可愛くない私に価値はないのでしょう?

青空一夏

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24-5 カバデール準男爵視点

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※引き続きカバデール準男爵視点です。笑えるざまぁです←多分、これって笑えますよね? 違うかな😓


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 からくり時計からはよくもこれほどの匹数が入っていたな、と感心するほどの多くのドブネズミが続々と出てきた。それがフィントン男爵の周りに集まり、小さなドブネズミの集団が、大きく腹の出た小男を追いかけ回している絵面は滑稽だった。

「ひゃぁーー! なぜ追いかけて来るのだぁーー! おぉい、誰かぁー、このドブネズミをなんとかしろぉーー」

 フィントン男爵は身悶えしながら絶叫する。どうやらトラウザーズの裾やドレスシャツの襟元などから、ドブネズミが入り込み、こそばゆいらしい。

「ひゃはははぁーー。くすぐったいぞ。痛い。痒い。ひゃは、ひゃはっ!」
 
 顔を真っ赤にし笑いながら怒り、痛がったり痒がったりと忙しい。その様子はあまりにも無様でみっともない。パーティに招待されたわたし達は笑いを必死に堪えていたが、ここまでくると我慢もさすがに限界だった。ホール全体が笑いの渦と化したのだ。

 フィントン男爵の、身体をくねくねと踊らせながら逃げまどう姿は、タコのような軟体生物を思わせた。

「くねくねタコオヤジ・・・・・・」
 さきほどまで恥をかかされていた男がぼそりとつぶやく。思わずわたしは吹き出した。




 もちろんそんなフィントン男爵の両隣にいた女性達も無事ではない。リネータ嬢はネズミから逃れる為に、ご馳走が並べられた大テーブルの上に土足で乗り上げ、身体のバランスをすっかり崩した挙げ句、フルーツポンチを入れた大きな器に顔を突っ込んだ。

「きゃぁーー。誰かぁーー、早くタオルを持ってこぉーーぃ! なにしてるのよぉーー! クズでのろまめっ! 早くこのドブネズミもなんとかしろぉーー! 私を祝うパーティが台無しじゃないっ!」
 
 淑女の仮面などかなぐり捨てて・・・・・・いや、元からないか・・・・・・凄まじい形相で悪態をついていた。




「ちょっと、やだ! 痒い、痒い、蕁麻疹がでるぅーー。誰か助けてよぉーー。汚いねずみめっ! あっち行け!」
 
 ベリンダ嬢はその場でうずくまり、ドブネズミがその頭や肩に飛び乗る。全身に蕁麻疹が広がっているようで、すでにその顔や腕にもびっしりと赤いブツブツが浮き上がっていた。





「うわぁーー。熱い、熱い! 手がっ、手が痛いよぉーー。 ちくしょーー! 誰がこのからくり時計を持ち込んだんだぁ? 絶対に許さないぞぉーー。コンスタンティン様に告げ口してやるっ! 地下牢に放り込んで酷い目に遭わせてやるからなぁーー!」

 デリク様はドブネズミを避ける為に、リネータ嬢とは別のテーブルに乗り上げていたところ、ホタテ貝と椎茸のあつあつのオープン焼きに手を突っつこみ、火傷をしたようだ。

 コンスタンティン様に告げ口するとおっしゃるが、これを全て仕組んだのはコンスタンティン様なのだが・・・・・・






「きゃぁーー、追いかけて来ないでぇーー!」

 フィントン男爵夫人はドブネズミに追いかけられ幾度も転び、涙と汗でぐしゃぐしゃになった顔からは鼻血まで垂れていた。転んだ際に鼻もぶつけたらしい。それを見たホール内の夫人達が薄く笑う。
 
 日頃から傲慢なフィントン男爵夫人が嫌われていたことがよくわかる。・・・・・・なんとも人望のない本家の方々だった。






(ドブネズミをからくり時計に仕込むとは・・・・・・コンスタンティン様・・・・・・あなた様という方は・・・・・・)
 
 わたしは呆れながらも、この大惨事を不謹慎にも心ゆくまで楽しんだ。

 ただひとつ不思議なことは、このドブネズミ達が追いかけ回すのは、フィントン男爵家とフラメル家の方達だった。このような芸当が普通のドブネズミにできるわけがない。とすれば、このような用途の為に調ネズミ達なのかもしれない。

 例えばある香りに群がるように調教されたドブネズミを飼育する一方で、フィントン男爵家やフラメル家のメイドを買収し、彼らの衣装にその香りをスプレーさせるとか?

 いろいろ想像して笑ってしまう。コンスタンティン様はなんとも楽しい、それでいて恐ろしい方のようだ。

(コンスタンティン様にお仕えできたらどんなに良いだろう? わたしもランスロット様に同行し、コンスタンティン様の為に働きたい!) 

 真剣にそう考えたのだった。


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※ドブネズミの実際の大きさは約20センチほどになるそうです。ここに登場したドブネズミは、子ネズミとお考えください(゚゚)(。。)ペコッ←多分💦
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