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9 帝国の大使が夜会にいて良かったわ
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「まさか! お前、儂を長年騙していたのか! こっ、この女狐め」
国王陛下がジェンナ王妃殿下の肩を掴み前後に揺らす。なんなら、その首でも絞めて殺しそうな勢いだ。
「お止めください、狐が可哀想です。そのような托卵をするような女性と狐を一緒にするなどあってはならないことです。キタキツネなどは雄でも育児に参加して、夫婦で仲良く子育てするそうですわ。健気な狐とそのジェンナ王妃殿下を一緒にするなんて狐に失礼です」
私は動物好きなので、つい国王陛下をたしなめてしまう。ジェンナ王妃殿下を責めるより自分の愚かさを反省するべきなのにと思う。
私がばらまいた鑑定証の写しをその場にいた貴族達全てが見ることになり、スタンフォード王太子殿下とジェンナ王妃殿下には冷たい視線が向けられていた。
それなのにまだジェンナ王妃殿下は下手な誤魔化しや言い訳で覆すことができると思っているようだった。
「全く身に覚えのないことだわ。この小娘が適当なことを言っているのよ。こんなのデタラメよ」
ジェンナ王妃殿下は私を小娘呼ばわりしこの書類がデタラメだと、隣国の検査機関を否定するような問題発言をしだしたのよ。
「ほぉーー。ハンマーシュトレーム帝国に喧嘩を売るおつもりか? これは我が国の最新医学が導き出した結果の写しでしょう? 皇帝は我が国の検査機関に大いなる誇りを持っておられます。それがデタラメだと、そうおっしゃるわけですか?」
そういえばここには隣国であるハンマーシュトレーム帝国の大使が出席されていたのだわ。この場でスタンフォード王太子殿下が私と離縁する発言をしてくださったことは、まさに僥倖以外のなにものでもないのだった。
大帝国の大使を前にジェンナ王妃殿下はそれ以上文句を言えなかったし、スタンフォード王太子殿下も同様だった。この結果に異論を唱えるのは帝国を否定することと同義だからだ。
けれどあんまりスタンフォード王太子殿下が、がっかりした顔をしていたのでちょっとだけ慰めてさしあげた。
「大丈夫ですわよ。多分、あなたはクリーバリー男爵家の三男ロナルド様の子供ですわ。だって同じく猫アレルギーの持病があったのですって。最近のスタンフォード王太子殿下の皮膚の痒みは猫アレルギーでしてよ? ご本人も知らないことを私が知っているのもおかしな話しですけれど」
「なぜ、そのようなことがわかるのだ?」
「侍女達はほとんど低位貴族出身の者達で、ジェンナ王妃殿下と同じ学園に通った者達ですわ。ジェンナ王妃殿下の先輩だったり同級生だったり後輩だったりね。そこであなたのお母様がとてもロナルド様と親しかったのを目撃した者が何人もいます。猫アレルギーが一緒だそうですから、スタンフォード王太子殿下とロナルド様は親子ではないかと噂になっておりますわよ」
「誰だ? そのような下らぬ噂を流した奴は! 即刻首を刎ねるぞ」
「お黙りなさい! そなたはもう王太子ではないし、王子ですらないのですよ。王家の血が一滴も流れていないのに王宮の侍女達の首が撥ねられるわけがないでしょう。それに噂話ぐらいで首を刎ねるなど王家への不信感につながります」
キャサリン第2妃殿下がスタンフォード王太子殿下をたしなめた。
「俺は王太子だ。王太子のはずなんだ」
あれほど俺様な人が泣き崩れるなんて哀れなものよね。
「がっかりすることはありませんわよ。あなたには真実の愛があるではありませんか? ほらマリーと手を取り合って幸せにお暮らしなさいませ。マリー! なにを後ずさっているのかしら? ここから逃げるおつもりですか?」
「そうであった。俺にはマリーがいた。なぁ、マリー、俺が王太子でなくても変わらず愛してくれるだろう? 子供のことは心配するな。どのような仕事をしてでも育てていくのに努力は惜しまない」
(ふーーん、わりとまともなことをおっしゃったわね。マリーのお腹にいる子が本当にスタンフォード王太子殿下の子供なら今のは悪くない言葉だわ)
けれどマリーが言った言葉は・・・・・・
国王陛下がジェンナ王妃殿下の肩を掴み前後に揺らす。なんなら、その首でも絞めて殺しそうな勢いだ。
「お止めください、狐が可哀想です。そのような托卵をするような女性と狐を一緒にするなどあってはならないことです。キタキツネなどは雄でも育児に参加して、夫婦で仲良く子育てするそうですわ。健気な狐とそのジェンナ王妃殿下を一緒にするなんて狐に失礼です」
私は動物好きなので、つい国王陛下をたしなめてしまう。ジェンナ王妃殿下を責めるより自分の愚かさを反省するべきなのにと思う。
私がばらまいた鑑定証の写しをその場にいた貴族達全てが見ることになり、スタンフォード王太子殿下とジェンナ王妃殿下には冷たい視線が向けられていた。
それなのにまだジェンナ王妃殿下は下手な誤魔化しや言い訳で覆すことができると思っているようだった。
「全く身に覚えのないことだわ。この小娘が適当なことを言っているのよ。こんなのデタラメよ」
ジェンナ王妃殿下は私を小娘呼ばわりしこの書類がデタラメだと、隣国の検査機関を否定するような問題発言をしだしたのよ。
「ほぉーー。ハンマーシュトレーム帝国に喧嘩を売るおつもりか? これは我が国の最新医学が導き出した結果の写しでしょう? 皇帝は我が国の検査機関に大いなる誇りを持っておられます。それがデタラメだと、そうおっしゃるわけですか?」
そういえばここには隣国であるハンマーシュトレーム帝国の大使が出席されていたのだわ。この場でスタンフォード王太子殿下が私と離縁する発言をしてくださったことは、まさに僥倖以外のなにものでもないのだった。
大帝国の大使を前にジェンナ王妃殿下はそれ以上文句を言えなかったし、スタンフォード王太子殿下も同様だった。この結果に異論を唱えるのは帝国を否定することと同義だからだ。
けれどあんまりスタンフォード王太子殿下が、がっかりした顔をしていたのでちょっとだけ慰めてさしあげた。
「大丈夫ですわよ。多分、あなたはクリーバリー男爵家の三男ロナルド様の子供ですわ。だって同じく猫アレルギーの持病があったのですって。最近のスタンフォード王太子殿下の皮膚の痒みは猫アレルギーでしてよ? ご本人も知らないことを私が知っているのもおかしな話しですけれど」
「なぜ、そのようなことがわかるのだ?」
「侍女達はほとんど低位貴族出身の者達で、ジェンナ王妃殿下と同じ学園に通った者達ですわ。ジェンナ王妃殿下の先輩だったり同級生だったり後輩だったりね。そこであなたのお母様がとてもロナルド様と親しかったのを目撃した者が何人もいます。猫アレルギーが一緒だそうですから、スタンフォード王太子殿下とロナルド様は親子ではないかと噂になっておりますわよ」
「誰だ? そのような下らぬ噂を流した奴は! 即刻首を刎ねるぞ」
「お黙りなさい! そなたはもう王太子ではないし、王子ですらないのですよ。王家の血が一滴も流れていないのに王宮の侍女達の首が撥ねられるわけがないでしょう。それに噂話ぐらいで首を刎ねるなど王家への不信感につながります」
キャサリン第2妃殿下がスタンフォード王太子殿下をたしなめた。
「俺は王太子だ。王太子のはずなんだ」
あれほど俺様な人が泣き崩れるなんて哀れなものよね。
「がっかりすることはありませんわよ。あなたには真実の愛があるではありませんか? ほらマリーと手を取り合って幸せにお暮らしなさいませ。マリー! なにを後ずさっているのかしら? ここから逃げるおつもりですか?」
「そうであった。俺にはマリーがいた。なぁ、マリー、俺が王太子でなくても変わらず愛してくれるだろう? 子供のことは心配するな。どのような仕事をしてでも育てていくのに努力は惜しまない」
(ふーーん、わりとまともなことをおっしゃったわね。マリーのお腹にいる子が本当にスタンフォード王太子殿下の子供なら今のは悪くない言葉だわ)
けれどマリーが言った言葉は・・・・・・
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