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閑話 3話
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上空が真っ黒に染まり、大地を揺るがすような大音響の羽の音が轟く。
高位貴族の屋敷の上を移動していくのは、なんとドラゴンの群れだった。
先導しているのはドラゴンと豹を紋章にしているフェルナンド家当主ロベルト。
紋章つきの剣がキラリと光り多くの者がそれを目撃した。
噂は噂を呼び、膨れ上がる。
フェルナンド家当主ロベルトはドラゴンを100頭従えていた、いや1000だ!
しまいにはドラゴンの王も従える暗黒の魔王とも噂され諸外国の王たちを震え上がらせていた。
ルアンド帝国はトリスタン王国に合併を申し入れ、ロベルト公爵を王にと望んだ。
教皇や宰相、貴族たちも賛成したが、ロベルト本人が承諾しないのだ。
「困ったお人だ。もう、王より上の扱いで強行しよう。フェルナンド公爵は公爵といえど公爵にあらず!我らうちうちでは魔王様と呼ぼう」
「いや、それって本当の魔王様、怒らない?」
「え?魔王様って実際いるの?絵本の中だけだよねぇー?」
「あ、待って!もしかしたら、魔王様の誕生が今なのかも?」
「え?」
「えぇーーーー?」
◆◆☆
自分が魔王様と呼ばれていることを知らないロベルトは戴冠式で不機嫌な顔をしている。
「おい、魔王様、やっぱりあんな席じゃ不満なようだ」」
「うん。もっとはるか上段に黄金の席をつくるべきだったかな?」
「はぁーーー。怖いよーー俺、もう屋敷に帰りたい」
宰相は目にうっすら涙を浮かべている。
ロベルトは実際のところ、席の豪華さや特別扱いは望んでいない。
それぞれの思惑はやたらすれ違うのだった。
◆◆☆
辺境の地ではズルイーヨ王子が王と喧嘩していた。
「お前の愚策のおかげでこのざまだ!だから、フェルナンド公爵に逆らうな!と言ったのに」
「いや、父上!あなたも同意しましたよ。妙案だって。あ、ご飯こぼすのやめてくださいね!掃除が大変なんですから」
王はすっかりぼけてしまい、おなじことばかり言うようになっていた。
メイドもつかないこの2人はお互い文句をいいながら暮らしている。
食事だけは差し入れられるこの辺境の棟では、時間が止まっているかのようだ。
話題はいつもこれだけで、エンドレスに繰り返される。
ズルイーヨ王子は、自分もいつかは正気を失うと思い苦笑する。
たまに監視兵たちが噂するロベルトの話だけが英雄伝のように聞こえてくるだけだ。
「ロベルト様は王にはなりたくないっておっしゃったらしいぜ?」
「ふーーん、地位や権力に興味がないのか?珍しいお方だなぁー」
「そー言えば、もうすぐフェルナンド公爵家で婚姻があるだろう?諸外国から貢ぎ物が、ひっきりなしだそうだ。」
「あぁ、聞いた。王族の結婚式よりはるかに大がかりになりそうだってよ」
「すげーなぁ!俺も見てみたいよ。」
笑い合う兵士たちはロベルトにおおむね好意的だ。
それもそのはずで、辺境の地を守る兵士たちに厚待遇の法案を通したのがロベルトだからだ。
「魔王様は案外、いいお方だな!」
「あぁ、近隣の諸国も恐れをなして攻めてこないから戦もない。無駄死にする兵士もいなくなった。ありがたいことだ」
「うん、うん。」
ズルイーヨ王子はそれをきいていてむかっ腹をたてていた。
(なにが、魔王だ!
上級魔法の達人なら言ってくれれば良かったじゃないか!
ドラゴンの王まで従えているのなら見せてくれれば良かったじゃないか!
知っていたら、ロベルトを嵌めることなど考えなかったのに‥‥
しかも、それだけ力もあるのに王にはなりたくないだと!
お前の失敗は俺を殺さなかったことだ!
いずれ、痛い目に遭わせてやろう!
なんとしても!
生きている限りは‥‥)
新たに憎悪をむけたズルイーヨ王子は、残忍な笑みを浮かべるのだった。
高位貴族の屋敷の上を移動していくのは、なんとドラゴンの群れだった。
先導しているのはドラゴンと豹を紋章にしているフェルナンド家当主ロベルト。
紋章つきの剣がキラリと光り多くの者がそれを目撃した。
噂は噂を呼び、膨れ上がる。
フェルナンド家当主ロベルトはドラゴンを100頭従えていた、いや1000だ!
しまいにはドラゴンの王も従える暗黒の魔王とも噂され諸外国の王たちを震え上がらせていた。
ルアンド帝国はトリスタン王国に合併を申し入れ、ロベルト公爵を王にと望んだ。
教皇や宰相、貴族たちも賛成したが、ロベルト本人が承諾しないのだ。
「困ったお人だ。もう、王より上の扱いで強行しよう。フェルナンド公爵は公爵といえど公爵にあらず!我らうちうちでは魔王様と呼ぼう」
「いや、それって本当の魔王様、怒らない?」
「え?魔王様って実際いるの?絵本の中だけだよねぇー?」
「あ、待って!もしかしたら、魔王様の誕生が今なのかも?」
「え?」
「えぇーーーー?」
◆◆☆
自分が魔王様と呼ばれていることを知らないロベルトは戴冠式で不機嫌な顔をしている。
「おい、魔王様、やっぱりあんな席じゃ不満なようだ」」
「うん。もっとはるか上段に黄金の席をつくるべきだったかな?」
「はぁーーー。怖いよーー俺、もう屋敷に帰りたい」
宰相は目にうっすら涙を浮かべている。
ロベルトは実際のところ、席の豪華さや特別扱いは望んでいない。
それぞれの思惑はやたらすれ違うのだった。
◆◆☆
辺境の地ではズルイーヨ王子が王と喧嘩していた。
「お前の愚策のおかげでこのざまだ!だから、フェルナンド公爵に逆らうな!と言ったのに」
「いや、父上!あなたも同意しましたよ。妙案だって。あ、ご飯こぼすのやめてくださいね!掃除が大変なんですから」
王はすっかりぼけてしまい、おなじことばかり言うようになっていた。
メイドもつかないこの2人はお互い文句をいいながら暮らしている。
食事だけは差し入れられるこの辺境の棟では、時間が止まっているかのようだ。
話題はいつもこれだけで、エンドレスに繰り返される。
ズルイーヨ王子は、自分もいつかは正気を失うと思い苦笑する。
たまに監視兵たちが噂するロベルトの話だけが英雄伝のように聞こえてくるだけだ。
「ロベルト様は王にはなりたくないっておっしゃったらしいぜ?」
「ふーーん、地位や権力に興味がないのか?珍しいお方だなぁー」
「そー言えば、もうすぐフェルナンド公爵家で婚姻があるだろう?諸外国から貢ぎ物が、ひっきりなしだそうだ。」
「あぁ、聞いた。王族の結婚式よりはるかに大がかりになりそうだってよ」
「すげーなぁ!俺も見てみたいよ。」
笑い合う兵士たちはロベルトにおおむね好意的だ。
それもそのはずで、辺境の地を守る兵士たちに厚待遇の法案を通したのがロベルトだからだ。
「魔王様は案外、いいお方だな!」
「あぁ、近隣の諸国も恐れをなして攻めてこないから戦もない。無駄死にする兵士もいなくなった。ありがたいことだ」
「うん、うん。」
ズルイーヨ王子はそれをきいていてむかっ腹をたてていた。
(なにが、魔王だ!
上級魔法の達人なら言ってくれれば良かったじゃないか!
ドラゴンの王まで従えているのなら見せてくれれば良かったじゃないか!
知っていたら、ロベルトを嵌めることなど考えなかったのに‥‥
しかも、それだけ力もあるのに王にはなりたくないだと!
お前の失敗は俺を殺さなかったことだ!
いずれ、痛い目に遭わせてやろう!
なんとしても!
生きている限りは‥‥)
新たに憎悪をむけたズルイーヨ王子は、残忍な笑みを浮かべるのだった。
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