(完)私の恋人を奪う人妻の姉

青空一夏

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交換しましょう? (ジェネシス視点)

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 私、ジェネシス・マイロ男爵令嬢は医師だ。勤め先は王宮の隣にある病院で、そこでは王宮で働く人々を診る。

 姉が結婚して2年になるが、式の時以来会ってはいない。今回の帰省は恋人のアーロンを紹介する為だった。付き合ってまだ3ヶ月だけれど、『結婚を前提に付き合いたいから両親に会わせて』と言われたからだ。

 私達は、汽車に乗って楽しくおしゃべりをしていた。

「お姉さんは、どんな人だい?」

「そうねぇ。とても、かわいい人よ」

 私はアーロンに、そう答えた時に複雑な表情になった。姉のイザベラは、私の好きな人をことごとく奪ってきた人だったからだ。わざとではない、と言う。

「だってね、ジェネシスのボーイフレンドが勝手に私に夢中になるのですものぉ。私から、誘ったことなど一度もないのよぉ」

 そうでしょうとも! 口では言っていないけれど、誘うように仕向けることが、とても上手な姉だった。
クリッとした目に、ぷっくらした唇は愛らしく男の庇護欲を誘うらしい。天性の才能とはこのことよね?

 
 けれど、その姉も今ではワトソン伯爵家の二男のアーシャ様に嫁いでいる。アーシャ様は大臣の秘書で、将来はその大臣のポストを受け継ぐと期待されているすごい方だ。二男なので、ワトソンの家督は継げないが、大臣に就任するなら確実に姉は玉の輿だ。もう、私の彼に手を出すことはないはず。


 「私は、ワトソン家の嫡男が死ねばワトソン伯爵夫人になれるし、それが駄目でも大臣の奥方になれるわ。アーシャ様が大臣になったらジェネシスも、いい人を紹介してあげるわね」

 得意顔で会うたびに言われるのが面倒だったので、しばらく実家には寄りつかないでいたが、2年も経てばすっかり奥様らしくなって落ち着いているはずだと思っていた。


*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*


マイロ家に着くと、いるはずのない姉が嬉しそうに駆け寄ってきた。

「久しぶりねぇーー。私、アーシャとケンカをして家出をしてきっちゃった? で、その男性はどなた?」

 私は、彼が同僚の医師で付き合っていることを言うと姉は、軽い口調で提案してきた。

「医者なのね? なら、私の夫とその彼を交換して?」

 バサバサの睫を素敵にカールした姉が、甘い声で言ってきたのだった。
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