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14 大魔女様による真実の薬にはこんな効果が・・・・・・(シルヴェスター視点)
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わたしは大魔女様からお借りしたマントを羽織り、商人達の馬車に潜り込みバイミラー王国に入った。姿が見えないことはとても便利だ。
王宮にも簡単に潜入できたから、まずはホイットニーを探す。ホイットニーは黒髪黒目の小柄な庇護欲を誘うタイプだが、エレアノールに雰囲気がそっくりで多分性格も似ているのだろうな、と思う。
侍女達に絶えず文句を言っており、人の容姿を貶し自分だけが可愛いと思っているところがうんざりだった。わたしは彼女のシャンプーに除毛剤を入れて、肌に塗る香油には育毛剤を混入した。
(これがせめてものわたしのささやかな復讐だ。あとはこの虹色の薬を食事中の3人の皿に均等に振りかけよう)
味は変わらないようで、料理の色も虹色には染まらない。彼らがパクパクと料理をたいらげたその後に、急激な変化が起こった。
まずはドビ王のふさふさした髪が、頭のてっぺんの3本ほどの毛を残し綺麗になくなった。目尻のシワが増えまぶたが腫れぼったくなっていく。先ほどまでの、ほどよく引き締まった身体がどんどんぶよぶよのたるんだ身体に変わり、侍従達や騎士達の腹が少しづつへこんでいく。
マミ王妃の若々しい肌にも年相応のたるみが現れ、やはり身体も肥えていった。可愛らしい顔も今では微妙で、それはホイットニーにも言えることだった。
「大変! お母様達の容姿が変わり果てていますわ。アリーチャーに言ってまた“変わり身の術”をかけてもらわないといけません。真実の姿に戻っています」
ホイットニーは慌てた様子で叫んだ。
「あら、本当だわ。あなたの身体がぶくぶくに太っていきますわよ。それ以上、食べてはダメよ」
マミ王妃はドビ王をたしなめる。
「嫌だ! 食うのだけが楽しみなのだぞ! 美味い物をたらふく食ってこの世の贅沢を味わう。マミだとてそう思うだろう? 早速アリーチャーに、『わたし達の劣化を周りの者に分配し、周りの者の美しさを横取りする魔法』をまたかけてもらわなければならぬ」
「確かに甘いケーキやお菓子はやめられませんわね。美味しい物を思いっきり食べ、不摂生な生活を満喫するには必要なことですわ。脂肪もニキビも病気も他人に肩代わりさせる素晴らしい魔法ですもの!」
「あぁ、お母様。このドレスきついわ! なんとかしてよ」
3人はパンパンにむくんだ身体で風船のように弾みながら、使用人達の前で秘密を大きな声で暴露し始めた。
(なるほど、そんなくだらない魔法をかけていたのか。真実の薬とは偽りの姿が解けることか・・・・・・そして、秘密は隠しておけない。心の声を洗いざらいぶちまけてしまう、ということに違いない)
使用人達や騎士達が3人の話を聞いて、それがどういうことかと詰め寄ると、3人は誤魔化すどころか自信を持ってこのように言い切った。
「私達はこの国を支配する者だから、お前達の良いところは私達のものよ。例えば、そこの侍女の滑らかな肌は私のものだし、あちらのメイドのスタイルの良さだって私の物だわ」
とホイットニー。
「その通りよ。私のシワやシミはお前達に均等に分けてあげる。そのかわり、お前達の若さや健康は私の物よ」
とマミ王妃。
「わたしの脂肪はお前らが負担しろ。そのかわり鍛えた筋肉や髪はわたしが貰う。これは王の特権だ。お前らはわたし達が良い思いをする為に生かされているだけだ。わたし達は永遠の若さと命を手に入れるのだ」
そのような言葉に騎士達は怒り、3人は即刻捕らえられた。
(やれやれ、本音を包み隠さず言ってしまう”真実の薬”か。これからきっといろいろと大変そうだ。真実の姿と真実の考えが公に晒されて、さぞや生きにくいことになるだろうよ)
わたしは忍び笑いをしながら帰途についた。それから3人は裁判にかけらたようだが、裁判でもきっと全部自白してしまうから窮地に立たされることになるだろうな、と思う。
ムーアクラフト王国に戻り、グラディス王女との結婚式の準備が着々と整っていく。彼女は結婚式の前日に、少し不安げに聞いてきた。
「本当に私でいいのですか?」と。
ドビ王達からの理不尽な扱いの後遺症(自分に自信が持てないこと)は、まだグラディス王女から完全には消えていない。これからずっと守っていき大事にして、元の自信溢れる元気な彼女に2,3年で戻してみせるさ。
(思いっきり甘やかせて萎縮した心を解放してあげよう)
「もちろんだとも。グラディスしか考えられないし、君がいいのだよ。末永くよろしくお願いします」
わたしは彼女の手をとりひざまずく。
「はい、よろしくお願いします」
ピンクの頬を真っ赤に染めて恥じらうグラディス王女は本当に美しい。
愛おしい女性を腕の中に抱き、わたしは心底この世に産まれたことを神に感謝したのだった。
「神様、ありがとうございます!」
わたしは愛するグラディス王女と結婚し、二人の母上に見守られて終生仲睦まじく暮らしたのだった。
୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧
アリーチャー:バイミラー王国に住まう魔女で、邪悪な魔法しか使わない。
次回は大魔女様がアリーチャーにお仕置きするお話。続いて3人の末路になります。
王宮にも簡単に潜入できたから、まずはホイットニーを探す。ホイットニーは黒髪黒目の小柄な庇護欲を誘うタイプだが、エレアノールに雰囲気がそっくりで多分性格も似ているのだろうな、と思う。
侍女達に絶えず文句を言っており、人の容姿を貶し自分だけが可愛いと思っているところがうんざりだった。わたしは彼女のシャンプーに除毛剤を入れて、肌に塗る香油には育毛剤を混入した。
(これがせめてものわたしのささやかな復讐だ。あとはこの虹色の薬を食事中の3人の皿に均等に振りかけよう)
味は変わらないようで、料理の色も虹色には染まらない。彼らがパクパクと料理をたいらげたその後に、急激な変化が起こった。
まずはドビ王のふさふさした髪が、頭のてっぺんの3本ほどの毛を残し綺麗になくなった。目尻のシワが増えまぶたが腫れぼったくなっていく。先ほどまでの、ほどよく引き締まった身体がどんどんぶよぶよのたるんだ身体に変わり、侍従達や騎士達の腹が少しづつへこんでいく。
マミ王妃の若々しい肌にも年相応のたるみが現れ、やはり身体も肥えていった。可愛らしい顔も今では微妙で、それはホイットニーにも言えることだった。
「大変! お母様達の容姿が変わり果てていますわ。アリーチャーに言ってまた“変わり身の術”をかけてもらわないといけません。真実の姿に戻っています」
ホイットニーは慌てた様子で叫んだ。
「あら、本当だわ。あなたの身体がぶくぶくに太っていきますわよ。それ以上、食べてはダメよ」
マミ王妃はドビ王をたしなめる。
「嫌だ! 食うのだけが楽しみなのだぞ! 美味い物をたらふく食ってこの世の贅沢を味わう。マミだとてそう思うだろう? 早速アリーチャーに、『わたし達の劣化を周りの者に分配し、周りの者の美しさを横取りする魔法』をまたかけてもらわなければならぬ」
「確かに甘いケーキやお菓子はやめられませんわね。美味しい物を思いっきり食べ、不摂生な生活を満喫するには必要なことですわ。脂肪もニキビも病気も他人に肩代わりさせる素晴らしい魔法ですもの!」
「あぁ、お母様。このドレスきついわ! なんとかしてよ」
3人はパンパンにむくんだ身体で風船のように弾みながら、使用人達の前で秘密を大きな声で暴露し始めた。
(なるほど、そんなくだらない魔法をかけていたのか。真実の薬とは偽りの姿が解けることか・・・・・・そして、秘密は隠しておけない。心の声を洗いざらいぶちまけてしまう、ということに違いない)
使用人達や騎士達が3人の話を聞いて、それがどういうことかと詰め寄ると、3人は誤魔化すどころか自信を持ってこのように言い切った。
「私達はこの国を支配する者だから、お前達の良いところは私達のものよ。例えば、そこの侍女の滑らかな肌は私のものだし、あちらのメイドのスタイルの良さだって私の物だわ」
とホイットニー。
「その通りよ。私のシワやシミはお前達に均等に分けてあげる。そのかわり、お前達の若さや健康は私の物よ」
とマミ王妃。
「わたしの脂肪はお前らが負担しろ。そのかわり鍛えた筋肉や髪はわたしが貰う。これは王の特権だ。お前らはわたし達が良い思いをする為に生かされているだけだ。わたし達は永遠の若さと命を手に入れるのだ」
そのような言葉に騎士達は怒り、3人は即刻捕らえられた。
(やれやれ、本音を包み隠さず言ってしまう”真実の薬”か。これからきっといろいろと大変そうだ。真実の姿と真実の考えが公に晒されて、さぞや生きにくいことになるだろうよ)
わたしは忍び笑いをしながら帰途についた。それから3人は裁判にかけらたようだが、裁判でもきっと全部自白してしまうから窮地に立たされることになるだろうな、と思う。
ムーアクラフト王国に戻り、グラディス王女との結婚式の準備が着々と整っていく。彼女は結婚式の前日に、少し不安げに聞いてきた。
「本当に私でいいのですか?」と。
ドビ王達からの理不尽な扱いの後遺症(自分に自信が持てないこと)は、まだグラディス王女から完全には消えていない。これからずっと守っていき大事にして、元の自信溢れる元気な彼女に2,3年で戻してみせるさ。
(思いっきり甘やかせて萎縮した心を解放してあげよう)
「もちろんだとも。グラディスしか考えられないし、君がいいのだよ。末永くよろしくお願いします」
わたしは彼女の手をとりひざまずく。
「はい、よろしくお願いします」
ピンクの頬を真っ赤に染めて恥じらうグラディス王女は本当に美しい。
愛おしい女性を腕の中に抱き、わたしは心底この世に産まれたことを神に感謝したのだった。
「神様、ありがとうございます!」
わたしは愛するグラディス王女と結婚し、二人の母上に見守られて終生仲睦まじく暮らしたのだった。
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アリーチャー:バイミラー王国に住まう魔女で、邪悪な魔法しか使わない。
次回は大魔女様がアリーチャーにお仕置きするお話。続いて3人の末路になります。
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