(完結)お姉様の恋人をとってもいいでしょう?(全6話)

青空一夏

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1 姉の恋人を奪うことにしたわ(妹視点)

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 私とお姉様は、オマール男爵家の娘ではあったが、兄が家督を継いでいるので爵位はない。お姉様は、女実業家で会社を経営していて、三年前に実家を出ていて羽振りが良かった。兄が結婚して実家に居づらくなった私は、ここにただで住まわせてもらっていた。

 持つべきものはお金の稼げる姉よね? ここは、庭園もある立派な屋敷で実家の男爵家よりも広いぐらいだった。

 お姉様は、仕事ができるし、ちょっときつめな顔立ちの眼鏡美人だ。実際、眼鏡を取ってあのひっつめた髪型をやめれば、かなりの美女だと思うが、仕事の時は必ず眼鏡をしていた。美人で仕事もできて、お金も稼げる、最高に成功した女がお姉様よ?

 そう、考えるとなにか、むかついてきたな・・・私は、赤毛の大きな緑の瞳の、色っぽいと言われるタイプだった。姉とは正反対だ。姉はブロンドに、少しだけつり上がった感じのアイスブルーの瞳で、まさに仕事ができる経営者の風貌だった。

 私は、この姉にいつも負けていたわ・・・ダンスも勉強も・・・だから、結婚相手ぐらいは勝ちたいな・・・

 私はしばらく考えて・・・とてもいいことを思いついたのよ。お姉様の恋人は、きっとハイスペックでしょう? それなら、お姉様の恋人を奪えばいいのよ。そうすれば、私は絶対に幸せになれるわ。お姉様から私に乗り換えさせることができたら私が勝ったってことだし・・・


*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚


 お姉様から、これから彼が来ると聞かされていた私は、庭園で待ち構えていた。

「こんにちは。エイミーはいるかな? 僕はマーカスだよ。これから、頻繁にこの屋敷に来ると思うけれどよろしくね?」

 そう言って微笑んだ彼に、私はポーッとなった。一目惚れして、その瞬間に失恋したようなものかな? こんなに素敵な彼氏だとは思わなかったから、少しびっくりした。奪ってもいいわよね? 欲しいものは実力で奪い取るのよ? ってお母様も言っていたもの・・・もちろん、お姉様の彼を取れって意味ではないはずで、言われたのは子供の頃だったけれど・・・

「マーカス様。お姉様がいらっしゃるまで、の庭園を案内いたしますわ。今の時期は、赤い薔薇がとても綺麗ですのよ?」

 私は、自慢の長い赤毛を揺らしながら、マーカス様の腕をさりげなくさわった。ちょっとのボディタッチって有効なのよね? あんまり、ベタベタさわらないでほんの少しが効果的なのよ。

お姉様が来るまでに、なんとしても印象づけないといけないな。私は、とっておきの瞬きをしてみた。これは、ばさばさの睫を生きているかのように小刻みに揺らす高等技術なんだぞ。

 私が、マーカス様と楽しく話を弾ませていると、お姉様が上機嫌でやって来た。

「あら、庭園を案内してくれていたのね? アドリアーナは、とても気が利くのね?」

 お姉様は、私に、にっこりしたわ。もちろん、私も、にっこりと微笑みかえした。マーカス様は、私にお礼を言うと、お姉様と屋敷の奥に消えていった。


*:゚+。.☆.+*✩⡱:゚


 庭園に設置された四阿で、私はぼんやりと時が過ぎるのを待った。一時間ほどで、お姉様の彼が屋敷から出てきたところに、私は駆けつけた。

「今度は、いつ、いらっしゃるのですか? お茶を用意してお待ちしていますわ。早めにいらして、二人っきりでお茶をしませんこと?」

私は、とびっきり色っぽい甘い声を出したのだった。


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