(完結)真実の愛っていいですね、どうぞお幸せに!

青空一夏

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8 あなたは爵位も継げない男爵家三男の子供

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「ふふふっ。キャサリン第2妃殿下、その必要はございませんわ。実は鑑定は済んでおりますの。王宮にいる侍女やメイド達は私のお願いをとてもよく聞いてくれます。ですから国王陛下とスタンフォード王太子殿下の髪の毛や歯ブラシなどはいくらでも手に入りました」

 そのようにキャサリン第2妃殿下に申し上げた私は、にっこりと微笑んだ。親子関係存否の鑑定証は数日前に届いたばかりで、主だった貴族達の屋敷にでも送りつけようかと考えていたから、その結果の詳細を徹夜で書き写していたのよ。

(スタンフォード王太子殿下も国王陛下も使用人達の力を侮りすぎていたわよね。本当に愚かな人達だわ)

 使用人同志の結束力は固く、共通の敵を見いだせばあっという間に一枚岩になることを忘れてはならないし、特に侍女達の情報網はすごいのよ。彼女達は私にスタンフォード王太子殿下の母親であるジェンナ王妃についてたっぷりと教えてくれた。

「スタンフォード王太子殿下の母親は、頭の弱い国王陛下を誘惑した阿婆擦れですわ。王立貴族学園時代に男漁りを散々していた下品な女でした」

「ジェンナ王妃殿下が学園時代に3人の男性と親しかったのは女性徒の間では有名でしたわ。スタンフォード王太子殿下の猫アレルギーは、ジェンナ王妃が当時付き合っていたクリーバリー男爵家三男の持病にそっくりです」

 侍女達とて貴族出身だ。同じ学園にジェンナ王妃と同時期に通った者も少なくはないのよ。そんな者達を敵に回したら、悪い噂を味方の私に洗いざらい漏らすことをなぜ考えないのかしら? 人間は負の噂話が大好きなのよ、特に女性はね。

  隣国の医学のめざましい発展は私の希望だった。スタンフォード王太子殿下の失脚は私が檻から抜け出すチャンス。身持ちの悪いジェンナ王妃と愚かな王に一矢報いる隠し球だったのだ。
 
 親子関係の存否を検査することに必要な物はいくつかあった。血液や口内の内側の粘膜を綿棒で取るなどは相手の協力がないと難しい。けれど使用済みの歯ブラシや毛髪用ブラシならいくらでも手に入る。所詮これらの物はゴミだもの、メイドは用途も聞かずに持って来てくれた。

「スタンフォード王太子殿下は99,999999・・・・・・パーセント、国王陛下のお子様ではございません! 全くの他人ですわ」

 そう言いながらよくわからない医学用語が駆使された証明書を貴族たちにばらまく。結論だけは誰が読んでもわかる内容よ。確率は99,99999・・・・・・・パーセント! 国王の子ではないという証明!

 膝から崩れ落ちたスタンフォード王太子殿下は何を思うのだろうか? そして先ほどまでぴったりと寄り添っていたマリーが少しづつ後ずさりしている姿が滑稽だった。

 華美すごるドレスを纏った不貞女ジェンナ王妃は血の気の引いた顔でこちらを見ていた。  
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