚約者を寝取ろうとするほどの男好きです。ですから、私どもは、良かれと思ってそうしたのですよ」


 新たにやって来たお父様は状況がよくおわかりになっていないようだ。神妙な顔つきで私とお母様を見つめていらしゃった。お母様は、そんなお父様に苦笑しながら女侯爵らしい威圧的な挨拶をなさいました。

「貴方がフレーク男爵か? なるほど、愚かな私の妹が好きそうな薄っぺらくも美しい男だな。私は貴方の妻だった門番の娘と名乗っていた、いかれた女の実の姉だ。ルドレア女侯爵だ。姪がとても貴方のお世話になったそうじゃないか? 今では、ジョセフィーヌは私の実子扱いの養女となっている。さぁ、貴方の大恩に私もお礼を言える。今日は誠に吉日だ。そう思うだろう?」

 お父様は、目を見開いて汗を大量に流しておられました。そんなに、今日は暑くはありませんがね。

「王妃様。実の娘を娼館にやろうとする貴族の男はどうしたらよいのでしょうか?」

 お母様は楽しむように王妃様に問いかけました。

「ふむ。それは、もちろん、”目には目を歯には歯を”でしょう? 男娼になればよい。少し歳はいっているが、まだ充分いい男ではないですか。客もそこそこ付きましょう。そして、そちらのオードリーは娼婦になると良いですね。男爵家はお取り潰しとしましょう。罪状は王太子暗殺未遂ですね」

「お待ちください。暗殺未遂?全く身に覚えがありません!」

「あら、まぁ。自分の妻も監督できないとは! あなたの妻は王太子の馬車に娘を飛び込まさせたのですよ?王太子と知っての狼藉でしょう?」

 王妃様は、にっこり笑いながら、さらに続けたのだった。

「私のお気に入りのジョセフィーヌ嬢にそのようなまねをして、ただですむと思いますか? ジョセフィーヌ嬢は次期女侯爵ですよ? 口答えは即ち死を意味します。 さぁ、選びなさい! 名誉ある死か、無様に生きるか?」

 王家の騎士達が、剣の刃をお父様につきつけました。

「し、死にたくはない。お願いです。助けてください。あぁ、ジョセフィーヌ! 王妃様に口添えしてくれ! 頼む。お前には、ちゃんとご飯も食べさせ、よくしてやっただろう? 恩知らずが。今こそ私の役に立て!」

 はぁーー、口添えですか? 困りましたね。

「王妃様。ぜひ、お父様は叩かれることが多い場所にしていただけませんか? 私はよく体罰を受けました。叩く人は叩かれることも好きだと聞いたことがあります。是非、温情をお願いいたします」


「あら、よく叩かれていたですって? ふーーん。そうですか。それならば、特別な場所がいいでしょうね?」

 さぁ、どこにお父様は連れていかれるのでしょうか? お母様は、『ジョセちゃんは、考えなくていいことですよ』とおっしゃいましたよ。


 さて、次は妹のエラの番ですね。そのお話はまた明日にしましょうね。





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