(完)私の恋人を奪う人妻の姉

青空一夏

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裏切った恋人

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 私が実家に着くなり、イザベラが放った言葉は、

「医者なのね? なら、私の夫とその彼を交換して?」だった。


 それって、冗談にも程がある。こんなこと誰も納得しないわ・・・・・
けれど、私の両親も姉と同じような提案をしてきたのだった。

「イザベラはね、実家に戻って跡を継ぎたいって言うのよ。老後の私達の面倒をみたいと言い出してね。親孝行な娘だと思うでしょう? ろくに帰って来ないジェネシスよりずっと頼りになるわ」
 
 お母様はイザベラの頭を撫でている。

 今まで、病院の跡を継ぐのだからと言われ、好きでもない勉強を必死にやってきたのに・・・・・・ろくに帰ってこれなかったのは、大学の医学部の勉強がハードだったからだ。さらに、病院に勤めだすと休みも限られ急患の対応にも追われる。専業主婦のイザベラとは違うのだ。まぁ、姉が実家に入り浸っていることも帰らない理由ではあったけれど・・・・・


「ジェネシスは王宮専用病院に勤務しているし、そのままそこで働けばいい。実家のことは心配するな。イザベラの夫のアーシャは、なかなか大臣になれんし、兄のワトソン伯爵も死にそうにない。イザベラが可哀想だろう?」

 お父様は愛おしそうにイザベラを見ていた。

 なにが、可哀想なのか私にはわからない。それじゃぁ、私は可哀想じゃないの?

「ジェネシスは、可愛くないけれど頭が良いから大丈夫よね? だって、医師なんでしょ? 自分で稼げて自立してるってすごいわぁ。可愛くない女にも取り柄ってあるのね」

 イザベラは、私の眼鏡を奪ってかわいい顔にかけてみせた。

「この眼鏡もかっこ悪いわね。なんで、コンタクトにしないのよ?」

 私は、眼鏡を取り返して、アーロンの手をひっぱり帰ろうとした。ところが、アーロンは私の手を撥ね除けたのだった。

 アーロンの目は、キラキラと輝いていた。イザベラは頬を染め、あのぷっくらした唇はピンクのグロスでテラテラと光っている。お互いが見つめ合っているその様子は、私の存在を完璧に忘れた恋する二人という感じだった。

 やっぱり、こんなことになるんだ・・・・・・私は、いつもイザベラに取られる。両親の愛情も、恋も。

「ねぇ、このアーロンはもう私のものよ。この家はアーロンと継ぐから、アーシャはあげる。冴えなくて真面目だけが取り柄のつまんない人だけど、冴えないジェネシスとはお似合いよね?」

 イザベラのテラテラに光った唇は、皮肉に歪められていたのだった。

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