29 / 64
連載
24-6 カバデール準男爵視点
しおりを挟む
※ガマちゃんの登場です。こちらはガマちゃんシリーズを知らない方にも全く問題なくお読みいただけます。ベリンダの両親のプチざまぁです。残酷描写はありませんよぉーー
ガマちゃんに興味のある方は→「お姉様を選んだ婚約者に乾杯←(残酷描写あり)」を読んでくださいね。
୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧
ひとしきりフィントン男爵達に悪戯をしたネズミ達は、テーブルのご馳走には見向きもせず、庭園に面したパーティホールの扉から走り去って行く。その扉はこのネズミ達がかけずり回る前は開いていなかったと思うが?
(やはり、コンスタンティン様の配下の者がパーティホールにいたのか。ネズミ達もきっと元に戻って行くのかもしれない。なんと鮮やかな・・・・・・子供の悪戯とおっしゃった意味がわかったよ)
招待客は誰も怪我をしていないし、むしろこの余興を充分満喫して帰って行く。フィントン男爵達に言葉をかける者はいなかった。余計なことを言えば、かえって機嫌を損ねてやぶ蛇になってしまうことを恐れたのだ。
パーティホールを出たところで庭園の池に座り込んでいるベリンダ嬢の両親を見つけた。ネズミに追いかけ回されて池に逃げ込んだのだろう。
フィントン男爵領では、まだ水浴びをするには寒い季節だ。二人ともしきりにくしゃみをしている。ガマガエルが頭の上にちょこんと乗っている二人の様子はやはり滑稽だった。まだ小さめのガマガエルなので子供かもしれない。
「お二人とも、頭の上にガマガエルが乗っていますよ。ガマガエルはイボから毒を出すこともありますから、お気をつけくださいね」
親切心で声をかけただけだった。ただの注意喚起のつもりだったのだが。
「え? えぇーー! いやぁーー。毒ガエルが私の頭の上にいるのぉ? いやぁーー」
フラメル夫人が絶叫とともに、頭の上のガマガエルを手で乱暴に払い落とすと、その小さめのガマガエルが「ぐぇっ」っと鳴いた。
フラメル氏の方も頭に乗ったガマガエルを手で叩き落とす。こちらのガマガエルは怪我をしたようで、後ろ足を引きずるようにし上手く跳ねることができない。
「可哀想に。なぜそれほど強く叩いたのですか? このガマガエルだとて必死に生きているのですよ」
「こんなガマガエルなど、どうなってもいいだろう。生きている意味などないに等しい。ガマガエルの一匹や二匹、怪我をしたところでなにを熱くなっているんだ? くだらない。ところで、あんた招待客だろう? わたし達にタオルを持ってくるようにメイドに言ってくれ」
「そうよ、メイドからタオルをもらって来てよ! これでは風邪をひいてしまうわ。こんな毒ガエルなんてどうなってもいいでしょう!」
「ゲコ。ゲコゲコゲコ」
あっという間だった。池の周りの茂みから大きなガマガエルが10匹ほど出てきてこの夫妻に飛びかかる。イボからは泡のように見える分泌物を出していた。あれが毒なのだが、フラメル夫妻は必死でその毒が顔にかかるのを防いでいたが、最後には顔に思いっきりションベンをかけられて悪態をついている。
「早く、その毒を洗い流した方が良いですよ。嘔吐や下痢になってしまう。その毒を一定量以上飲み込むと、最悪死もあり得ますからね」
「え? えぇーー! 死?」
「ひゃぁーー、大変だ。こうしてはおれん。家に戻り洗い流さねば。もしかしたら少しぐらいは口に入ったかも・・・・・・やばい」
「大変、大変!」
慌てて馬車に二人して濡れた身体のまま乗り込んだ。まだあの夫妻の娘ベリンダ嬢はパーティホールにいたはずだ。娘の心配はしないのか? なんとも同情できない夫妻だった。
ふと足下を見ると怪我をした子ガエルが私を見つめている。
「大丈夫さ、足を見せてごらん。うん、たいしたことはないと思うよ」
辺りを見回し小さな木の枝が落ちていないか探す。適当な太さの小枝が見つかるとそれをちいさく折って、子ガエルの足に添え木をした。自分の髪をまとめていた細い髪紐を使ったのだ。そろそろ髪を短く刈ろうと思っていたのだが、まだ切らなくて良かった。
「ほら、仲間のところに帰りなさい」
ひときわ大きなガマガエルの横に子ガエルをそっと置くと、わたしはその場を後にしたのだった。
ガマちゃんに興味のある方は→「お姉様を選んだ婚約者に乾杯←(残酷描写あり)」を読んでくださいね。
୨୧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈୨୧
ひとしきりフィントン男爵達に悪戯をしたネズミ達は、テーブルのご馳走には見向きもせず、庭園に面したパーティホールの扉から走り去って行く。その扉はこのネズミ達がかけずり回る前は開いていなかったと思うが?
(やはり、コンスタンティン様の配下の者がパーティホールにいたのか。ネズミ達もきっと元に戻って行くのかもしれない。なんと鮮やかな・・・・・・子供の悪戯とおっしゃった意味がわかったよ)
招待客は誰も怪我をしていないし、むしろこの余興を充分満喫して帰って行く。フィントン男爵達に言葉をかける者はいなかった。余計なことを言えば、かえって機嫌を損ねてやぶ蛇になってしまうことを恐れたのだ。
パーティホールを出たところで庭園の池に座り込んでいるベリンダ嬢の両親を見つけた。ネズミに追いかけ回されて池に逃げ込んだのだろう。
フィントン男爵領では、まだ水浴びをするには寒い季節だ。二人ともしきりにくしゃみをしている。ガマガエルが頭の上にちょこんと乗っている二人の様子はやはり滑稽だった。まだ小さめのガマガエルなので子供かもしれない。
「お二人とも、頭の上にガマガエルが乗っていますよ。ガマガエルはイボから毒を出すこともありますから、お気をつけくださいね」
親切心で声をかけただけだった。ただの注意喚起のつもりだったのだが。
「え? えぇーー! いやぁーー。毒ガエルが私の頭の上にいるのぉ? いやぁーー」
フラメル夫人が絶叫とともに、頭の上のガマガエルを手で乱暴に払い落とすと、その小さめのガマガエルが「ぐぇっ」っと鳴いた。
フラメル氏の方も頭に乗ったガマガエルを手で叩き落とす。こちらのガマガエルは怪我をしたようで、後ろ足を引きずるようにし上手く跳ねることができない。
「可哀想に。なぜそれほど強く叩いたのですか? このガマガエルだとて必死に生きているのですよ」
「こんなガマガエルなど、どうなってもいいだろう。生きている意味などないに等しい。ガマガエルの一匹や二匹、怪我をしたところでなにを熱くなっているんだ? くだらない。ところで、あんた招待客だろう? わたし達にタオルを持ってくるようにメイドに言ってくれ」
「そうよ、メイドからタオルをもらって来てよ! これでは風邪をひいてしまうわ。こんな毒ガエルなんてどうなってもいいでしょう!」
「ゲコ。ゲコゲコゲコ」
あっという間だった。池の周りの茂みから大きなガマガエルが10匹ほど出てきてこの夫妻に飛びかかる。イボからは泡のように見える分泌物を出していた。あれが毒なのだが、フラメル夫妻は必死でその毒が顔にかかるのを防いでいたが、最後には顔に思いっきりションベンをかけられて悪態をついている。
「早く、その毒を洗い流した方が良いですよ。嘔吐や下痢になってしまう。その毒を一定量以上飲み込むと、最悪死もあり得ますからね」
「え? えぇーー! 死?」
「ひゃぁーー、大変だ。こうしてはおれん。家に戻り洗い流さねば。もしかしたら少しぐらいは口に入ったかも・・・・・・やばい」
「大変、大変!」
慌てて馬車に二人して濡れた身体のまま乗り込んだ。まだあの夫妻の娘ベリンダ嬢はパーティホールにいたはずだ。娘の心配はしないのか? なんとも同情できない夫妻だった。
ふと足下を見ると怪我をした子ガエルが私を見つめている。
「大丈夫さ、足を見せてごらん。うん、たいしたことはないと思うよ」
辺りを見回し小さな木の枝が落ちていないか探す。適当な太さの小枝が見つかるとそれをちいさく折って、子ガエルの足に添え木をした。自分の髪をまとめていた細い髪紐を使ったのだ。そろそろ髪を短く刈ろうと思っていたのだが、まだ切らなくて良かった。
「ほら、仲間のところに帰りなさい」
ひときわ大きなガマガエルの横に子ガエルをそっと置くと、わたしはその場を後にしたのだった。
23
あなたにおすすめの小説
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
側妃は捨てられましたので
なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」
現王、ランドルフが呟いた言葉。
周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。
ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。
別の女性を正妃として迎え入れた。
裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。
あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。
だが、彼を止める事は誰にも出来ず。
廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。
王妃として教育を受けて、側妃にされ
廃妃となった彼女。
その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。
実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。
それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。
屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。
ただコソコソと身を隠すつもりはない。
私を軽んじて。
捨てた彼らに自身の価値を示すため。
捨てられたのは、どちらか……。
後悔するのはどちらかを示すために。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
本物の夫は愛人に夢中なので、影武者とだけ愛し合います
こじまき
恋愛
幼い頃から許嫁だった王太子ヴァレリアンと結婚した公爵令嬢ディアーヌ。しかしヴァレリアンは身分の低い男爵令嬢に夢中で、初夜をすっぽかしてしまう。代わりに寝室にいたのは、彼そっくりの影武者…生まれたときに存在を消された双子の弟ルイだった。
※「小説家になろう」にも投稿しています
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。