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4 さよならステビア王国。ギャラット殿下、捨ててくれてありがとう!
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「ほぉ? ステビアの王太子に捨てられたのか? それは面白いな。ますます興味がわいた。私はあなたをけっして捨てないと約束しよう。さぁ、どうぞ私の馬に一緒に・・・・・・おっと、あなたは軽すぎるなぁ。もっと食べなさい」
どこからか現れた駿馬に私を抱きかかえながら飛び乗ると、まるで保護者気取りでそうおっしゃいます。
「きゃっ! ちょ、ちょっと! わたし、私は流行病なんです。ロラン王太子殿下の国では流行っていると聞きました不治の病ですわ。だから触らないで!」
「あぁ、あれか。あれはね、もう特効薬が開発されている。ちなみに私は予防接種済みだから感染しない。我が国の者はほとんど対処済みだし、もうあれは脅威でもなんでもないぞ。ステビア王国の情報とはなんと遅れていることよ・・・・・・呆れるなぁ」
私を抱きかかえてクスクス笑うロラン・マスカレード殿下は綺麗なオレンジ色の瞳に明るい金髪の陽気な方なのでした。
私は思わず頬を赤らめて顔を俯かせますと、
「うん、君はとても綺麗だね。大丈夫。私の国で治療をうけて妹のデイジーのお菓子を毎日食べれば元気になるよ」と、おっしゃいます。
「妹? お菓子?」
「そう、私には妹がいてね。お菓子作りが最近の趣味だ。毎日毎日、アップルパイやらクッキーやら焼きまくって私達はお菓子責めさ。ちょうど話相手になる専属侍女がほしいと言っていた。デイジーの専属侍女になれば良い。なにも心配はない。あなたはきっと高位貴族の娘だろう?」
「はい。ハワード公爵家の長女です。王太子妃候補でした。でも病にかかったのでこの度、あっさり捨てられました」
「ふふふ。そうか・・・・・・捨ててくれてありがたい。私が喜んでもらい受けよう。さぁ、故郷にお別れを言うといい」
「はい。ステビア王国よ、ギャラット王太子殿下、私を捨ててくれてありがとう!」
「うん、良い子だ。いい挨拶ができたね。では行こうか? あなたは私のものだ」
(私は助かったみたい・・・・・・デイジー様は見たこともないけれどきっと悪い子じゃないはず。だって美味しいお菓子を作るのが趣味ならば良い子に違いない)
私は甘いお菓子が大好きだった。それにロラン殿下がおっしゃる”私のものだ”はマスカレードの民として受け入れてくれたという意味だと思い、ほっとしたのだった。仕事ももらえるようだし、とりあえず生きて行けそうだ。
私はホッとしてついロラン王太子殿下の腕に抱かれてウトウトとし始め、また頭上でクスクスと笑われた。
「まるで猫だな。さっきまで助けるな! と威嚇したと思えばすり寄って甘えてくる。まぁ、いい。こういうのは・・・・・・悪くない」
「はいはい。漸く王太子殿下にも春が来たようですね。まぁ、いいことですよ。この方は隣国出身とはいえ公爵家の娘。身分的には問題ないでしょう」
ロラン王太子殿下の腕で眠りに落ていく私の耳に、彼の側近の声が嬉しそうにはしゃいで聞こえてきたのであった。
一方、ステビア王国では大変なことが起こり始めていた。それは流行病が蔓延しはじめて・・・・・・
✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼••┈┈••✼
次回、マリアンの去った後のステビア王国では・・・・・・
どこからか現れた駿馬に私を抱きかかえながら飛び乗ると、まるで保護者気取りでそうおっしゃいます。
「きゃっ! ちょ、ちょっと! わたし、私は流行病なんです。ロラン王太子殿下の国では流行っていると聞きました不治の病ですわ。だから触らないで!」
「あぁ、あれか。あれはね、もう特効薬が開発されている。ちなみに私は予防接種済みだから感染しない。我が国の者はほとんど対処済みだし、もうあれは脅威でもなんでもないぞ。ステビア王国の情報とはなんと遅れていることよ・・・・・・呆れるなぁ」
私を抱きかかえてクスクス笑うロラン・マスカレード殿下は綺麗なオレンジ色の瞳に明るい金髪の陽気な方なのでした。
私は思わず頬を赤らめて顔を俯かせますと、
「うん、君はとても綺麗だね。大丈夫。私の国で治療をうけて妹のデイジーのお菓子を毎日食べれば元気になるよ」と、おっしゃいます。
「妹? お菓子?」
「そう、私には妹がいてね。お菓子作りが最近の趣味だ。毎日毎日、アップルパイやらクッキーやら焼きまくって私達はお菓子責めさ。ちょうど話相手になる専属侍女がほしいと言っていた。デイジーの専属侍女になれば良い。なにも心配はない。あなたはきっと高位貴族の娘だろう?」
「はい。ハワード公爵家の長女です。王太子妃候補でした。でも病にかかったのでこの度、あっさり捨てられました」
「ふふふ。そうか・・・・・・捨ててくれてありがたい。私が喜んでもらい受けよう。さぁ、故郷にお別れを言うといい」
「はい。ステビア王国よ、ギャラット王太子殿下、私を捨ててくれてありがとう!」
「うん、良い子だ。いい挨拶ができたね。では行こうか? あなたは私のものだ」
(私は助かったみたい・・・・・・デイジー様は見たこともないけれどきっと悪い子じゃないはず。だって美味しいお菓子を作るのが趣味ならば良い子に違いない)
私は甘いお菓子が大好きだった。それにロラン殿下がおっしゃる”私のものだ”はマスカレードの民として受け入れてくれたという意味だと思い、ほっとしたのだった。仕事ももらえるようだし、とりあえず生きて行けそうだ。
私はホッとしてついロラン王太子殿下の腕に抱かれてウトウトとし始め、また頭上でクスクスと笑われた。
「まるで猫だな。さっきまで助けるな! と威嚇したと思えばすり寄って甘えてくる。まぁ、いい。こういうのは・・・・・・悪くない」
「はいはい。漸く王太子殿下にも春が来たようですね。まぁ、いいことですよ。この方は隣国出身とはいえ公爵家の娘。身分的には問題ないでしょう」
ロラン王太子殿下の腕で眠りに落ていく私の耳に、彼の側近の声が嬉しそうにはしゃいで聞こえてきたのであった。
一方、ステビア王国では大変なことが起こり始めていた。それは流行病が蔓延しはじめて・・・・・・
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次回、マリアンの去った後のステビア王国では・・・・・・
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