可愛くない私に価値はないのでしょう?

青空一夏

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6 ベリンダ視点

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(ベリンダ視点)

 フィントン学園はフィントン男爵領の商店街や市場の近くにある。そのあたりが一番栄えていて、そこでほとんどの者達はお買い物をするのよ。

 賑やかな商店街の通りは私達の通学路にもなっていた。天候の悪い日には馬車で通学するけれど、うららかな陽射しのあるお散歩に最適な日は、家が遠い子以外は徒歩で通うのが普通だった。

 ある日のこと、買い物かごをもったお姉様とすれ違う。野菜の先っぽをかごから覗かせ、手入れのされていない茶色の髪はパサついて汚い枯れ葉色だわ。着ているワンピースもよれていて、とても姉妹だなんて思えない。

 こちらを向いたお姉様を睨み付け、そのまま無言でお友達と通り過ぎた。お姉様は私に話しかけようとしたみたい。

(なんてバカなの? 姉妹だってバレたら、私がどれだけ恥ずかしい思いをするのか、なんでわからないのよ!)

「さっきの子見た? 同じぐらいの歳だったわよね? あのよれた服ったらないわね。よっぽど貧乏人の子だわ」

「見た見た。学園にも行かないで、ああやって野菜を買っているところを考えれば、商家のメイド見習いかしら?」

「あはは。まさかそれはないわよ。うちのメイド見習いだって、もっとましな服を着せているのよ。私達とは違う世界の子だわ」

 お友達3人はもちろん豊かな家の子達で、平民だけれど複数のメイドが雇える財力がある。フィントン学園にはそのような子しかいない。だから私はあれが姉だとは絶対にバレたくなかった。








 急いで自宅に戻りお父様のいる執務室に飛び込んだ。

「お姉様をフィントン男爵領の商店街でお買い物させないで! お友達にあんなのがお姉様だとバレたらばかにされちゃうわ。なんとかしてよ、お父様」

 「確かに人目の多い商店街でグレイスに食材を買いに行かせるのはまずいな。長女にお金をかけず家の手伝いをさせていると思われるのはフラメル商会にとっても良くない」

 お父様は私の意見に耳を傾けてくれたわ。

「お父様、良い案があります。フィントン男爵領ではなく、隣のポールスランド伯爵領までお姉様がお買い物に行けばいいのよ。あそこの方が栄えているし、王都にもある有名なお菓子屋さんもあるのですって。お姉様は勉強しなくて良い暇人なのだから、お散歩がてらそこに行けばいいのよ」

「あら、それは良い思いつきね。ポールスランド伯爵領の方が確かに品質の良い物が安く手に入るわね。ちょっと遠いけれど・・・・・・グレイスには運動する機会も与えないとねぇ」

 お母様は私の思いつきに即座に賛成したわ。

「そうよ、お母様。お姉様は私のように学園で体操の時間もないのですから、運動の機会をもうけることは必要です。私はお姉様の健康も考えていますのよ」

(もちろんそんなの嘘だ。私の友人に会う危険がある以上、フィントン男爵領でうろうろして欲しくないだけよ)

 それにお姉様はゴミ箱に捨てた、いらなくなった私の学園のテキストを拾って熱心に読んでいたことがある。こっそりお姉様の部屋の前で耳を澄ませていたら、難しい単語を少しもつっかえずに音読していたわ。

 お姉様に勉強する時間をあげたらダメだ。だってお姉様の方が私より賢くなったら私の価値が下がっちゃう。だから何時間もかけて毎日お買い物に行けば良い! 

(私ってなんて頭が良いのかしら。ふっふっふ)

 
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